(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021517247
(43)【公表日】20210715
(54)【発明の名称】流体の電解質電導度を検知する装置と方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20210618BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20210618BHJP
   G01N 27/333 20060101ALI20210618BHJP
【FI】
   !G01N27/416 302M
   !G01N27/26 391Z
   !G01N27/333 331Z
   !G01N27/416 302G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】2020549018
(86)(22)【出願日】20190311
(85)【翻訳文提出日】20201025
(86)【国際出願番号】EP2019056053
(87)【国際公開番号】WO2019175119
(87)【国際公開日】20190919
(31)【優先権主張番号】18382158.6
(32)【優先日】20180312
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520348794
【氏名又は名称】コンセホ スペリオール デ インベスティガシオンス シエンティヒカス
【住所又は居所】スペイン 28006 マドリッド,シー/セッラノ 142
(71)【出願人】
【識別番号】518244482
【氏名又は名称】インスティツシオ カタラナ デ レセルカ イー エスツディス アヴァンカッツ
【住所又は居所】スペイン 08010 バルセロナ,パッセイグ リュイス カンパニーズ 23
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ タナ, ラウラ
【住所又は居所】スペイン 08193 セルダンヨラ デル ヴァレス、カッレー デルス チル・レアス,カンパス ウーアーベー
(72)【発明者】
【氏名】リョレリャ ブスチンス,アンナ
【住所又は居所】スペイン 08193 セルダンヨラ デル ヴァレス、カッレー デルス チル・レアス,カンパス ウーアーベー
(72)【発明者】
【氏名】エスクイベル ボホークエツ、ホアン パブロ
【住所又は居所】スペイン 08006 バルセロナ,シー/サラゴッサ、4,2−2
(72)【発明者】
【氏名】サバテ ビツカッラ、ノイス
【住所又は居所】スペイン 08014 バルセロナ,バイゾス、シー/デル マスノウ 6−8
(57)【要約】

【課題】検知対象である流体の電解質電導度を検知する装置と方法を提供する。
【解決手段】 本発明の装置は、電極2、3と、この電極2,3を親水性材料又は多孔質材料又は流体用微細空洞を提供する手段4で接続する電極3とを有する電池1と、この電池1に接続される機器5を有する。電池1は、流体10が毛細管現象により前記流体用微細空洞4を充填する間電気エネルギを提供する。電池1は、イオン荷電の分析物の存在に対してのみ感受性があり、イオン荷電の分析物の存在が前記流体10の電解質電導度を決定する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の電解質電導度を検知する方法において、
(A)酸化電極(2)と還元電極(3)を有する電池(1)を用意するステップと、
前記酸化電極(2)と還元電極(3)は、離れて配置され、流体用微細空洞を提供する手段(4)で接続され、
前記手段(4)は、親水性材料、多孔質材料、空のレセプタクルのいずれか或いはそれらの組み合わせから構成され、
前記電池(1)は、検知対象である流体(10)の電解質電導度を決定するイオン荷電の分析物の存在に対してのみ感受性があり、前記流体(10)は、電池の電解質として機能するが燃料としては機能せず、
前記酸化電極(2)と還元電極(3)は、それぞれ自身を酸化又は還元する材料製であり、前記流体(10)を介して接続され、
前記電池(1)の内部抵抗は、前記流体(10)の電解質電導度に依存し、
前記電池(1)は、前記流体(10)を前記手段(4)の流体用微細空洞に注入することにより、活性化され、
(B)前記流体(10)が毛細管現象により前記流体用微細空洞を充填する間に、前記電池(1)が電気エネルギを出力するステップと、
(C)少なくとも1つの機器(5)を前記電池(1)を接続するステップと
を有し、
前記機器(5)は、その等価インピーダンスが前記電池(1)を特定の動作点で動作させるよう、構成され、前記特定の動作点は、直流電流法又はDCモード法により、前記流体(10)の電解質電導度を決定し、
