(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021517131
(43)【公表日】20210715
(54)【発明の名称】糞便回収方法及び糞便微生物叢を移植するためのサンプル調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/74 20150101AFI20210618BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20210618BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20210618BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20210618BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 1/06 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210618BHJP
【FI】
   !A61K35/74 A
   !A61K35/742
   !A61K35/745
   !A61K35/741
   !A61P1/00
   !A61P37/02
   !A61P31/04
   !A61P1/04
   !A61P1/12
   !A61P1/06
   !A61P3/04
   !A61P25/00
   !A61P15/02
   !A61P31/10
   !A61P19/02
   !A61P19/08
   !A61P25/16
   !A61P3/10
   !A61P37/08
   !A61P35/00
   !A61P35/02
   !A61P25/28
   !A61P25/18
   !A61P25/24
   !A61P1/16
   !A61K47/10
   !A61K47/26
   !A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
(21)【出願番号】2020546950
(86)(22)【出願日】20190308
(85)【翻訳文提出日】20201030
(86)【国際出願番号】FR2019050522
(87)【国際公開番号】WO2019171012
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】1852084
(32)【優先日】20180309
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517369461
【氏名又は名称】マー ファルマ
【住所又は居所】フランス国,69007 リヨン,アブニュ ジャン ジョレス 317
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】カロル シュウィンネ
【住所又は居所】フランス国,69007 リヨン,アブニュ ジャン ジョレス 317,セ/オ マー ファルマ
(72)【発明者】
【氏名】アリス ルルー
【住所又は居所】フランス国,69007 リヨン,アブニュ ジャン ジョレス 317,セ/オ マー ファルマ
(72)【発明者】
【氏名】クレマンス マデール
【住所又は居所】フランス国,69007 リヨン,アブニュ ジャン ジョレス 317,セ/オ マー ファルマ
(72)【発明者】
【氏名】エルベ アファガール
【住所又は居所】フランス国,69007 リヨン,アブニュ ジャン ジョレス 317,セ/オ マー ファルマ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD38
4C076DD67
4C076EE30
4C076FF02
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC31
4C087BC55
4C087BC59
4C087BC68
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4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA12
4C087ZA15
4C087ZA16
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4C087ZA36
4C087ZA51
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA70
4C087ZA72
4C087ZA73
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB13
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB32
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZC35
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2人の事前に選択されたドナーから糞便微生物叢の均一な混合物を調製するための方法に関する。このようにして得られた糞便微生物叢の均一な混合物は、細菌の多様性及び増加した生存率を備える。糞便微生物叢の均一な混合物は、腸内毒素を治療するため、及びそのような腸内毒素症に関連する病状を治療するために使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ選択した少なくとも2人のドナーに由来する糞便微生物叢の均一な混合物を調製する方法であって、
a.そのあらかじめ選択したドナーから糞便微生物叢の少なくとも1つのサンプルを採取する工程と、
b.そのサンプルを採取してから5分以内の期間に、a)で得られたサンプルを、酸素が透過しない回収装置の中に入れる工程と、
c.採取したサンプルの品質を管理し、品質基準に合致しないサンプルを除外する工程と、
d.c)の品質管理工程の後に残ったサンプルのそれぞれに、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液を添加する工程と、
e.工程d)の終了時に得られたサンプルを濾過して一連の接種材料を形成する工程と、
f.それら接種材料を1つにまとめて接種材料の混合物を形成する工程と、
g.工程f)で得られた混合物を、特に手で撹拌することによって、または撹拌装置を用いることによって均一化する工程を含んでいて、
工程b)とd)を嫌気下で実施する方法。
【請求項2】
糞便微生物叢の前記均一な混合物が少なくとも4人のドナーに由来することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドナーをあらかじめ選択する操作が、以下の事前選択基準、すなわち
i.年齢が18歳〜60歳であること、
ii.ボディマス指数(BMI)が18〜30であること、
iii.重い感染性疾患、代謝障害、神経障害、鬱の個人的病歴がないこと、
iv.腸微生物叢の組成を劣化させることのできる薬を最近摂取していないこと、
v.胃腸疾患に関係する症状、例えば発熱、下痢、嘔吐、吐き気、胃痛、黄疸が最近発生しておらず;重い感染性疾患、特にエイズ、肝炎などの病歴がないこと、
vi.熱帯諸国を最近旅行していないこと、
vii.リスクがある性的行動をしていないこと、
viii.最近の傷、および/またはピアス、および/または入れ墨がないこと、
ix.慢性疲労が最近はないこと、
x.アレルギー性反応が最近はないこと
xi.場合によっては多彩な食事をしていること
に従ってなされることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)のサンプルの品質基準が、
- サンプルのコンシステンシーがブリストルスケールで1〜6であること、
- サンプル中に血液または尿が存在していないこと
を含むことを特徴とする、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程c)のサンプルの品質基準が、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター(Campylobacter)、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)(Clostridium difficile (A/B toxin))、サルモネラ属の種(Salmonella)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ属の種(Vibrio sp.)、シガ毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2(Shiga toxin-producing E.coli (STEC) stx1/stx2)、多剤耐性菌(multi-resistant bacteria)、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌(extended-spectrum beta-lactamases (ESBL))、糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)(glycopeptide/vancomycin resistant Enterococci (GRE/VRE))、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、カルバペネム耐性菌(carbapenemases-resistant bacteria)が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、サイクロスポラ属の種(Cyclospora sp.)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystis hominis)、蠕虫類(Helminths)、ストロンギロイデス・ステルコラリス(Strongyloides stercoralis)、イソスポーラ属の種(Isospora sp.)、微胞子虫類(Microsporidia)および二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)が存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41(adenovirus F40/41)、アストロウイルス(astrovirus)、ノロウイルス(norovirus)、ロタウイルスA(rotavirus A)、サポウイルス(sapovirus)、ピコルナウイルス(picornavirus)(アイチウイルスとエンテロウイルス(aichi virus およびenterovirus))が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)(enteroaggregative E.coli (EAEC))、腸管病原性大腸菌(EPEC)(enteropathogenic E.coli (EPEC))、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st(enterotoxigenic E.coli (ETEC) It/st)、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)(Shigella/enteroinvasive E.coli (EIEC))、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)が存在していないこと、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤が、ポリオール、二糖、三糖、多糖のいずれか、またはこれらの混合物と、増量剤であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生理食塩水性溶液がマルトデキストリンとトレハロースを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程e)の濾過を、直径が0.5 mm以下、好ましくは265μm以下の孔を含むフィルタを用いて実施することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
サンプル回収から工程g)終了までの時間が76時間未満であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
均一化の工程g)を、2℃〜25℃、好ましくは2〜6℃、より好ましくは約4℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
以下の移動工程、すなわち
h.工程g)で得られた均一化された混合物を
i.約-50℃〜-80℃、好ましくは-80℃の温度で保管することを目的として、または約16時間以内に前記混合物を利用するために約2〜6℃の温度で保管することを目的として、または約4時間以内に前記混合物を利用するために10〜25℃の温度で保管することを目的として、接種材料パウチに移動させるか、
ii.凍結乾燥のため凍結乾燥装置に移動させる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
糞便微生物叢の前記均一な混合物が、15種類の属の細菌、すなわちブラウティア属(Blautia)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、アリスティペス属(Alistipes)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、オドリバクター属(Odoribacter)、ロゼブリア属(Roseburia)、ホルデマネラ属(Holdemanella)、アナエロスティペス属(Anaerostipes)、オシリバクター属(Oscillibacter)、サブドリグラヌラム属(Subdoligranulum)およびブチリビブリオ属(Butyrivibrio)を含むことを特徴とする、請求項2〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
同種異系糞便微生物叢の移植で使用するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項14】
シンプソン指数が15超、好ましくは20超であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項15】
腸内毒素症の治療で使用するための、請求項13または14に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項16】