前記機器(5)は、前記電池(1)により供給される電気エネルギから、前記流体(10)の電解質電導度を測定し、その結果、前記流体(10)の電解質電導度が、前記電池(1)の性能から、推定される
ことを特徴とする流体の電解質電導度を検知する方法。
【請求項2】
(D)前記電池の応答を調整するステップを更に有し、
前記ステップ(D)は、
(D1)前記流体(10)に化学種を添加するステップと、
これにより、前記電池(1)が動作する電解質電導度の範囲をシフトし、
(D2)前記流体(10)に塩を添加するステップと、
これにより、前記流体(10)の電解質電導度を増加して選択された検知範囲を達成し、
(D3)前記流体(10)に、酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかを添加するステップと、
前記ステップ(D3)は、前記酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかを電池(1)又は前記手段(4)へ添加する前に行われ、
これにより、前記酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかが、前記流体(10)内に存在する特定の物質と反応し、前記電解質電導度の変化を引き起こし、
(D4)所定量の滴定剤を、前記手段(4)に添加するステップと、
これより、前記流体(10)の特定のイオン濃度又は分子濃度を決定し、
(D5)イオン選択性膜を付加するステップと、
上記ステップ(D1)、(D2)、(D3)のいずれかと、ステップ(D4)、(D5)のいずれかの組み合わせにより実行される
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
流体の電解質電導度を検知する装置において、
酸化電極(2)と還元電極(3)を有する流体活性化電池(1)と、前記電池(1)に接続される少なくとも1つの機器(5)とを有し、
前記酸化電極(2)と還元電極(3)は、離れて配置され、流体(10)用の微細空洞を提供する手段(4)で接続され、
前記電池(1)は、前記流体(10)が毛細管現象により前記微細空洞を充填する間、電気エネルギを提供し、
前記手段(4)は、親水性材料、多孔質材料、空のレセプタクルのいずれか或いはそれらの組み合わせから構成され、
前記電池(1)は、イオン荷電の分析物の存在に対してのみ感受性があり、前記イオン荷電の分析物の存在が前記流体(10)の電解質電導度を決定し、前記流体(10)は電池電解質として機能するが燃料としては機能せず、
前記酸化電極(2)と還元電極(3)は、それぞれ自身を酸化又は還元する材料製であり、前記流体(10)を介して接続され、
前記電池(1)の内部抵抗は、前記流体(10)の電解質電導度に依存し、
前記機器(5)は、その等価インピーダンスが前記電池(1)を特定の動作点で動作するよう、構成され、前記特定の動作点は、直流電流法又はDCモード法により、前記流体(10)の電解質電導度を決定し、
前記機器(5)は、前記流体(10)の電解質電導度を測定し、その結果、前記の流体(10)の電解質電導度を、前記電池(1)の性能から推定する
ことを特徴とする流体の電解質電導度を検知する装置。
【請求項4】
前記電池(1)は、紙ベースの電池である
ことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記流体(10)は、水系流体であり、前記水系流体は、淡水、河川水、飲料水、インク、生物流体、非水性液体のいずれかであり、前記生物流体は、サリバ(saliva)、尿、血液、精子、血漿、粘液、粘液、涙、便、汗のいずれかを含み、前記飲料水は、ジュース又はミルクを含み、前記非水性液体は、イオン性液体を含む
ことを特徴とする請求項3−4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記機器(5)は、1つ或いは複数の電子モジュールを含み、この電子モジュールは、前記電池(1)の電力を管理する機能、前記電池(1)から得られた電気信号の制御・処理機能、電気通信機能のいずれかを実行する
ことを特徴とする請求項3−5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記機器(5)は、メモリーと、通信ユニットと、インディケータの内の少なくとも1つを有し、前記メモリーは前記測定の結果を記憶し、前記通信ユニットは前記結果を外部装置に送信し、前記インディケータは、視覚又は聴覚による指示装置を含み、前記視覚又は聴覚による指示装置は、前記結果を指示するブザー、スクリーン、ディスプレイ、アラームのいずれかを含む
ことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記機器(5)は、(a)前記電池(1)により提供される所定量の電気エネルギのみ(b)外部電源の電気エネルギのみ(c)前記電池(1)により提供される所定量の電気エネルギと前記外部電源からの所定量の電気エネルギを加えたものの内のいずれかにより、電力が供給されるよう構成される
ことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項9】
前記酸化電極(2)と還元電極(3)は、(a)並んだ状態(b)対向した状態(c)互いに入り込んだ状態、のいずれかの状態で配置される
ことを特徴とする請求項3−8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記電池(1)を複数個有し、これらを直列接続して出力電圧を増加させる、又は並列接続して出力電流を増加させる
ことを特徴とする請求項3−9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記手段(4)は、酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかを有し、前記流体(10)内に存在する特定の物質と反応し、前記流体(10)の電解質電導度の変化を引き起こす
ことを特徴とする請求項3,9,10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
イオン選択性膜をさらに有する
ことを特徴とする請求項3記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作動型電池例えば紙ベースの電池に関し、特に、流体の電解質電導度(electrolytic conductane)を電池を用いて検知/測定する装置と方法に関する。本明細書において電解質電導度とは、流体又は液体サンプルにおいて、そのイオン性組成物によって電気を流す能力のことである。
【背景技術】
【0002】
導電計(ECメーター)は溶液の導電性(導電度)を測定する。一般の実験室用導電計は、電位差法と電流測定法を採用し電極を4個使用する。交流又は電圧が電極の外側の対に加えられ、内側の対の間の電位と電流が測定される。簡易版では、2つの電極のみを用いて、電気負荷(交流又は電圧)を印加し、出力信号を読み取っている。
【0003】
産業用導電性プローブは時に誘電性を利用方法を採用する。この方法は、流体がセンサの電気部品を濡らさない利点がある。この方法では、2つの誘導性結合コイル(inductively-coupled coils)が使用される。1つは磁場を発生させる駆動コイルであり、それに正確に既知の電圧が印加される。誘導電流がセンサの出力である。
【0004】
化学分野や生化学分野においては、電導度測定は電解質電導度の測定であり、これを用いて化学反応や生化学反応の進行状況を監視している。電導度測定用バイオセンサは、液体サンプルの変化(反応中の荷電種(charged species)の生成と消費の結果としての変化)を測定するために開発されてきた。
【0005】
電導度測定用バイオセンサを使用する最大の利点(電流センサ又は電圧センサと比較して)は、非特許文献1に開示されている。これらの薄膜電極は、極小化され、実際の大規模生産に適合させることができる。基準電極を必要とせず光感度性ではない。低電力消費であり緩やかな測定要件でよい。多くの化合物を検出できるが、それは、荷電種の変化に起因する。従って溶液中のイオン性組成物の変化に起因する様々な反応をベースにして行われている。
【0006】
これらのバイオセンサは、2つの貴金属製電極間に電流を流す分析物の能力を測定する。この測定は、電気化学インピーダンス分光法(Elecrochemical Impedance Spectroscopy:EIS)による小さな正弦波AC信号を印加することにより、行われる(非特許文献2)。
【0007】
従来、電導度測定用バイオセンサは、共通面上にある2つの平行電極により構成されているが、マイクロエレクトロニクス産業と貴金属から得られた技術を用いて、多種類のセンサが開発されている。それらは互い位に交互に配置された電極のアレイからなる最適なデザインである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酵素触媒反応中又は酵素阻害中の荷電種の生成と消費に起因するイオン性生成物の改質現象(ionic composition modification phenomena)に基づいて、 これらの電導度測定用バイオセンサは広く研究されてきた。最初のアプローチの1つは、導電性セルとブリッジによって溶液中の尿素濃度(urea concentration)を決定することであった(非特許文献3)。この研究において、尿素濃度は、溶液中の導電性の変化により決定された。その変化は、酵素であるウレア−ゼ(urease)による尿素加水分解による炭酸アンモニウムの生成に起因する。尿素の測定は、pH7で0.1μM(マイクロモル)から2mM(ミリモル)の範囲で行われたが、溶液中に重金属(例、Ag,Hg)存在することが観測された。この重金属の存在は、ウレア−ゼの活性度を破壊的に干渉する。