移植片対宿主病(GvHD)の治療で使用するための、請求項13または14に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項17】
医原性腸内毒素症、および/またはそれに関係していて、敗血症、敗血症性ショック、胃腸障害(腸炎、下痢、粘膜炎、腹痛、胃腸出血が含まれる)を含む病状と合併症の治療で使用するための、請求項13または14に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項18】
クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)とそれに関連する下痢症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、特発性便秘、セリアック病、クローン病、肥満と病的肥満、自閉症、多発性硬化症、旅行者下痢症、慢性膣感染症(膀胱炎と真菌症を含む)、骨と関節の感染症、パーキンソン病、II型糖尿病、食物アレルギー、がん、抵抗性白血病、アルツハイマー病、統合失調症と双極性障害、抗がん化学療法または免疫療法に伴う腸内毒素症、アルコール性と非アルコール性の肝疾患の治療で使用するための、請求項13または14に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数人のドナーから糞便を回収する手続きと、糞便微生物叢のサンプルを調製する方法に関する。
【0002】
本発明は、糞便微生物叢の移植(FMT、糞便微生物叢移植とも呼ばれる)におけるそのサンプルの利用にも関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの腸微生物叢は一般に「腸フローラ」と呼ばれており、ヒトの胃腸系(胃、小腸、大腸)の中に見いだされる一群の微生物(細菌、酵母、真菌)である。細菌の多様性は現在ほぼ103細菌種と推定されていて、それが成人の主要な腸微生物叢を構成している。各個人の細菌数は1014個であり、細菌のメタゲノムは200,000〜800,000個の遺伝子に相当する。すなわちヒトゲノムに含まれる遺伝子数の10〜50倍である。子宮内は無菌だが、腸には誕生の初日から細菌が棲み着き、各個人に独自の微生物叢を発達させるに至る。それぞれの人は、種に関しては比較的近い細菌を持つが、その人の微生物叢の正確な組成(種、割合)は大半(種の2/3超)が宿主に特異的である。したがってヒトの腸微生物叢は、それぞれの個人に独自の非常に多様で複雑なエコシステムである。
【0004】
微生物叢の大きな多様性を維持するとその安定化が促進される。しかしある種の病状または治療は微生物叢を不安定にする。例えば抗生剤や、炎症性要素を伴う疾患(慢性炎症性腸疾患(CIBD)など)は、腸内の微生物叢の多様性を制限する可能性がある。抗生剤を用いた治療(または抗生物質療法)は特に微生物叢を変化させ、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)などの病原性生物の増殖を促進する可能性がある。
【0005】
いくつかの病状(例えば移植片対宿主病(GvHD))は腸内毒素症と関係している。造血幹細胞の同種異系移植片または同種異系移植(アロ-HSCT)は、造血系悪性腫瘍と遺伝性造血障害にとって有効な治療法であり、現在のところ最も有効ながん免疫療法であると見なされている[Sung, A.D.とChao, N.J.(2013年)、「簡潔なレビュー:急性移植片対宿主病:免疫学、予防、治療」、Stem Cells Transl. Med. 第2巻:25〜32ページ]。しかし移植された幹細胞に由来するTリンパ球はレシピエント宿主の組織を攻撃するため、GvHDにつながる可能性がある。GvHDはアロ-HSCTに関係する主要な合併症であり、死亡率が大きい(アロ-HSCTの後に15〜25%が死亡する)。アロ-HSCTを受けている患者は同時に細胞傷害性化学療法、全身照射、免疫抑制剤、広スペクトル抗生剤に曝露されている可能性があり、これらは腸微生物叢を大きく変化させる可能性がある。実際、エンテロコッカス科(Enterococcaceae)が顕著に増えるとともに、ラクトバシラス目(Lactobacillales)が増加し、クロストリジウム目(Clostridiales)が減少することが、アロ-HSCTの後の患者でしばしば観察される。その帰結として、一般に遭遇する主要な細菌(バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococcus)、ビリダンス連鎖球菌群(streptococci)、さまざまなプロテオバクテリア門(Proteobacteria)など)が血流の中に入って敗血症を引き起こす可能性がある。この変化が、難治性の移植片対宿主病(GvHD)をその後発症する患者にとって特に重要であることに注意すべきである[Holler他(2014年)、Biol Blood Marrow Transplant 第20巻(5): 640〜645ページと、Peled, J.(2017年)第59回アメリカ血液学学会年会、アトランタ、アメリカ合衆国、12月9日〜11日]。
【0006】
腸微生物叢を再確立し、したがってホメオスタシス(すなわち共生)を再確立するため、糞便微生物叢移植(FMT)が検討されて試験されている。FMTは、健康なドナーからの糞便をレシピエント患者の消化管に導入し、この宿主の変化した糞便微生物叢を再び安定化させることからなる。この糞便微生物叢移植は、同種異系(すなわち一人の健康なドナーから患者へ)でも自家(すなわちある個人からその人自身へ)でもよい。クロストリジウム・ディフィシル型の感染症に関して得られた結果は有望であり、何人かの患者は治療がうまくいっている(Tauxe他、Lab Medicine、2015年冬、第46巻、第1号)。最近の研究でも、FMTで治療されたGvHD患者は胃腸の症状が改善し、微生物叢の再構成に関係する下痢が減るか止まっている[Kakihana他(2017年)Transplantation 第128巻:2083〜2089ページと、Spindelboeck他(2017年)Hematologica 第102巻:e210ページ]。
【0007】
同種異系移植の場合には、移植されるサンプルが細菌の生存率と多様性に関して許容できるプロファイルを持つことが重要である。なぜなら希釈した微生物叢の懸濁液が、薬の活性成分(活性物質)に対応するからである。現在の移植法は経験的であることがしばしばあり、特別な注意は払われていないため、使用する糞便微生物叢のサンプル中に存在する細菌の多様性が保証されるとは限らず、腸微生物叢の主要な構成要素である嫌気性細菌の生存率が最もよく保持されるとも限らない。
【0008】
アメリカ合衆国特許出願US 2017/239303には、腸微生物叢を回復するための組成物のほか、その製造方法と投与方法が記載されている。この文書には、サンプルを含む組成物のシャノン多様性指数が約0.4〜2.5であることと、計算が「科」レベルで実施されることが開示されている。計算を行なう分類学的レベル(門、種など)に応じてこの指数は約1〜8である。
【0009】
Paramsothyらによる論文[Paramsothy S.他(2017年)、「活動性潰瘍性大腸炎のための複数ドナー集中的微生物叢移植:無作為化プラセボ対照試験」、Lancet、3月25日;第389巻(10075):1218〜1228ページ]には、活発な潰瘍性大腸炎を治療するための糞便微生物叢組成物の調製が記載されている。この組成物は、3〜7人のドナーからの糞便を混合して均一化した後、得られた混合物に生理食塩水性溶液を添加することによって製造される(122ページの左欄、「方法」を参照されたい)。Paramsothyらによる論文の図3(右上の図)は、組成物の系統発生の多様性を示している。(図には「ドナーのバッチ」で示されている)製造されたバッチ間には、ドナーの糞便サンプルをプールした後でさえ大きな変動が相変わらず存在している。この変動は、(図では「個々のドナー」で示されている)個々のドナー間の変動と同じくらい大きいように見える。したがって患者を治療するためのサンプル間にかなりの不均一性が存在している。このような不均一性は医薬組成物にとって望ましくない。実際、患者が、受け入れる糞便微生物叢の各投与物(またはサンプル)に対して同じように反応することを保証するには、投与物ができるだけ均一であることと、バッチも均一であることが必要とされる。
【0010】
したがって、安全で、再現性があり、効果的で、実現が容易な糞便微生物叢を移植する方法を特に工業スケールで提供することが必要とされている。さらに、移植される製品の細菌の多様性ができるだけ大きく、同じ人に移植される製品の異なる投与物(サンプル)が均一である糞便微生物叢を移植する方法を提供することが必要とされている。したがって、同じバッチの糞便微生物叢に由来する異なる投与物の均一性(バッチ内の均一性)と、製造される異なるバッチ間の均一性(バッチ間の均一性)が必要とされる。細菌の生存率は、この方法を実施している間と保管中を通じて可能な限り保持される必要がある。
【0011】
細菌性の腸内毒素症(医原性または非医原性)および/またはそれに関連する病状の治療と予防で投与するため、細菌の多様性と生存率が最適な糞便微生物叢のサンプルを提供する必要がある。このようなサンプルを調製する方法を提供する必要がある。関係する病状として、難治性の移植片対宿主病(GvHD)、クロストリジウム・ディフィシル感染症、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、II型糖尿病、食物アレルギー、がん(白血病を含む)肥満、病的肥満が可能である。腸内毒素症に関係する他の病状に含まれるのは、自閉症、硬化症、旅行者下痢症、慢性膣感染症(膀胱炎と真菌症を含む)、骨と関節の感染症、病院での集中治療に伴う腸内毒素症、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、抗がん化学療法または免疫療法に伴う腸内毒素症、アルコール性と非アルコール性の肝疾患と関係する腸内毒素症である。
【0012】
医原性腸内毒素症および/またはそれに関係する病状と合併症(その非限定的な例に含まれるのは、敗血症、敗血症性ショック、胃腸障害(その非限定的な例に、下痢、粘膜炎、腹痛、胃腸出血が含まれる)である)の治療または予防で使用するための糞便微生物叢のサンプルを提供する必要がある。
【0013】
本発明は上記の必要性に応えるものである。
【0014】
したがって本発明の1つの目的は、FMT(糞便微生物叢移植)で使用するため最適な多様性と十分な細菌生存率を持っていて、信頼性よく、かつ再現可能に製造することが容易にできる糞便微生物叢のサンプルを提供することである。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、あらかじめ選択した少なくとも2人のドナーに由来する糞便微生物叢の均一な混合物を調製する方法に関するものであり、この方法は、
a.そのあらかじめ選択したドナーから糞便微生物叢の少なくとも1つのサンプルを採取する工程と、
b.そのサンプルを採取してから5分以内の期間に、a)で得られたサンプルを、酸素が透過しない回収装置の中に入れる工程と、
c.採取したサンプルの品質を管理し、品質基準に合致しないサンプルを除外する工程と、
d.c)の品質管理工程の後に残ったサンプルのそれぞれに、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液を添加する工程と、
e.工程d)の終了時に得られたサンプルを濾過して一連の接種材料を形成する工程と、
f.それら接種材料を1つにまとめて接種材料の混合物を形成する工程と、
g.工程f)で得られた混合物を、特に手で撹拌することによって、または撹拌装置を用いることによって均一化する工程を含んでいて、
工程b)とd)は嫌気下で実施する。
【0016】
本発明の一実施態様によれば、ドナーをあらかじめ選択する操作は、以下の事前選択基準、すなわち
i.年齢が18歳〜60歳であること、
ii.ボディマス指数(BMI)が18〜30であること、
iii.重い感染性疾患(エイズ、肝炎など)、代謝障害、神経障害、鬱の個人的病歴がないこと、
iv.腸微生物叢の組成を劣化させることのできる薬を最近摂取していないこと、
v.胃腸疾患に関係する症状、例えば発熱、下痢、嘔吐、吐き気、胃痛、黄疸が最近発生しておらず;重い感染性疾患、特にエイズ、肝炎などの病歴がないこと、
vi.熱帯諸国を最近旅行していないこと、
vii.リスクがある性的行動をしていないこと、
viii.最近(典型的には過去3ヶ月以内)の傷、および/またはピアス、および/または入れ墨がないこと、
ix.慢性疲労が最近(典型的には過去3ヶ月以内)はないこと、
x.アレルギー性反応が最近(典型的には過去3ヶ月以内)はないこと
xi.場合によっては多彩な食事をしていること
に従ってなされる。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、工程c)のサンプルの品質基準は、
- サンプルのコンシステンシーがブリストルスケールで1〜6であること、
- サンプル中に血液または尿が存在していないこと
を含んでいる。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、工程c)のサンプルの品質基準は、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、志賀毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、多剤耐性菌(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌、糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE))、リステリア・モノサイトゲネス、カルバペネム耐性菌が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム、サイクロスポラ属の種、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、二核アメーバが存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、ピコルナウイルス(アイチウイルスとエンテロウイルス)が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、プレジオモナス・シゲロイデスが存在していないこと、
を含んでいる。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、工程d)の少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤は、ポリオール、二糖、三糖、多糖のいずれか、またはこれらの混合物と、増量剤である。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、工程d)の生理食塩水性溶液は、マルトデキストリンとトレハロースを含んでいる。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、工程e)の濾過は、直径が0.5 mm以下、好ましくは265μm以下の孔を含むフィルタを用いて実施する。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、サンプル回収から工程g)終了までの時間は76時間未満である。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、均一化の工程 g)は、2℃〜25℃、好ましくは2〜6℃、より好ましくは約4℃の温度で実施する。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、本発明の方法は、以下の移動工程、すなわち
h.工程g)で得られた均一化された混合物を
i.約-50℃〜-80℃、好ましくは-80℃の温度で保管することを目的として、または約16時間以内に混合物を利用するために約2〜6℃の温度で保管することを目的として、または約4時間以内に混合物を利用するために10〜25℃の温度で保管することを目的として、パウチに移動させるか、
ii.凍結乾燥のため凍結乾燥装置に移動させる工程を含んでいる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、糞便微生物叢の均一な混合物は、少なくとも4人のドナー、好ましくは少なくとも5人のドナーに由来する。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、本発明は、同種異系糞便微生物叢の移植(FMT)における、本発明の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物の利用に関する。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、糞便微生物叢の均一な混合物は少なくとも4人のドナーに由来し、以下の属の酪酸塩産生細菌、すなわちブラウティア属、フィーカリバクテリウム属、アリスティペス属、ユーバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属、クロストリジウム属、コプロコッカス属、オドリバクター属、ロゼブリア属、ホルデマネラ属、アナエロスティペス属、オシリバクター属、サブドリグラヌラム属、ブチリビブリオ属を含んでいる。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、糞便微生物叢のこの均一な混合物は多様性が大きく、シンプソン指数が15超、好ましくは20超である。
【0029】
本発明は、腸内毒素症の治療における、本発明の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物の利用に関する。
【0030】
本発明は、移植片対宿主病(GvHD)の治療における、本発明の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物の利用に関する。
【0031】
本発明は、医原性腸内毒素症、および/またはそれに関係していて、 敗血症、敗血症性ショック、胃腸障害(腸炎、下痢、粘膜炎、腹痛、胃腸出血が含まれる)を含む病状と合併症の治療における、本発明の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物の利用に関する。
【0032】
本発明は、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)とそれに関連する下痢症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、特発性便秘、セリアック病、クローン病、肥満と病的肥満、自閉症、多発性硬化症、旅行者下痢症、慢性膣感染症(膀胱炎と真菌症を含む)、骨と関節の感染症、パーキンソン病、II型糖尿病、食物アレルギー、がん、抵抗性白血病、アルツハイマー病、統合失調症と双極性障害、抗がん化学療法または免疫療法に伴う腸内毒素症、アルコール性と非アルコール性の肝疾患の治療における、本発明の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物の利用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、同種異系FMTで使用するため、何人かのドナーに由来する糞便微生物叢のサンプルから糞便微生物叢の均一な混合物を調製する方法のダイヤグラム表示である。
【図2】図2は、接種材料(接種材料1、4、5、6、2+8)の微生物叢の生存率(%)と、接種材料保管用パウチ1〜15の中の接種材料混合物(均一な混合物)の微生物叢の生存率(%)のヒストグラムである。
【図3】図3は、4つの製品バッチについて、個々の接種材料と接種材料混合物(プールされた接種材料)の微生物叢の生存率(%)を示すヒストグラムである。バッチ番号4は、実施例1で使用した(図2に示されている)のと同じバッチである。
【図4a】図4aと図4bは、接種材料の濃さと細菌多様性を示している。図4a:バッチ(バッチ番号1〜4)について、個々の接種材料で測定するとともに接種材料混合物でも測定した濃さ(細菌種の数)。操作的分類単位(OTU)を、16SリボソームRNA(16S rRNA)を用いて評価した。個々のドナーで濃さは100〜350種である。
【図4b】図4b:バッチごとの個別の接種材料(「ドナー」)と、バッチ間で比較した接種材料(「バッチ間」)と、同じバッチ内のパウチの中のプールされた接種材料(「バッチ内」)のブレイ-カーティス類似度である。
【図5】図5は、実施例3の比較実験のダイヤグラム表示であり、この比較実験では同じ糞便を用いてサンプルの2つのバッチを製造した。一方は、実施例3に記載されているのと同じ本発明の一実施態様の方法(「本発明の方法」)に従って製造したものであり、もう一方は、Paramsothy他[Paramsothy S.他(2017年)、「活動性潰瘍性大腸炎のための複数ドナー集中的微生物叢移植:無作為化プラセボ対照試験」、Lancet、3月25日;第389巻(10075):1218〜1228ページ]に記載されている方法、すなわち「参照法」に従って製造したものである。
【図6a】図6は、実施例3の2つの群のサンプルにおいて逆シンプソン指数に従って測定した多様性を箱髭図の形態で示している。図6aは各サンプルの多様性を示しており、図6bは2つの群のサンプルの多様性を示している。
【図6b】図6は、実施例3の2つの群のサンプルにおいて逆シンプソン指数に従って測定した多様性を箱髭図の形態で示している。図6aは各サンプルの多様性を示しており、図6bは2つの群のサンプルの多様性を示している。
【図7】図7は、実施例3のサンプルの2つの群の中に最も多く存在する10種類の科の細菌の相対含量の積み上げヒストグラムである。右側の群(サンプルInv-01〜Inv-10)は、本発明の一実施態様に従って製造する。左側の「参照」群(サンプルRef-01〜Ref-10)は、Paramsothyらの先行技術の方法に従って製造する。
【図8】図8は、ドナーの糞便(左側の最初の箱)の中と、それぞれ3人、4人、5人、6人のドナーの糞便から得られた均一な混合物のバッチの中に含まれる15種類の属の酪酸塩産生細菌、すなわちブラウティア属、フィーカリバクテリウム属、アリスティペス属、ユーバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属、クロストリジウム属、コプロコッカス属、オドリバクター属、ロゼブリア属、ホルデマネラ属、アナエロスティペス属、オシリバクター属、サブドリグラヌラム属、ブチリビブリオ属の相対含量を示している。
【図9】図9は、4人、5人、6人のドナーの糞便から得られた均一な混合物のさまざまなバッチにおける種の濃さを示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、何人かのドナーから糞便微生物叢を回収してそれらの均一な混合物を調製する方法に関する。本発明は、特に腸内毒素症(特にそのような腸内毒素症に関係する疾患)を治療することを目的とした、同種異系糞便微生物叢の移植におけるこの均一な混合物の利用にも関する。
【0035】
一般に、本発明では、ドナーは健康なヒト対象である。「健康な対象」とは、腸微生物叢の不均衡がない対象、または医師によって診断/認識された病状がない対象を意味する。
【0036】
したがって可能性のあるドナーを選択するため、いくつかの数の基準を規定した。その基準は以下の通りである。
i.年齢が18歳〜60歳であること、
ii.ボディマス指数(BMI)が18〜30であること、
iii.重い感染性疾患(エイズ、ウイルス性肝炎など)、代謝障害、神経障害、鬱の個人的病歴がないこと、
iv.腸微生物叢の組成を劣化させることのできる薬(抗生剤など)を最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)摂取していないこと、
v.胃腸疾患に関係する症状、例えば発熱、下痢、嘔吐、吐き気、胃痛、黄疸が最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)発生しておらず;重い感染性疾患、特にエイズ、肝炎などの病歴がないこと、
vi.熱帯諸国を最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)旅行していないこと、
vii.リスクがある性的行動をしていないこと、
viii.最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)、例えば傷、および/またはピアス、および/または入れ墨を通じたヒト血液との接触がないこと、
ix.慢性疲労が最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)はないこと、
x.アレルギー性反応が最近(供与する前のほぼ3ヶ月間)はないこと
xi.場合によっては多彩な食事をしていること。
【0037】
ドナーを選択する基準は、献血のために欧州で一般に利用されている基準に基づいているが、糞便供与に独自の追加基準と糞便微生物叢移植の文脈における独自の追加基準がある。そこで基準(i)〜(xi)がドナーを選択するために規定された。
【0038】
多彩な食事に関係するオプションの基準の目的は、糞便微生物叢のサンプルに含まれる細菌多様性を大きくする能力を増強するためである。したがってドナーは多彩な食事をすることが好ましい。
【0039】
「多彩な食事」とは、多彩な野菜とさまざまな穀物(繊維質の定期的な摂取を可能にする)で構成されるだけでなく、果実と肉からも構成される食事を意味する。
【0040】
「細菌の多様性」とは、属または種のレベルで測定した多様性または変動性を意味する。細菌の多様性は、「濃さ」(サンプル中で観察される種の数)、「シャノン指数」、「シンプソン指数」などの用語で表現することができる。シャノン指数からは、種多様性、すなわちサンプル中の種の数(種の濃さ)と、これらの種の中の個々の分布(種の均等性)がわかる。シンプソン指数は濃さから導出され、それぞれの種の相対含量が考慮されている。シンプソン指数は0(小さな多様性)と1(大きな多様性)の間になる。逆シンプソン指数により、(シンプソン指数に関して種の濃さと相対含量を考慮することによる)多様性を0(小さな多様性)から無限大(大きな多様性)の範囲の数値に反映させることが可能になる。
【0041】
本発明の方法は、典型的には、ドナー対象からの糞便微生物叢を含む少なくとも1つの糞便サンプルを採取する工程a)を含んでいる。したがって少なくとも1つの糞便サンプルを採取する工程a)は、ドナー自身が例えば家で、または健康な専門家が実施することができる。
【0042】
少なくとも1つの糞便サンプルの採取は、その機能のために設計された採取装置を用いて実施し、糞便サンプルは嫌気環境に閉じ込められることが好ましい。例えば特許出願WO 2016/170290に記載されている回収装置が挙げられる。したがって典型的には、家で糞便を回収する装置が、選択したドナーに、利用者の手引とともに提供される。糞便サンプルは少なくとも20 gの重量であることが好ましい。
【0043】
サンプルを採取するこの工程の後、短時間の間に、例えばサンプルの採取後5分以内に、好ましくは3分以内に、より好ましくは1分以内に、サンプルを酸素が透過しない回収装置の中に入れる。これが工程b)である。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、糞便微生物叢の少なくとも1つのサンプルを採取する工程は、糞便サンプルを回収装置(例えば特許出願WO 2016/170290に記載されている回収装置)の中に直接入れることによって実施される。
【0045】
次いで、この方法は、この観点から一般に嫌気(嫌気雰囲気)下で、または空気への曝露が制限された封じ込めのもとで実施される。管理工程c)は、嫌気下で、または好気下で、または空気への曝露が制限された封じ込めのもとで実施することができる。本発明の一実施態様によれば、品質管理試験を実施するためのサンプルの採取は、好気下で実施される。本発明の一実施態様によれば、方法の工程b)と工程d)〜g)は、嫌気下で、または空気への曝露が制限された封じ込めのもとで実施される。空気への曝露を制限することにより、糞便微生物叢を構成していてサンプル中に存在する細菌の生存率が保持される。
【0046】
気密な回収装置は、
- ドナー対象からの糞便微生物叢のサンプルを受け入れるのに適した内部空間を有する本体と、本体の内部空間にアクセスする開口部を規定する首部を含む容器と、
- 首部のアクセス用開口部を閉じるとともに本体の内部空間を閉じるよう、容器の首部に気密かつ取り外し可能に取り付けるのに適した蓋を含んでいて、
容器の本体は可撓性パウチで構成され、容器と蓋の少なくとも一方に、容器の本体の内部空間に含まれるガスの少なくとも一部を排気するのに適した排気設備が取り付けられているタイプの形態であることが好ましい。
【0047】
装置の排気設備は、容器または蓋を貫通する通路と、この通路を塞いで外部流体が容器本体の内部空間に入るのを阻止する部品を含むことが好ましい。装置の排気設備は、通路の中に配置された微孔性濾過膜も含むことが好ましい。
【0048】
あるいは気密な回収装置は、
- ドナー対象からの糞便微生物叢のサンプルを受け入れるのに適した内部空間を有する本体と、本体の内部空間にアクセスする開口部を規定する首部を含む容器と、
- 首部のアクセス用開口部を閉じるとともに本体の内部空間を閉じるよう、容器の首部に気密かつ取り外し可能に取り付けるのに適した蓋を含んでいて、