【0009】
微細加工され交互に配置された電極の使用により、多検体用電導度測定用バイオセンサが、尿素、L−アスパラジン、クレアチニンを検出する為に、開発された。これは加水分解の為にそれぞれの酵素の固定化により行われた。(非特許文献4)。隣接する電極間の検出可能な干渉(臨床サンプルの高いイオン性背景と酵素反応で生成される小さな導電性変化に起因する干渉)が有るので、電導度測定用バイオセンサのアプローチは限定的であった。
【0010】
これらのセンサを携帯型で着用可能な装置へ適用する際の重要な制限事項は、上記装置に関連して必要とされる装置の大型化である。その理由は、インピーダンス測定を実行することと、必要とされる装置が多くの場合複雑となり嵩が大きくなる点である。この為、この種のセンサは、使い捨ての装置の製造で使用されるには適していない。
【0011】
研究で用いられる別のアプローチは、電極表面(非特許文献5)上と電極間の間隙(非特許文献6)内の抗体−抗原のタンパク質固定化であり、これにより、電極のコンダクタンスの変化を、生体認証事象の結果として、検知することである。同じ目的でISFET(Ion-selective Field-Effect Transisster:イオン選択電界効果型トランジスター)とEnFET(Enzyme Field-Effect Transisster:酵素電界効果型トランジスター)が開発された。FETとは、電界を利用して2つの電極間のチャネルの導電率を制御するトランジスターである。研究者は、ゲート(前記した2つの電極をつなぐ第3の電極)を機能させる様々なセンサを開発している(非特許文献7−10)。そのセンサの対象の一例は、pH−感受性、ペニシリン、グルコース、尿素である。しかし、これらの装置は、安定した信頼性のある基準電極を必要とする。このことが多くの場合実際のシナリオでの適用を妨げる。その限られた選択性も欠点である。
【0012】
それとは別に液体活性化電池は少なくとも2つの電気活性化電極(electroactive electrode)からなる装置である。それら電極の1つは酸化電極(アノード2)であり、他の1つは還元電極(カソード3)である。それらは、流体1を保持できる親水性又は多孔質材料(又は、レセプタクル/キャビティ)4で連結されている(図1)。電池は、流体を添加することにより、機能を開始する。それは、この流体が電池電解質として作用するからである。電池動作を活性化するのに使用される流体は、一般に水系流体である。これらの電池は、一次電池であり、複数の電極の1つが消耗するとその機能は停止してしまう。この限られた動作時間とその構造の簡単さと使用材料により、これらの電池は、特に短期間応用(例、診断装置、装着可能装置)に適したものとなる。
【0013】
この種の電池は、以下の文献に開示されている。
【特許文献1】US−A1−20080038588
【特許文献2】US−A1−20100203394
【特許文献3】WO 2007059589
【特許文献4】WO 2003034521
【特許文献5】CN−A−102760893
【特許文献6】US−A1−2017018784
【特許文献7】US−A1−2004245101
【特許文献8】US−A1−2010213057
【特許文献9】US−A1−2014349211
【特許文献10】US−A1−2016223490
【非特許文献1】N.Jaffrezic-Renault and S.V.Dzyadevych, "Conductometric Microbiosensors for Enviromental Monitering." Sesors (Basel)., vol.8, no.4, pp. 2569-2588, Apr. 2008.
【非特許文献2】D.Grieshaber, R. MacKenzie, J. Voeres, and E. Reimhult."Electromecanical Biosenros-Sensor Principles and Architechures." Sesors (Basel)., vol.8, no.3, pp. 1400-1458, Mar. 2008.