- 容器の本体の内部空間に場合によっては化学装置中和用酸素が含まれるタイプの形態である。
【0049】
例えば方法の工程a)〜d)を実施するため、本発明の一実施態様によれば、WO 2016/170290に記載されているように、少なくとも1つの追加装置(例えば内部空間に流体(例えば工程d)で添加される溶液)を満たすのに適した追加フィルタ装置)を備えた回収装置を使用することが可能である。
【0050】
さらに、追加の装置として、分析(例えば工程c)の品質管理)のためにサンプルを取り出すのに用いる分析用チューブも可能である。
【0051】
気密な回収装置は、工程a)とb)で使用されることが好ましい。工程a)のサンプル採取は、装置(特に容器)から直接になされ、装置が特に蓋によって閉じられると、サンプルが無酸素雰囲気下に置かれる(工程b))。
【0052】
特に、工程b)で使用される上記の装置により、嫌気下で工程b)、d)、e)を実施することが可能になる。
【0053】
場合によっては、移動工程がこのようにして起こることができる。この移動工程により、サンプルを採取された場所から実験室に戻し、あとで処理と分析をすることが可能になる。
【0054】
工程b)の後、好ましくは工程b)が終了してから24時間以内に、品質管理工程c)を、採取したサンプルに対して実施する。この品質管理の目的は、あらかじめ決めた品質基準に合致しない糞便微生物叢のサンプルを排除することである。したがって品質管理の後に残ったサンプルは、糞便微生物叢の望ましい均一な混合物を形成するために受け入れることができると見なされる。
【0055】
一般に、品質管理基準は、
- 目視によってサンプルのコンシステンシーがブリストルスケールで1〜6であること、
- サンプル中に血液または尿が存在していないこと
を含んでいる。
【0056】
基準には、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、シガ毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、多剤耐性菌(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌、糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE))、リステリア・モノサイトゲネス、カルバペネム耐性菌が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム、サイクロスポラ属の種、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、二核アメーバが存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、ピコルナウイルス(アイチウイルスとエンテロウイルス)が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、プレジオモナス・シゲロイデスが存在していないこと
も含めることができる。
【0057】
サンプルのコンシステンシーの管理は、一般に目視によって実施する。サンプルのブリストルスケールが1〜6、好ましくは5である場合には[Lewis, S.J.;Heaton, K.W.(1997年9月)、「腸通過時間の有用なガイドとしての糞便形態スケール」、Scand. J. Gastroenterol.]、サンプルは許容可能であり維持される。
【0058】
サンプルの中に血液または尿が存在していないことの管理は、目視によって、または他の手段によって実施される。例えば迅速な免疫学的試験を利用することができる。例えばOC Sensor(登録商標)試験(フランス国のMAST Diagnostic社から入手できる)がある。これは定量的な免疫学的試験であり、ヒトのグロビンに特異的な抗体によってヘモグロビンを検出する。
【0059】
血液および/または尿の存在が見いだされた場合には、そのサンプルを除外する。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、ある種の寄生虫、ウイルス、細菌の不在についてのサンプルの管理も実施することができる。典型的には、ある種の寄生虫、ウイルス、細菌の不在についてのサンプルの管理は、1人のドナーにつき週に1回実施される。これは、典型的には、1週間に例えば5つのサンプルを提供する1人のドナーでは5つのサンプルのうちの1つの管理されることを意味する。本発明の一実施態様によれば、ある種の寄生虫、ウイルス、細菌の不在についてサンプルを管理する工程は、それぞれのサンプルについて実施される。
【0061】
サンプルにある種の細菌、ある種の寄生虫、ある種のウイルスが不在であることの管理は、当業者に知られている方法に従って実施される。
【0062】
好ましくは、以下の細菌、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、志賀毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、リステリア・モノサイトゲネス、多剤耐性菌(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)を産生するグラム陰性菌、糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)など)、カルバペネム耐性菌、腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、プレジオモナス・シゲロイデスがサンプルに不在でなければならない。
【0063】
上記の細菌は病原菌であり、回収した糞便微生物叢のサンプル中に存在していると、そのサンプルのドナーは選択から除外されることが好ましい。
【0064】
同様に、以下の寄生虫、すなわちクリプトスポリジウム、サイクロスポラ・カイェタネンシス、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、二核アメーバが糞便微生物叢のサンプルの中に不在でなければならないことが好ましい。
【0065】
同様に、以下のウイルス、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、ピコルナウイルス(アイチウイルスとエンテロウイルス)が糞便微生物叢のサンプルの中に不在でなければならないことが好ましい。
【0066】
細菌、寄生虫、ウイルスの存在の管理は、当業者に知られている方法に従って実施される。例えば、選択的条件下での培養、抗体を用いた細菌、寄生虫、ウイルスの検出、(例えばPCRによる)増幅、サンプル中のDNA配列の分析システムといった方法が挙げられる。DNA配列の分析システムとして、BioMerieux社(フランス国)からのFilmArray(登録商標)システムを挙げることができる。これは、細菌、寄生虫、ウイルスの検出に使用できる自動システムである。例えば以下の寄生虫、すなわちクリプトスポリジウム、サイクロスポラ・カイェタネンシス、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫をこのシステムによって検出することができる。Eurobio社(フランス国)からの「Allplex-GI」PCR試験シリーズも挙げることができる。
【0067】
他の寄生虫、例えばブラストシスチス・ホミニス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、二核アメーバは、必要な場合にはサンプルを濃縮して顕微鏡検査によって検出することができる。ストロンギロイデス・ステルコラリスは、必要な場合にはサンプルを濃縮した後に例えば選択的染色によって検出することができる。
【0068】
多剤耐性菌、例えばESBL、VRE、GREは、特定の条件下で例えばBioMerieux社から販売されているESBL培地、VRE培地、ALOA培地を用いて培養することによって検出できる。
【0069】
細菌とウイルスのいくつかの種に関しては、サンプルに不在である必要はない。本発明の一実施態様によれば、以下の細菌、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、プレジオモナス・シゲロイデスの存在は、サンプルを除外する基準ではない。本発明の一実施態様によれば、EBVウイルスの存在は除外の基準ではない。なぜならこのウイルスは、現在は一般人の集団に広がっているからである。
【0070】
一般に、サンプル中に血液または尿が不在であることの管理と、場合によってはサンプルに所定の寄生虫、ウイルス、細菌が不在であることの管理を含む管理工程c)の後に残ったサンプルは、工程d)へと進む。工程d)は、凍結防止希釈剤の添加を含んでいる。
【0071】
一般に、工程d)のため、サンプルは別々に、凍結防止希釈剤を添加することによって液体接種材料に変換される。一般に、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液が、品質管理工程c)の後に残ったサンプルのそれぞれに添加される。
【0072】
適切な任意の希釈剤/凍結防止剤を使用して接種材料を調製することができる。ポリオール、二糖、三糖、多糖のいずれか、またはこれらの混合物を使用できることが好ましい。ポリオール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、プロピレングリコール、エチレングリコールを挙げることができる。二糖、三糖、多糖として、異なるユニットまたは同じユニットからなる二量体、三量体、四量体、五量体を挙げることができ、そのユニットは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、フコース、N-アセチルノイラミニン酸から選択される。使用できる二糖のうちで、トレハロース、またはその類似体のうちの1つ、またはサッカロースを挙げることができる。凍結防止剤の選択は、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、プロピレングリコール、エチレングリコール、トレハロースとその類似体、サッカロース、ガラクトース-ラクトースと、これらの混合物からなされることが好ましい。より好ましいのは、凍結防止剤がガラクトース-ラクトースまたはトレハロースであることである。
【0073】
典型的には、生理食塩水性溶液の中に存在する凍結防止剤の量は、最終接種材料の全体積に対して3〜30重量%であり、4〜20%(wt/vol)が好ましい。
【0074】
増量剤、例えばデンプン(特にコムギまたはトウモロコシ)の部分的加水分解物と、マルトデキストリンを大量に含有するデンプン性食品(例えばジャガイモ)の部分的加水分解物を挙げることができる。増量剤は、マルトデキストリンの混合物であることが好ましく、その中にマルトデキストリンは、(最終接種材料の全体積に対して)3〜30%、好ましくは4〜20%存在している(重量/体積)。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、希釈剤/凍結防止剤は、少なくとも1つの凍結防止剤と増量剤を含む生理食塩水性溶液である。
【0076】
典型的には、この溶液は、水と生理学的に許容可能な塩類を含有している。典型的には、この溶液は、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩を、塩化第一鉄、グルコン酸塩、酢酸塩、炭酸水素塩のいずれかとともに含むことになる。生理食塩水性溶液は、場合によっては少なくとも1つの抗酸化剤も含むことができる。抗酸化剤は、アスコルビン酸とその塩、トコフェロール、システインとその塩、特に塩酸塩と、これらの混合物から選択することができる。生理食塩水性溶液は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化カリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムから選択した少なくとも1つの塩と、場合によっては、L-アスコルビン酸塩、トコフェロール、システイン塩酸塩一水和物と、これらの混合物から選択した少なくとも1つの抗酸化剤を含むことが好ましい。典型的には、塩は、生理食塩水性溶液の中に(最終接種材料の全体積に対して)約5〜20 g/l、好ましくは7〜10 g/lの濃度で存在する。典型的には、抗酸化剤は、生理食塩水性溶液の中に、(最終接種材料の全体積に対して)0.3〜1%(重量/体積)、好ましくは0.4〜0.6%(重量/体積)の量で存在する。
【0077】
一般に、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液は、糞便微生物叢のサンプルに、重量(g)/体積(ml)の比が1:0.5〜1:10で、好ましくは1:2〜1:8で、より好ましくは1:4で添加される。サンプル:溶液の重量/体積比が0.5重量:10体積であるとは、サンプルを溶液の体積10(例えば10 ml)につき重量0.5(例えば0.5 g)で混合することを意味する。
【0078】
少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液を添加する工程d)は、嫌気下で、または空気への曝露が制限された封じ込めのもとで実施することが好ましい。本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液は、下記の回収装置の追加装置の中に添加された後、この溶液は閉じられたパイプを通じて糞便サンプルに添加される。少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む少なくとも1つの生理食塩水性溶液とサンプルの混合は、特に混合によって実施することができ、均一な混合物が得られる。
【0079】
この希釈工程の後に得られるサンプルを次に工程e)で濾過する。濾過工程は、直径が0.5 mm以下の孔、好ましくは265μm以下の孔を有する1つのフィルタ(またはサイズが小さくなっていく複数の孔を持ついくつかのフィルタ)を用いて実施することが好ましい。いくつかのフィルタを用いる場合には、孔のサイズが徐々に小さくなっていく。使用する第1のフィルタは、直径が2 mm以下、好ましくは1μm以下の孔を含むことが好ましい。使用する最後のフィルタは、直径が0.5 mm以下、好ましくは265μm以下の孔を含むことが好ましい。このようにして個々の接種材料が得られる。この濾過工程e)は、嫌気下で、または空気への曝露が制限された封じ込めのもとで実施することが好ましい。濾過中、工程d)からのサンプルを、手で、または機械的作用によって、または重力によって、または真空によって、または他の適切な手段によって押して通過させることができる。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、接種材料を形成するため、すなわち工程d)とe)を実施するため、ドナーごとに(重量に関して)同じ量の糞便を用いる。適切な量として、例えば25〜80 g、好ましくは40 gを挙げることができる。したがって個別の接種材料は、同じサンプル量の糞便微生物叢を用いて製造される。
【0081】
工程f)は、濾過工程e)からの接種材料をプールすることからなる。特に、典型的には個別の接種材料が容器(可撓性パウチが好ましい)に移される。典型的には、接種材料をプールするこの容器の体積は、1L〜5L、好ましくは3L〜5Lである。この体積は、方法を工業化するスケールに合わせてより大きくすることができる。移動は、手作業によって、または機械的手段を利用して実施することができる。接種材料の移動は、機械的手段、例えば注射器、より好ましくは蠕動運動ポンプを用いて実施することが好ましい。適切な蠕動運動ポンプは例えばInterscience社(フランス国)から市販されている。
【0082】
接種材料は、プールした後に混合して均一な混合物を形成する(均一化工程g))。したがってこの均一な混合物は、糞便微生物叢の「バッチ」と見なされる。接種材料の混合は、任意の手段によって実施することができる。接種材料の混合は、手作業によって、または当業者に知られている機械的手段によって実施することができる。例えばStuart社(イギリス国)から入手できるプラットフォーム・シェイカーを挙げることができる。
【0083】
一般に、撹拌速度は、80〜200 rpm、好ましくは90〜150 rpm、より好ましくは100〜135 rpmを用いることができる。一般に、均一化は、10分間〜2時間、好ましくは20分間〜1時間、より好ましくは30分間の期間にわたって実施することができる。この期間は撹拌速度に依存する。当業者は、選択した均一化法に応じて必要な均一化時間をどのようにして求めるかを知っている。比色試験を利用して混合物が均一であるかどうかを検証することができる。目視も利用できる。比色試験の後に目視を実施して混合物が均一であるかどうかを判断することが好ましい。
【0084】
均一化工程は、2〜25℃、好ましくは2℃〜8℃、より好ましくは4℃の温度で実施することができる。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、分析工程は、工程g)で得られた均一な混合物を保管するか、凍結乾燥させる前に、この混合物に対して実施することができる(下記の詳細な説明を参照されたい)。pHとPO2を測定することができる。当業者に知られている方法を利用してこれらの測定を実施する。典型的には、混合物のPO2は、10%未満、好ましくは5%未満であり、典型的にはpHは4〜7、好ましくは4.5〜6.5である。
【0086】
工程a)の開始から工程g)の終了まで、76時間未満であることが好ましい。
【0087】
一般に、最終産物(均一な混合物)は、以下の仕様を満たしている:
外観:均一な黄色/茶色の懸濁液。
生存率:20%超、凍結乾燥のためには40%超が好ましい。
(細菌)イベントの数:109細菌/mlよりも多い。
細菌の多様性:逆シンプソン指数が4以上。接種材料の混合物のシンプソン指数は、10以上、好ましくは15超、より好ましくは20超であることが好ましい。
【0088】
一般に、均一な混合物は、保管または凍結乾燥のために移される(移動工程h)。したがって混合物は、
- この混合物を16時間後以降に使用するために約-50℃〜-80℃、好ましくは約-80℃で保管することを目的として、または
- 約16時間以内に使用するために2〜6℃で保管することを目的として、または
- この混合物を次の4時間以内に使用するために10〜25℃で保管することを目的として、
パウチに移される。周囲温度の状態で4時間を超えると、細菌の数が増加し、接種材料の均一性が低下する可能性がある。
【0089】
あるいは均一な混合物を凍結乾燥装置に移し、あとで、または直後に凍結乾燥させることができる。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、分析工程i)は、均一な混合物をその保管場所(典型的にはパウチ)または凍結乾燥の場所(典型的には凍結乾燥装置)に移動させる工程h)の後に得られる均一な混合物に対して実施することができる。具体的には、この分析工程は、目視、生存率の測定、分類学的分析、イベントの数/mlの測定を含んでいる。この分析工程の目的は、サンプルが、FMT療法で使用するための品質基準を満たしているかどうかを明らかにすることである。
【0091】
典型的には、混合物は黄色/茶色である。典型的には、生存率は20%超でなければならない。本発明の一実施態様によれば、生存率は40%超であることが好ましい。混合物を凍結乾燥する必要がある場合には、生存率は40%超であることが好ましい。一般に、フローサイトメトリーによって測定される細胞の濃度は106個超の細菌/ml、好ましくは107個の細菌/ml、より好ましくは109個の細菌/mlである。分類学的分析に関しては、一般に、シャノン指数が3.5超、好ましくは4超であることが好ましい。
【0092】
本発明の一実施態様による方法で得られる混合物が優れた品質であることが、出願人によって実証された。本発明の一実施態様に従って健康なドナーからの6つの新鮮な糞便を用いて実施した方法の定性的評価の結果が、実施例1に示されている。微生物叢の生存率の試験を、プール工程f)の前、かつ均一化工程g)の後に、それぞれの接種材料で実施した。
【0093】
出願人は、プールされた接種材料によって構成される均一な混合物が独自の細菌生存率を持っていて、その値が予想されるよりも大きいことに気づいた。
【0094】
図2は、実施例1の接種材料(接種材料1、4、5、6、2+8)の微生物叢の生存率(%)と、保管用の接種材料のパウチ1〜15に含まれる接種材料混合物(均一な混合物)の微生物叢の生存率(%)のヒストグラムである。図2は、個々の接種材料(接種材料1、4、5、6、2+8)が同じ個別の生存率を持つことはないが、接種材料の混合物は、個々の接種材料とは異なる独自の生存率を持つことを示している。それに加え、本発明の方法は、微生物叢の生存率が各パウチでほぼ同じ(40%超)であるため、最終混合物のパウチの優れた再現性を保証する。
【0095】
均一な混合物のパウチの統計的分析は、微生物叢の生存率についても、μl当たりのイベントの数についても、t検定と順位検定で有意な差がないことを示している。したがって出願人は、混合物に関して準備したすべてのパウチが互いに均一であることを示したことになる。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、健康なドナーからの新鮮な糞便の4つの異なるパウチ(パウチ番号1〜4)で実施した方法の定性的評価の結果が、実施例2に示されている。パウチ番号4は、実施例1で使用したのと同じバッチである(図2に示されている)。実施例2では、ドナーの数は、パウチ番号1、パウチ番号2、パウチ番号3、パウチ番号4のそれぞれについて2人、7人、4人、6人である。出願人は、細菌の生存率と多様性を、(工程e)の後の)個々の接種材料と、(工程g)の後の)均一化されてプールされた接種材料と、保管前に充填されたパウチについて測定した。
【0097】
図3には、個々の接種材料は変動するが、接種材料の混合物は、個々の接種材料とは異なる独自の生存率を持つことが再び示されている。バッチ番号1〜4の生存率は46.1%〜60.1%に位置しており、これは優れた値である。
【0098】
図4aは、サンプルの濃さを示している。変動係数(CV)を個々の接種材料について計算した。CV(変動係数または相対偏差)は、平均値のまわりのデータの分散の1つの指標である。これは、平均値に対する標準偏差の比の計算値である。CVによって1つのサンプルと別のサンプルの変動の程度を計算することが可能になる。CVの値が小さいほど、数値はより均一、またはより安定である。4つのバッチの個々の接種材料のCVは16%〜81%の間を変動する。この違いは正常である。なぜなら個々の接種材料は非常に異なることが知られているからである。(工程g)に由来する)プールされた接種材料のそれぞれについて、バッチごとの変動係数は0.3%〜2%である。この小さな変動は、各バッチの接種材料の混合物が均一かつ安定であることを示している。
【0099】
種レベルまたは属レベルで測定した濃さは、個々の接種材料と比べてプールされた接種材料のほうが顕著に大きい。平均すると、濃さは、個々の接種材料と比べてバッチ番号4では64%増加し、バッチ番号1と3では147%増加している。
【0100】
平均すると、プールされた接種材料の属レベルで測定した濃さは、個々の接種材料と比べてバッチ番号4では25%増加し、バッチ番号1と3では61%増加している。バッチ番号1〜4の濃さは驚くべきものであり、個々の接種材料の個々の濃さから導出することはできない。言い換えると、接種材料の混合物(プールされた接種材料)のこの濃さは、直接的な平均値ではなく、個々の接種材料の重量によって重みづけした平均値でもなく、測定された個々の濃さの割合によって重みづけした平均値でもない。この結果は想定外である。
【0101】
プールされた4つの接種材料の中に存在するプロテオバクテリアの割合を測定した(表5参照)。その値は、パウチ番号1、パウチ番号2、パウチ番号3、パウチ番号4のそれぞれについて5.5%、3.7%、3.1%、3.4%である。
【0102】
結論として、接種材料をプールすると、微生物叢の濃さが予想外に増加する。したがって接種材料の混合物は、独自の特徴を持つ糞便微生物叢の1つのサンプルである。
【0103】
図4bは、本発明の方法が、バッチのために得られて臨床での利用が想定されている製品(均一な混合物)の標準化を含むことを示している。この図は、各バッチのための(プールされた接種材料を含有する)パウチ間のブレイ-カーティス類似度が96%超であることを示している。この結果は、分類学的プロファイルに関して接種材料(均一な混合物)のパウチが均一であることを示している。
【0104】
細菌の多様性を、逆シンプソン指数とシャノン指数を用いて測定した(表5)。
【0105】
結果は、ドナーの逆シンプソン指数が5〜30の間で変化することを示している。各微生物叢は異なっているため、この差は正常である。表5に提示したデータによれば、プールされた接種材料に関する逆シンプソン指数は、20.2と27.2の間に位置する。(工程g)の後に)プールされた接種材料の細菌多様性は、個々のドナーの細菌多様性よりも大きい(ただしバッチ番号3は、1人のドナーの多様性がプールされた接種材料の多様性よりも大きいため例外である)。
【0106】
シャノン指数は、ドナーについては2.4と4.2の間にある。それぞれの微生物叢は異なっているため、この差は正常である。プールされた接種材料のシャノン指数は4と4.50の間にある(表5参照)。
【0107】
各バッチについて、プールされた接種材料の多様性は個々のドナーの多様性よりも大きいこともわかる。濃さに関して得られた値は予測することができず、それぞれが均一な混合物に独自の特徴を構成する。
【0108】
発明者は比較試験を実施し、本発明の方法に従って得ることのできる接種材料の混合物が、既知の方法、特に複数ドナー法に従って得られる糞便微生物叢のサンプルと比べて一般に有利な特徴を持つことを示した。そこで実施例3には、先行技術に記載されている方法[Paramsothy S.他(2017年)、「活動性潰瘍性大腸炎のための複数ドナー集中的微生物叢移植:無作為化プラセボ対照試験」、Lancet、3月25日;第389巻(10075):1218〜1228ページ]に従って製造したサンプルを発明者がどのようにして特徴づけたかと、本発明の一実施態様に従って製造したサンプルをそれらとどのように比較したかが記載されている。これら2つの製造法が図5に示されている。本発明の一実施態様に従って製造したサンプルは、先行技術の方法に従って製造したサンプルと比べて改善された生存率と改善された多様性を示した。
【0109】
製品の生存率を測定した。本発明の一実施態様によるプールされた接種材料の生存率は、5つのサンプルの平均で41.8%から、-80℃±10℃で1ヶ月保管した後には41.4%へと変化する。Paramsothyらの方法に従って得られたサンプルは、平均で38.5%から37.5%へと変化する。生存率のこの変化はウィルコクソン検定では有意でなく、本発明のサンプルについてのp値は0.462であり、参照サンプルについてのp値は0.1732である(Paramsothyらによる)。
【0110】
しかしウィルコクソン検定は、T0(0日目)のサンプルの2つのグループ間で生存率が有意差を示し、p値は0.01193であり、1ヶ月の時点でも同様である(p=0.007937)。
【0111】
それに加え、本発明の方法に従って調製したサンプルについての0日目の変動係数(CV)は0.010であるのに対し、先行技術による参照サンプルでは0.034である(Paramsothy他)。1ヶ月後の時点では、本発明の方法に従って調製したサンプルのCVは0.018であるのに対し、参照サンプルでは0.028である。実施例1について、発明者は、実施例2のために作製したサンプルで変動が非常に小さいことを示した。これは、各バッチの接種材料の混合物が均一で安定であることを示している。それと比べて参照サンプルはより大きなCVを示す。
【0112】
発明者は、実施例3のサンプルの細菌の多様性を、サンプルの16S rDNAを分析することによって分析した。多様性は、濃さ(OTUの数/同定された種)とそのそれぞれの相対含量の両方を考慮した逆シンプソン指数を用いて表現される。
【0113】
図6は、逆シンプソン指数の値が、本発明の一実施態様に従って調製したサンプルでは30.96と33.69の間に含まれ(中央値=32.56)、Paramsothyらに従って調製した「参照」サンプルでは13.70と23.18の間に含まれること(中央値=19.31)を示している。したがって観察された多様性は、本発明の一実施態様に従って調製したサンプルでより大きい。本発明の一実施態様に従って調製したサンプルはさらに、「参照」サンプルと比べて均一性が改善されている。そのことは変動の係数によって証明され、前者では2.7%であるのに対して後者では16.1%である。順位検定は、2つの方法の間に「非常に大きな有意」差があることを推定する(p<2.2×10-16)。
【0114】
図7は、実施例3のサンプルの2つの群に存在する10種類の科の細菌の相対含量を示している。サンプルInv-01〜Inv-10は、Paramsothyらの先行技術に従って作製されたサンプルRef-01〜Ref-10と比べて均一性が顕著に改善されている。視覚的ではあるが、この表示により、いくつかの科について、Paramsothyらの方法によって生じる不均一性のレベルのほか、2つの方法の間の含量の偏差を観察することが可能になる。
【0115】