【非特許文献3】W.Chin and W. Krootje, "Conductive Method for Determination of Urea." Anal Chem., vol.33, no.12, pp. 1757-1760, Nov. 1961.
【非特許文献4】D. C. Cullen, R. S. Sethi and C. R. Lowe, "Multi-analyte miniature conductance biosensor." Anal Chim. Acta, vol.231, pp. 33-40, Jan. 1990.
【非特許文献5】R. Pei, Z. Cheng E. Wang, and X. Yang. "Amplification of antigen-antibody interactions based on biotin labeled protein-streptavidin network complex using impedance spectroscopy." Biosens, Bioelectron., vol.16, no.6, pp. 355-361, Aug. 2001.
【非特許文献6】E. Katz and I. Willner, "Probing Biomolecular Interactions at Conductive and Semiconductive Surfaces by Impedance Spectroscopy: Routes to Impedimetric Immunosensors, DNA-Sensors, and Enzyme Biosensors." Electroanlysis, vol.15, no.11, pp. 913-947, Jul. 2003.
【非特許文献7】Y.-L.Chin, J.-C. Chou, T,-P. Sun, W.-Y. Chung, and S.-L. Hsiung, "A novel pH sensitive ISFET with on chip temperature sensing using CMOS standard process."
【非特許文献8】Z.X. Wang, S.Y. Li, L.C. Zhong, and G.X. Li, "Research and application of enzyme FET sensitive to penicillin., Chin. J. Biotechnol. vol.6, no.2, pp. 148-56, 1990.
【非特許文献9】Z.-L. Luo, J.-J. Xu, W. Zhao, and H.-Y. Chen, " A novel glucose ENFET based on the special reactivity of MnO2 nanoparticles." Biosens, Bioelectron., vol.19, no.10, pp. 1295-1300, May 2004.
【非特許文献10】C.-E. Lue, T.-C. Yu, C.-M. Yang, D.G. Pijanowska, and C.-S. Lai, "Optimization of Urea EnFET Based on Ta2O5 Layer with Post Anealing." Sensors, vol.11, no.12, pp. 4562-4571, Apr. 2011.
【非特許文献11】M. Esmaeelpour, P.O. Watts, M.E. Boulton, J. Cai, and P.J. Murphy, "Tear film volume and protein analysis in full-term newborn infants., Cornea, vol.30, no.4, pp. 400-4, Apr. 2011.
【非特許文献12】S. Emaminejad et al., "Autonomous sweat extraction and analysis applied to cystic fibrosis and glucose monitering using a fully integrated waerable platform," Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. vol.114, no.18, pp. 4625-4630, May 2017.
【非特許文献13】H.R. Peck, D.M. Timko, J.D. Landmark, and D.F. Stickle, "A survey of apparent blood volumes and sample geometries among filter paper bloodspot samples submitted for lead screening," Clin Chim Acta, vol.400, no.1-2, pp. 103-106, Feb. 2009.