均一性、多様性、含量における偏差が、分類学的レベルで明確に示されている。さらに、実施例3の表6に示されているように、発明者は、健康にとって好ましいと認識されているいくつかの種の細菌が、サンプルInv-01〜Inv-10ではサンプルRef-01〜Ref-10と比べて維持状態が優れていることに気づいた。例えばアクチノバクテリア門では、相対含量がParamsothyらの方法を利用するとき顕著に低下する。なぜなら含量のこの中央値はサンプルInv-01〜Inv-10では3.6%であるのに対し、サンプルRef-01〜Ref-10では0.9%であるからである。均一性に関しては、発明者は、それぞれの変動係数が7.8%と14.5%であることを観察した。さらに、図7では、アクチノバクテリア門の1つの科であるコリオバクテリア科の相対含量に関して本発明のサンプルと参照サンプルの間で有意な差が観察される。
【0116】
同様の結果がプレボテラ属(バクテロイデス門に関係する属)で観察され、いくつかの分類群の維持状態と均一性に関して2つの方法の間に違いがあることが確認される。プレボテラの相対含量は、サンプルInv-01〜Inv-10(中央値が13%)ではサンプルRef-01〜Ref-10(中央値が11%)と比べて多い。均一性について、発明者は、それぞれの変動係数が3.3%と8.5%であることを観察した。
【0117】
最後に、(アクチノバクテリア門に属する)ビフィドバクテリウム属も他の分類学的レベルで既に観察された結果を追認する。ビフィドバクテリウムの相対含量は顕著に減少していることが見いだされ(0.9%対0.6%)、Paramsothyらの方法によって製造したサンプル間の均一性は、本発明の一実施態様に従って製造したサンプル間よりも小さい(実施例3の表6を参照されたい)。
【0118】
したがって、これらの事項から、一般に、本発明の方法によってこの門の維持状態を改善することが可能になり、それに伴って各バッチのために製造されたサンプルのレベルで均一性が非常に改善されることがわかる。特に本発明の一実施態様に従って製造したサンプルを、先行技術に従って製造したサンプルと比べた場合にそうなっている。この改善された均一性は、医薬製品としての最終製品の特徴づけにとって基本的に重要である。したがって同じバッチからの糞便微生物叢のいくつかのサンプルを受け入れる患者は、毎回、多様性が同じで微生物の生存率が同じである均一な製品を受け入れる。この再現性は、サンプルの製造に用いる方法によって保証される。
【0119】
結論として、実施例3のメタゲノム分析(16S rDNAシークエンシング)により、本発明の一実施態様に従って得られたサンプルは、
- 逆シンプソン指数がはるかに大きいことによって示されるように多様性の維持状態が改善されており、
- 興味あるいくつかの分類群(アクチノバクテリア門などであり、その中には周知のビフィドバクテリウム属が含まれる)の維持状態が有意により大きくなっており、
- サンプル間の均一性のレベルが、Paramsothyらの方法に従って製造されたサンプルのセットで得られた均一性のレベルよりも高い
ことを実証することができる。
【0120】
一般に、本発明の方法は、先行技術の方法と比べて再現性が改善されている。これは、規制する上で均一かつ再現性のあるバッチという考え方が根本的に重要である薬の製造法にとって非常に重要である。異なるバッチで測定される濃さの値(図9参照)は、実際、バッチ間の再現性が大きいことを示しており、変動係数が3.5%である。したがってこれらの結果は、バッチ間とバッチ内で糞便微生物叢が均一であることを示している。発明者は、このようにして得られた接種材料の混合物が、いくつかの個別の接種材料よりも大きな分類学的プロファイルと細菌生存率を持つことを観察した。これは、この混合物が同種異系FMT(糞便微生物叢移植)での使用に最適であることを意味する。本発明の方法に従って得られた接種材料の混合物は、大きくて安定な生存率と非常に大きな多様性を特徴とするため、FMTで使用するための品質に関して優れている。これらの特徴により、適切な微生物叢を再定着させる能力を、個別の接種材料を用いることによって得られると考えられるよりもより大きくすることが可能になる。
【0121】
本発明の好ましい一実施態様によれば、微生物叢のサンプルを調製する本発明の方法により、15種類の属の酪酸塩産生細菌、すなわちブラウティア属、フィーカリバクテリウム属、アリスティペス属、ユーバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属、クロストリジウム属、コプロコッカス属、オドリバクター属、ロゼブリア属、ホルデマネラ属、アナエロスティペス属、オシリバクター属、サブドリグラヌラム属、ブチリビブリオ属を含む微生物叢の均一な混合物を得ることが可能になる。この実施態様は、実施例4に示されている。
【0122】
実施例4は、選択基準(工程c))に合致した8人のドナーからの糞便の均一な混合物を得るための実験を記述している。次に、品質管理に合格した各糞便を、凍結防止希釈剤を添加することによって別々に処理した後、濾過した。その後、同日に得られた個々の接種材料を混合して製品の均一なバッチを取得した。
【0123】
複数ドナーの糞便と、製造された混合物のバッチの分析から、上記の15種類の属の酪酸塩産生細菌の濃度が、製造に使用した糞便の数に関係なく混合物の中で安定であることがわかる。この分析から、使用する糞便の数が増えるとこれら15種類の属の酪酸塩産生細菌の含量が標準化されることもわかる(図8と表7)。それに加え、15種類の属の酪酸塩産生細菌のすべてが複数ドナーの個々の糞便の中に見いだされるわけではないのに対し、少なくとも4つの糞便の混合物を用いて製造したバッチはすべて、それらの細菌をすべて含有している。
【0124】
本発明の好ましい一実施態様によれば、糞便微生物叢の均一な混合物を調製する方法は、少なくとも4人のドナーに由来する糞便微生物叢に基づいている。本発明の好ましい一実施態様によれば、微生物叢の均一な混合物は、以下の15種類の属の酪酸塩産生細菌、すなわちブラウティア属、フィーカリバクテリウム属、アリスティペス属、ユーバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属、クロストリジウム属、コプロコッカス属、オドリバクター属、ロゼブリア属、ホルデマネラ属、アナエロスティペス属、オシリバクター属、サブドリグラヌラム属、ブチリビブリオ属を含んでいる。
【0125】
上記の15種類の属の酪酸塩産生細菌が患者に投与される製品の中に存在していることが重要である。というのもこれらの属の細菌は抗炎症特性と関係しているからである。したがって治療の観点からすれば、均一な混合物の中にこれらが存在していると、特に腸内毒素症に関係する腸炎の治療でこれらの均一な混合物を使用することが有利である。
【0126】
均一な混合物は、信頼性よく、かつ再現性があるように製造するのが容易である。実施例1の結果は、製造した混合物のすべてのパウチで変動性と分類学的プロファイルが均一であることを示している。投与される微生物叢のサンプル(均一な混合物)の品質は再現性があり、一群のドナーに由来するパウチ間で同じである。それぞれのパウチを用いてほぼ同じ製品を投与することができる。したがって患者は、2回以上の治療が必要な場合には、数回の治療時に同じ製品を受け取ることができる。
【0127】
一般に、n人のドナーは、ほぼ3n個、好ましくは3.2n個のパウチを満たすのに十分な均一な混合物を提供することができる。なお、1つのパウチがあれば、TMF治療を1回実施するのに十分である。
【0128】
微生物叢の均一な混合物(またはプールされた接種材料)は、腸内毒素症とそれに関係する病状の治療に用いることができる。実際、この均一な混合物は、その活性成分に対応する。本発明の方法で製造されてプールされた接種材料の細菌の多様性は大きく、シャノン指数を4〜4.50、シンプソン指数を20.2〜27.2にすることができる。出願人は、個々の接種材料の生存率は非常に大きく変動するが、接種材料混合物(プールされた接種材料)は優れた生存率(約41%〜60%)を持つことも示した。本発明の一実施態様によれば、接種材料の均一な混合物は、生存率が40%超、好ましくは45%超、より好ましくは50%超、さらに好ましくは55%超である。細菌の多様性と生存率に関する基準は、FMTのための製品の品質を評価する上で非常に重要である。
【0129】
医薬製品の規制基準によると、製品が均一であることも重要である。下記の実施例のデータは、本発明の製品が均一であることを示している。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、微生物叢の均一な混合物(またはプールされた接種材料)は、直腸経路を通じて投与することができる。本発明の一実施態様によれば、微生物叢の均一な混合物(またはプールされた接種材料)は、経口経路を通じて投与するための製剤にすることができる。経口製剤として、特許出願EP 17306602.8で言及されている製剤を挙げることができる。
【0131】
上述のように、さまざまな研究から、FMTは移植片対宿主病(GvHD)の治療に有効である可能性を持っていることがわかる。したがって本発明の微生物叢の均一な混合物をGvHDの治療で用いることができる。さらに、上記の15種類の属の酪酸塩産生細菌が存在していることで、移植片対宿主病(GvHD)の治療の効果に寄与することができる。したがって本発明の一実施態様によれば、GvHDを患っている患者は、本発明の均一な混合物を含む同種異系FMTを受け入れることができる。例えば患者は、直腸経路を通じて同種異系FMTを受け入れることができる。患者はそれを経口経路で受け入れることもできる。
【0132】
微生物叢の均一な混合物は、医原性腸内毒素症、および/またはそれに関係していて、 敗血症、敗血症性ショック、胃腸障害(腸炎、下痢、粘膜炎、腹痛、胃腸出血が含まれる)を含む病状と合併症の治療に用いることができる。さらに、抗炎症効果を有する上記の15種類の属の酪酸塩産生細菌が存在していることで、治療の効果に寄与することができる。
【0133】
微生物叢の均一な混合物は、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)とそれに関連する下痢症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、特発性便秘、セリアック病、クローン病、肥満と病的肥満、自閉症、多発性硬化症、旅行者下痢症、慢性膣感染症(膀胱炎と真菌症を含む)、骨と関節の感染症、パーキンソン病、II型糖尿病、食物アレルギー、がん、抵抗性白血病、アルツハイマー病、統合失調症と双極性障害、抗がん化学療法または免疫療法に伴う腸内毒素症、アルコール性と非アルコール性の肝疾患の治療で使用することができる。
【0134】
微生物叢の均一な混合物は、入院での集中治療に起因する合併症の治療に用いることができる。
【0135】
以下の実施例を参照して本発明をさらに説明する。権利を請求する本発明は、いかなる意味でもこれら実施例に限定されないことを理解されたい。
【実施例】
【0136】
実施例1:
【0137】
工程a)とb):6人の健康なドナーからの8つの新鮮な糞便をWO 2016/170290に記載されている医用装置の中に回収した後、72時間にわたって+2℃/+8℃で保管し、その間に品質管理(工程c))を実施した。この管理の結果に基づき、ドナー3と7からの糞便を除外した。
【0138】
糞便1、4、5、6、2+8を別々に、凍結防止希釈剤(マルトデキストリンと20%のトレハロースの混合物を含有する生理食塩水性溶液)を添加することによって液体接種材料に変換し、フィルタ(265μm)を通過させて透明にした。糞便2と8は、採取された糞便が少量であったため、組み合わせて1つの接種材料を形成した。
【0139】
接種材料1、4、5、6、2+8(5つの接種材料)の生存率を調べた。次いで蠕動運動ポンプを用いて個々の接種材料を5Lの可撓性パウチに移した。次にパウチを、4℃に設定された冷却したインキュベータの中の撹拌プレートの上に置き、接種材料を125 rpm±5%で30分間混合した。
【0140】
均一化が終了した後、接種材料の混合物を凍結乾燥に適した15個のパウチに移し、-80℃で保管した。異なる条件下で均一な混合物を保管した場合の生存率と影響を、保管する前に15個のパウチそれぞれについて調べた。
【0141】
生存率の分析:
【0142】
Accuri 6サイトメータ(BD Science社)を用いたフローサイトメトリー技術を利用して生存率試験を実施した。サンプルを生理食塩水性溶液の中で0.9%に希釈した後、1:10の段階希釈によって1:10-3まで希釈した。サンプルをヨウ化プロピジウム蛍光体(PI)(10μl/ml)とSYTO9(登録商標)9(3μl/ml)で染色した。PIはDNAも標的にするが、膜が損傷している細胞の中にしか浸透しない。PIは、470 nmで励起した後に635 nm(赤色)で発光する。SYTO9(登録商標)9は、細胞が損傷しているかどうかに関係なく、すべての細胞の中に入ってDNAに結合し、470 nm(青色レーザー)で励起した後に540 nm(緑色)で発光する。糞便、接種材料、均一な混合物のサンプルをこれら2つの蛍光体の混合物で標識した後、フローサイトメトリーによって分析した。細菌の合計数(生きている細菌と死んだ細菌)に対する生きている細菌の割合から、サンプルの細菌生存率を得ることができる。分析する各バッチを、陽性対照(-80℃で保管した接種材料の参照サンプル)と陰性対照(-80℃で保管し、70%イソプロパノール(比1/9)の中で10分間インキュベートすることによって処理し、遠心分離し、0.9%NaClの中に懸濁させ、10-3まで10倍段階希釈した参照サンプル)を用いて検証した。
【0143】
結果:
【0144】
個々の接種材料の生存率の評価結果は、30.5%から67.6%まで変動する。同じ接種材料混合物を用いて調製した15個のパウチは、平均生存率が47.1%であり、標準偏差が1.98%である。個々の接種材料(接種材料1、4、5、6、2+8、薄い灰色)の微生物叢の生存率(%)と、保管用パウチ1〜15の接種材料混合物(黒色)の微生物叢の生存率(%)が、図2に示されている。
【0145】
まとめた結果を表1に提示する。
【0146】
【表1】
【0147】
統計的分析:
【0148】
生存率とイベントの数を、均一な混合物を含む15個のパウチで測定した。これら2つの測定がパウチ間で均一であるかどうかを評価するため、7つのパウチを群Aに、残りのパウチを群Bにランダムに割り当てて測定を500回実施した。
【0149】
それぞれの回で、t検定と順位検定を利用して群Aと群Bを比較した。下に示す最終結果は、回数の比率に対応しており、問題の統計的検定は有意でなかった(p値が0.1超)。
【0150】
これらのパウチは、生存率とイベントの数/μlに関して均一であるというのが結論である。
【0151】
【表2】
【0152】
結果は、微生物叢の生存率でも、イベント数/μlでも、t検定と順位検定で有意差がないことを示している。
【0153】