【非特許文献14】User protocol for Evaluation of Qualitative Test Performance (EP12-P) dictated by the Clinical and Laboratory Standards Institute
【0014】
類似の構造が特許文献7、8に開示されている。これらの発明は、液体媒体中の分析物濃度を決定することを目的にしている。これらの明細書は、燃料電池(燃料セル)が生成する信号を利用して、複数の電極の内の1つで、酸化又は還元される有機分析物の存在又はその濃度に関する情報を取り出している。燃料電池(燃料セル)で生成される電流は、流体中に存在する分析物の量に依存する。それ故にこれらの装置は自己発電型センサである。これらの発明においては、電極は検出すべき分析物を酸化と還元ができる電気活性酵素を含まなければならない。このことは、電極は、検知すべき分析物と反応(分析物を酸化又は還元するレドックス反応(redox reaction))ができなければならない。その為、レドックス反応する種しか検出できない。
【0015】
特許文献9,10の発明においては、プロトン活性化グラフェン系電池(proton activated graphen-based battery)の変化は、グラフェン製電極が曝される湿度に関係する。その為この電池は、電極の内部抵抗の変化(様々なプロトン濃度の存在により変わる)に起因して、湿度センサとして使用される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、検知すべき流体(「検知対象流体」と称する)を電池電導度として用いて、イオン伝導度又はイオン導電度(以下「イオン導電度」と訳す)を検知するために、電池を使用することを提案する。特許文献7,8とは異なり、本発明においては、検知対象流体は、イオン電導性として機能し、燃料としては機能しない。従来技術と本発明の主な相違点は、検知すべき種の性質とそれを実行する装置の性質に依存する。従来技術においては、種の決定は燃料電池の電極を必要とする。この電極において、これらの種は酸化されたり還元されたりし、分析物濃度に応じた電流を生成する。これに対し、本発明においては、電池の性能は、検知されるべき流体のイオン荷電した分析物(イオン又は荷電分子)(これが電解質電導度を決定する)の存在にのみ感受性がある。電極は、自身を酸化し還元する材料製であり、検知対象流体を介して接続されている。この流体が電池電導度として機能する。かくして、流体の電荷された種(charged species)の濃度は、電池の内部抵抗に影響する。これにより、両方の電極の酸化と還元の役割を決定し、そして電池全体の性能を決定する。
【0017】
更に、特許文献9,10とは異なり、本発明は、電極抵抗の変化には無関係であり、電導性物質として機能する流体の電解質電導度の変化に関係する。
【0018】
本発明においては、電極と接続ワイヤは、変化せず一定に維持され、電池の性能(電圧と電流)は、電解質のイオン導電性に直接関連し、かくして導電性センサが得られる。
【0019】
従来の技術のいずれも、電池を活性化する流体の電解質導電性は、電池性能への影響を測定することにより、検知できる利点を開示していない。その為、本発明の目的は、流体導電性センサとして使用できる流体活性化電池(fluid-activated battery)を提供することである。
【0020】
この為、本発明は、その第一態様に従うと、流体の電解質電導度を検知する装置を提供する。この装置は、電池とこの電池に接続された機器を有する。この電池は、酸化電極(アノード)と還元電極(カソード)を有する。これらの電極は、離れて配置され、流体用微細空洞(microfluid cavity)を構成する親水性材料又は多孔質材料或いは空のレセプタクル(即ち、吸収ゾーン/容積)或いは所定の導電度の流体で接続される。この機器は、電池により生成された電気エネルギを得る。
【0021】
本発明の装置によれば、電池は、流体の添加/追加により活性化される。電池は、流体が毛細管現象により流体用微細空洞を充填する間に、電気エネルギを生成する。更に、この機器は、タスクを実行するために、電池から供給される電力のみが与えられる。別の構成として、この機器は、外部電源とその補充装置のみから電力が与えられる、又は電池から一部の電力が与えられる。
【0022】
従来技術とは対照的に、この機器は、その等価インピーダンスが電池を特定の動作点で動作させるよう、構成される。この特定の動作点は、流体の電解質電導度を決定又は識別する。例えば、所定の抵抗又はインピーダンスを電池に繋ぐことにより識別される。電池の性能は、電池の内部抵抗に依存する。この電池は、同時に流体の電解質電導度への依存性を有する。その為、電池を活性化する所定のイオン含有量の所定の流体に対しては、この機器は、イオン含有量を検知できるよう設計されている。更にこの機器は、流体の電解質電導度を測定する手段を有する。これにより、電池の性能から流体の電解質電導度を推定できる。即ち本発明の装置は、流体活性化電池を流体の電導度センサとして使用する。