調製した15個の混合物のパウチは互いに均一であると結論することができる。
【0154】
保管:
【0155】
混合物を調製する方法を実施している間、品質管理を実施しつつ中間的保管を実施する必要がある。この中間的保管が微生物叢の生存率に及ぼす影響を明らかにするため、以下の評価を実施した:
- 対照条件:調整後、接種材料をただちに-80℃で保管する、
- 周囲温度で保持する状態:調製後、接種材料を周囲温度で16時間維持し、サンプリングを実施して微生物叢の生存率、微生物叢のイベント/μl、pHとPO2を測定した後、接種材料を-80℃で保管する、
- 4℃で保管する状態:調製後、接種材料を4℃で16時間保管し、サンプリングを実施して微生物叢の生存率、微生物叢のイベント/μl、pHとPO2を測定した後、接種材料を-80℃で保管する。
【0156】
その後、3つの接種材料を解凍し、微生物叢の生存率を測定する。
【0157】
データは、微生物叢の生存率の中央値が、接種材料を16時間にわたって周囲温度で保管するか4℃で保管するかに関係なく同じであることを示している。解凍後、接種材料の微生物叢の生存率の中央値は、接種材料を周囲温度で保管するか4℃で保管するかに関係なく低下する。凍結後に生存率は低下することが予想される。両方の場合(4℃と周囲温度)で同じ現象が観察されることに注意されたい。
【0158】
イベントの数/μlは、接種材料と、4℃で保管した接種材料で同じであることを観察できるが、予想されるように、周囲温度で保管した接種材料では増加する。同じことが、接種材料を解凍した後に観察される。
【0159】
これらの結果はすべて、4℃で保管しても周囲温度で保管しても、16時間にわたる保管が微生物叢の生存率に影響を与えることはないが、イベントの数/μlは周囲温度だと増加していて微生物叢が発達していることを示しているのに対し、4℃では微生物叢は潜在状態にあることを示している。pHとPO2の測定結果を表3に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
これらの結果は、16時間の保管が、4℃で保管した接種材料のpHとPO2にはまったく影響を与えないことを示している。
【0162】
実施例2:
【0163】
実施例1とほぼ同じ条件を利用し、糞便微生物叢サンプルの4つのバッチ(バッチ番号1〜4)で本発明の方法を実施した。そのとき、バッチ番号1、バッチ番号2、バッチ番号3、バッチ番号4のそれぞれについて、ドナーは2人、8人、4人、6人であった。バッチ番号4は実施例1のバッチに対応する。したがってバッチ番号4については、採取された糞便の量が少なかったため、6つの糞便のうちの2つを合体して1つの接種材料を形成した。
【0164】
糞便を別々に、凍結防止希釈剤(マルトデキストリンと20%のトレハロースの混合物を含有する生理食塩水性溶液)を添加することによって液体接種材料に変換し、フィルタ(265μm)を通過させて透明にした。
【0165】
接種材料の生存率と分類学的プロファイルを調べた。次いで個々の接種材料を蠕動運動ポンプで3Lまたは5Lの可撓性パウチに移した。次にパウチを、4℃に設定された冷却したインキュベータの中の撹拌プレートの上に置き、接種材料を4℃に設定されたインキュベータの中で130 rpm±5%にて30分間混合した。
【0166】
均一化が終了した後、各バッチについて、接種材料の混合物を凍結させるのに適した一連のパウチに移し、-80℃で保管した。均一な混合物の生存率と分類学的プロファイルを調べた後に保管した。バッチ番号1については、2つの糞便を回収し、5つのパウチに充填した。バッチ番号2については、8つの糞便を回収し、29個のパウチに充填した。バッチ番号3については、5つの糞便を回収し、21個のパウチに充填した。バッチ番号4については、6つの糞便を回収し、そのうちの2つの糞便を組み合わせて1つの接種材料を形成するのに十分な材料にした後、15個のパウチに充填した。
【0167】
生存率の分析:
【0168】
生存率試験を実施例1のようにして実施した。
【0169】
メタゲノム分析:
【0170】
NucleoSpin Soilキット(Machery Nagel社)を用いてゲノムDNAをサンプルから抽出した。MyTaq HS-Mixキット(Bioline社)を用いて各サンプルについてシークエンシングライブラリをコンパイルした。次にライブラリをMiSeq V3での2×300 pbのランによってシークエンシングした。
【0171】
Trimmomatic[Bolger他(2014年)「Trimmomatic:Illumina配列データのための柔軟なトリマー」、Bioinformatics、第30巻(15)、2114〜2120ページ、doi: 10.1093/bioinformatics/btu170]を利用して分割済み(demultiplexed)配列の品質管理を実施した後、Bowtie2ソフトウエア(Langmead、Ben、Salzberg、(2013年)「Bowtie2を用いた高速のギャップ付きリードアラインメント」、Nature methods、第9巻(4)、357〜359ページ、doi: 10.1038/nmeth.1923.Fast)を利用してヒト配列を除去した。データを比較できるようにするため、配列の数を規格化してサンプル1つにつき60,000個の配列にした。VSEARCHを用いて配列をクラスター化した後、Silva 128データベースを用いて分類学的割り当てを実施した。分類学的分析と多様性の測定は、Rソフトウエア(R Core Team 2015, version 3.4.4, http://www.R-project.org)を用いて実施した。多様性の測定については、各サンプルについて60,000配列のうちの20個のサブサンプリングを実施し、中央値を測定した。
【0172】
結果:
【0173】
生存率:
【0174】
下記の表4は、各バッチの生存率を示している。個々の接種材料の生存率の評価結果は、16.8%から67.6%まで変動する。接種材料のプールされたバッチの生存率は下記の表に与えられており、46.1%と60.2%の間に位置する。
【0175】
【表4】
【0176】
下記の表5に結果を示す。
【0177】
【表5】
【0178】
実施例3:
【0179】
この研究の目的は、多数のドナーからの糞便微生物叢のサンプルを調製する2つの方法、すなわち
- 実施例2に記載されている方法と、
- Paramsothyらによる先行技術の方法[Paramsothy S.他(2017年)、「活動性潰瘍性大腸炎のための複数ドナー集中的微生物叢移植:無作為化プラセボ対照試験」、Lancet、3月25日;第389巻(10075):1218〜1228ページ]
を比較することである。図5に、利用したこれら2つの方法が示されている。
【0180】
生存率分析とメタゲノム分析を実施して得られた最終製品の生存率とその分類学的均一性を比較した。
【0181】
4人の健康なドナーからの4つの新鮮な糞便をそれぞれWO 2016/170290に記載されている医用装置の中に回収した後、72時間にわたって+2℃/+8℃で保管し、その間に品質管理(工程c))を実施した。
【0182】
これら4つの糞便を2つの部分に分割した。一方(「Inv」)は本発明の一実施態様に従って処理するためのものであり、他方(「Ref」)はParamsothyらによる先行技術の方法に従って処理するためのものである。
【0183】
糞便(「Inv」)を別々に、凍結防止希釈剤(マルトデキストリンと20%のトレハロースの混合物を含有する生理食塩水性溶液)を添加することによって液体接種材料に変換し、フィルタ(265μm)を通過させて透明にした。
【0184】
次いで蠕動運動ポンプを用いて個々の接種材料を1Lの可撓性パウチに移した。次にパウチを、4℃に設定された冷却したインキュベータの中の撹拌プレートの上に置き、接種材料を125 rpm±5%で30分間混合した。
【0185】
均一化が終了した後、接種材料の混合物を10個のクライオチューブに移し、-80℃で保管した。
【0186】
「Ref」の糞便を混合して外観が均一な製品を取得し、等張生理食塩溶液(0.9%NaCl)の中で透明にした後、濾過した。次に保管のため10%グリセロールをこの調製物に添加した。次いでこのようにして製造したサンプルを10個のクライオチューブに移し、-80℃で保管した。
【0187】
生存率と16Sメタゲノムの分析を実施例2に記載されているようにして実施した。結果に対するコメントを下に記載する。
【0188】
表6は、「Inv」サンプルと「Ref」サンプルに含まれるアクチノバクテリア、プレボテラ、ビフィドバクテリウムの相対含量を示している。
【0189】
【表6】
【0190】
実施例4:
【0191】
糞便の均一な混合物を得るための製造キャンペーンを実施例1に記載されているようにして実施した。工程c)の選択基準に合致する8人のドナーからの糞便を毎日、5週間の期間にわたって回収した。糞便を別々に、凍結防止希釈剤(マルトデキストリンと20%のトレハロースの混合物を含有する生理食塩水性溶液)を添加することによって液体接種材料に変換し、フィルタ(265μm)を通過させて透明にした。
【0192】
次に、同日に得られた個々の接種材料を混合して製品の均一なバッチを得た。
【0193】
DNA抽出、メタゲノムシークエンシング、バイオインフォマティック分析
【0194】
NucleoSpin Soilキット(Machery Nagel社)を用いて糞便の混合物からゲノムDNAを抽出した。TruSeqキット(Illumina社)を供給者の指示に従って使用し、シークエンシングライブラリをゲノムDNAの各サンプルについてコンパイルした。次に、ライブラリを、HiSeq2500(Illumina社)で「ペアードエンド」ランとして同時にシークエンシングした。
【0195】
Trimmomatic[Bolger他(2014年)「Trimmomatic:Illumina配列データのための柔軟なトリマー」、Bioinformatics、第30巻(15)、2114〜2120ページ、doi: 10.1093/bioinformatics/btu170]を利用して分割済み配列の品質管理を実施した後、Bowtie2ソフトウエア(Langmead、Ben、Salzberg、(2013年)「Bowtie2を用いた高速のギャップ付きリードアラインメント」、Nature methods、第9巻(4)、357〜359ページ、doi: 10.1038/nmeth.1923.Fast)を利用してヒト配列を除去した。データを比較できるようにするため、サンプル1つにつき配列の数を規格化しして20,000,000個の「ペアードエンド」配列にした。次に、RefSeqゲノムデータベース(2017年9月、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/refseq/)を用い、Kraken v.0.10.5-ベータ(WoodとSalzberg、2014年「Kraken:正確なアラインメントを利用した超高速メタゲノム配列分類」、Genome Biology、第15巻(3)、R46ページ、doi: 10.1186/gb-2014-15-3-r46)を利用して分類学的割り当てを実施した。
【0196】
結果:
【0197】
図8は、各ドナーの糞便(左側の最初の棒)の中と、それぞれ3人のドナー、4人のドナー、5人のドナー、6人のドナーの糞便から得られた均一な混合物のバッチの中の15種類の属の酪酸塩産生細菌、すなわちブラウティア属、フィーカリバクテリウム属、アリスティペス属、ユーバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属、クロストリジウム属、コプロコッカス属、オドリバクター属、ロゼブリア属、ホルデマネラ属、アナエロスティペス属、オシリバクター属、サブドリグラヌラム属、ブチリビブリオ属の相対含量を示している。これらの属の相対含量は各バッチで安定であり、均一な混合物を得るために用いる糞便の数が増えると標準化される(以下の表7参照)。
【0198】
【表7】
【0199】
15種類の属の酪酸塩産生細菌が個々の糞便のすべてで見いだされることはないが、少なくとも4つの糞便の混合物を用いて製造したバッチは、これらの細菌をすべて含有している(データは示さず)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【手続補正書】
【提出日】20201125
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の一実施態様によれば、工程c)のサンプルの品質基準は、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、志賀毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、多剤耐性菌基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌 - 糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)リステリア・モノサイトゲネス、およびカルバペネム耐性菌が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム、サイクロスポラ属の種、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、および二核アメーバが存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、およびピコルナウイルス(アイチウイルスとエンテロウイルス)が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、およびプレジオモナス・シゲロイデスが存在していないこと、
を含んでいる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の一実施態様によれば、糞便微生物叢のこの均一な混合物は多様性が大きく、シンプソン指数が15超、好ましくは20超である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
基準には、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、シガ毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、多剤耐性菌基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌 - 糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)リステリア・モノサイトゲネス、およびカルバペネム耐性菌が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム、サイクロスポラ属の種、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、および二核アメーバが存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、およびピコルナウイルス(アイチウイルスとエンテロウイルス)が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、およびプレジオモナス・シゲロイデスが存在していないこと
も含めることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
一般に、最終産物(均一な混合物)は、以下の仕様を満たしている:
外観:均一な黄色/茶色の懸濁液。
生存率:20%超、凍結乾燥のためには40%超が好ましい。
(細菌)イベントの数:109細菌/mlよりも多い。
細菌の多様性:逆シンプソン指数が4以上。接種材料の混合物のシンプソン指数は、10以上、好ましくは15超、より好ましくは20超であることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
微生物叢の均一な混合物(またはプールされた接種材料)は、腸内毒素症とそれに関係する病状の治療に用いることができる。実際、この均一な混合物は、その活性成分に対応する。本発明の方法で製造されてプールされた接種材料の細菌の多様性は大きく、シャノン指数を4〜4.50、シンプソン指数を20.2〜27.2にすることができる。出願人は、個々の接種材料の生存率は非常に大きく変動するが、接種材料混合物(プールされた接種材料)は優れた生存率(約41%〜60%)を持つことも示した。本発明の一実施態様によれば、接種材料の均一な混合物は、生存率が40%超、好ましくは45%超、より好ましくは50%超、さらに好ましくは55%超である。細菌の多様性と生存率に関する基準は、FMTのための製品の品質を評価する上で非常に重要である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ選択した少なくとも2人のドナーに由来する糞便微生物叢の均一な混合物を調製する方法であって、
a.そのあらかじめ選択したドナーから糞便微生物叢の少なくとも1つのサンプルを採取する工程と、
b.そのサンプルを採取してから5分以内の期間に、a)で得られたサンプルを、酸素が透過しない回収装置の中に入れる工程と、
c.採取したサンプルの品質を管理し、品質基準に合致しないサンプルを除外する工程と、
d.c)の品質管理工程の後に残ったサンプルのそれぞれに、少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤を含む生理食塩水性溶液を添加する工程と、
e.工程d)の終了時に得られたサンプルを濾過して一連の接種材料を形成する工程と、
f.それら接種材料を1つにまとめて接種材料の混合物を形成する工程と、
g.工程f)で得られた混合物を、特に手で撹拌することによって、または撹拌装置を用いることによって均一化する工程を含んでいて、
工程b)とd)を嫌気下で実施する方法。
【請求項2】
糞便微生物叢の前記均一な混合物が少なくとも4人のドナーに由来することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドナーをあらかじめ選択する操作が、以下の事前選択基準、すなわち
i.年齢が18歳〜60歳であること、
ii.ボディマス指数(BMI)が18〜30であること、
iii.重い感染性疾患、代謝障害、神経障害、鬱の個人的病歴がないこと、
iv.腸微生物叢の組成を劣化させることのできる薬を最近摂取していないこと、
v.胃腸疾患に関係する症状、例えば発熱、下痢、嘔吐、吐き気、胃痛、黄疸が最近発生しておらず;重い感染性疾患、特にエイズ、肝炎などの病歴がないこと、
vi.熱帯諸国を最近旅行していないこと、
vii.リスクがある性的行動をしていないこと、
viii.最近の傷、および/またはピアス、および/または入れ墨がないこと、
ix.慢性疲労が最近はないこと、
x.アレルギー性反応が最近はないこと
xi.場合によっては多彩な食事をしていること
に従ってなされることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)のサンプルの品質基準が、
- サンプルのコンシステンシーがブリストルスケールで1〜6であること、
- サンプル中に血液または尿が存在していないこと
を含むことを特徴とする、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程c)のサンプルの品質基準が、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター(Campylobacter)、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)(Clostridium difficile (A/B toxin))、サルモネラ属の種(Salmonella)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ属の種(Vibrio sp.)、シガ毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2(Shiga toxin-producing E.coli (STEC) stx1/stx2)、多剤耐性菌(multi-resistant bacteria)、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌(extended-spectrum beta-lactamases (ESBL)) - 糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)(glycopeptide/vancomycin resistant Enterococci (GRE/VRE))、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、およびカルバペネム耐性菌(carbapenem-resistant bacteria)が存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、サイクロスポラ属の種(Cyclospora sp.)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystis hominis)、蠕虫類(Helminths)、ストロンギロイデス・ステルコラリス(Strongyloides stercoralis)、イソスポーラ属の種(Isospora sp.)、微胞子虫類(Microsporidia)、および二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)が存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41(adenovirus F40/41)、アストロウイルス(astrovirus)、ノロウイルス(norovirus)、ロタウイルスA(rotavirus A)、サポウイルス(sapovirus)、およびピコルナウイルス(picornavirus)(アイチウイルスとエンテロウイルス(aichi virusおよびenterovirus))が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)(enteroaggregative E.coli (EAEC))、腸管病原性大腸菌(EPEC)(enteropathogenic E.coli (EPEC))、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st(enterotoxigenic E.coli (ETEC) It/st)、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)(Shigella/enteroinvasive E.coli (EIEC))およびプレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)が存在していないこと、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程c)のサンプルの品質基準が、
- 以下の微生物が存在していないこと、すなわちカンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル(A/B毒素)、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ属の種、シガ毒素を産生する大腸菌(STEC)stx1/stx2、多剤耐性菌、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌 - 糖ペプチド/バンコマイシン耐性腸球菌(GRE/VRE)、およびリステリア・モノサイトゲネスが存在していないこと、
- 以下の寄生虫が存在していないこと、すなわちクリプトスポリジウム・パルバム、サイクロスポラ属の種、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ブラストシスチス・ホミニス、蠕虫類、ストロンギロイデス・ステルコラリス、イソスポーラ属の種、微胞子虫類、および二核アメーバが存在していないこと、
- 以下のウイルスが存在していないこと、すなわちアデノウイルスF40/41、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスA、サポウイルス、およびピコルナウイルス(アイチウイルスおよびエンテロウイルス)が存在していないこと、
- 以下の細菌が存在していないこと、すなわち腸管凝集性大腸菌(EAEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)It/st、赤痢菌/腸管組織侵襲性大腸菌(EIEC)、およびプレジオモナス・シゲロイデスが存在しないこと、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凍結防止剤および/または増量剤が、ポリオール、二糖、三糖、多糖のいずれか、またはこれらの混合物と、増量剤であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記生理食塩水性溶液がマルトデキストリンとトレハロースを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程e)の濾過を、直径が0.5 mm以下、好ましくは265μm以下の孔を含むフィルタを用いて実施することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
サンプル回収から工程g)終了までの時間が76時間未満であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
均一化の工程g)を、2℃〜25℃、好ましくは2〜6℃、より好ましくは約4℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
以下の移動工程、すなわち
h.工程g)で得られた均一化された混合物を
i.約-50℃〜-80℃、好ましくは-80℃の温度で保管することを目的として、または約16時間以内に前記混合物を利用するために約2〜6℃の温度で保管することを目的として、または約4時間以内に前記混合物を利用するために10〜25℃の温度で保管することを目的として、接種材料パウチに移動させるか、
ii.凍結乾燥のため凍結乾燥装置に移動させる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
糞便微生物叢の前記均一な混合物が、15種類の属の細菌、すなわちブラウティア属(Blautia)、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)、アリスティペス属(Alistipes)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、クロストリジウム属(Clostridium)、コプロコッカス属(Coprococcus)、オドリバクター属(Odoribacter)、ロゼブリア属(Roseburia)、ホルデマネラ属(Holdemanella)、アナエロスティペス属(Anaerostipes)、オシリバクター属(Oscillibacter)、サブドリグラヌラム属(Subdoligranulum)、およびブチリビブリオ属(Butyrivibrio)を含むことを特徴とする、請求項2〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
同種異系糞便微生物叢の移植で使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項15】
逆シンプソン指数が15超、好ましくは20超であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法に従って得ることのできる糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項16】
腸内毒素症の治療で使用するための、請求項14または15に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項17】
移植片対宿主病(GvHD)の治療で使用するための、請求項14または15に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項18】
医原性腸内毒素症、および/またはそれに関係していて、敗血症、敗血症性ショック、胃腸障害(腸炎、下痢、粘膜炎、腹痛、胃腸出血が含まれる)を含む病状と合併症の治療で使用するための、請求項14または15に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【請求項19】
クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)とそれに関連する下痢症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、特発性便秘、セリアック病、クローン病、肥満と病的肥満、自閉症、多発性硬化症、旅行者下痢症、慢性膣感染症(膀胱炎と真菌症を含む)、骨と関節の感染症、パーキンソン病、II型糖尿病、食物アレルギー、がん、抵抗性白血病、アルツハイマー病、統合失調症と双極性障害、抗がん化学療法または免疫療法に伴う腸内毒素症、およびアルコール性と非アルコール性の肝疾患の治療で使用するための、請求項14または15に記載の糞便微生物叢の均一な混合物。
【国際調査報告】