【0023】
特にこの機器は、1つ或いは複数の電子モジュールを含む。この電子モジュールは、電力管理機能、信号の制御・処理機能、データ貯蔵、通信機能のいずれかを実行する。更に、この機器は、測定結果を記憶するメモリーを有する。この機器は通信ユニットを有し、結果を外部装置に送信する。この機器は、視覚又は聴覚によるインディケータを有する。その一例は、前記結果を指示するブザー、スクリーン、ディスプレイ、アラームである。
【0024】
一実施例においては、この機器のパワー管理ユニットは、入力インピーダンスと信号調整モジュールを有する。しかしこれらに限定されない。入力インピーダンスは、実施例に応じて、スタティック又はダイナミックなものである。その結果、電池は、流体の電解質電導度を検知する為に、DCモード,ACモードで動作する。入力インピーダンスは、抵抗、キャパシタ、インダクタ又はそれらの組み合わせである。
【0025】
信号調整モジュールは、電池により提供される信号を適合(調整)する。他の電子モジュールを、過負荷又は短絡により引き起こされる損傷から守る。信号調整モジュールの構成要素は、電圧コンバータ、電圧/電流レギュレータ、チャージ・ポンプ、バイアス制御器、インバータである。しかしこれらに限定されない。
【0026】
この機器は、信号処理モジュールも有する。この信号処理モジュールは、電池の出力信号を処理しそれを定量化(以下「測定」と訳す)し、出力値又は応答を、電解質電導度の測定値の結果として得る。信号の処理は、フィルリング手段で行われる。その一例は、ロ−パス・フィルタ、ハイパス・フィルタ、バンドパス・フィルタ又はそれらの組み合わせである。信号処理モジュールは、信号の測定も実行する。これは、例えば、AD変換器、デジタル・フィルタにより信号を処理する。更に信号の解析は、トランジスタ、マイクロプロセッサ又はICを用いた測定手段又は識別手段により、行われる。
【0027】
データ記憶モジュールは、メモリー(例、RAM,ROMを含む)、又は電池により提供される情報を記憶する素子(例、キャパシタ、メモリ装置)を有する。
【0028】
この機器は、データ送信用の通信モジュールを有する。通信モジュールの一例は、可視エミッタ、音響エミッタ、機械式エミッタである。しかしこれらに限定されない。データは外部受信機に有線技術又は無線技術で送信される。この通信技術は、光ファイバ、有線周波数用と無線周波数用のUSB,無線通信用の赤外線を含む。
【0029】
好ましい実施例におては、簡単さ、低価格、小型の要件の為に、流体の電解質電導度は、DCモードで決定される。その一例は、分極曲線、時間経過電圧測定(cronopotentiometry)、時間経過電流測定(cronoamperometory)である。この場合、この機器は、電池により提供される所定量の電気エネルギのみ(即ち、自己動力式装置として動作する)、外部電源のみ、前記電池により提供される所定量の電気エネルギと外部電源からの所定量の電気エネルギとを加えた電力の内のいずれかにより、電力が供給されるよう構成される。
【0030】
別の構成として、他の実施例においては、電解質電導度はACモードで決定できる。その一例は、インピーダンス分光法、電流割り込み測定である。この場合、機器は、電池により供給される所定量の電気エネルギのみで駆動されるよう構成されている。
【0031】
一実施例においては、電池は、紙ベースの電池である。
酸化電極は、レドックス種、金属、合金、ポリマー酸化材料(例、アントラキノン(anthraquinone)、ビオロゲン(viologen))、TEMPO、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、リチュウム、カドミウム、銅、銀、マグネシウム、亜鉛、アルミの内のいずれか、から構成される。
還元電極は、レドックス種、金属、合金、ポリマー還元材料(例、空気呼吸カソード)、鉄、コバルト、ニッケル、ベンゾキノン(benzoquinone)、TEMPO、銀、酸化銀,過酸銀、塩化銀、銅、塩化銅、マンガン、水銀、白金、金、炭素系の内のいずれか、から構成される。しかし、活性炭素、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンペースト、ガラス状カーボンペースト、ガラス状カーボンの内のいずれかに基づく電極も含む。しかしこれらに限定されない。
【0032】
本発明の装置においては、酸化電極と還元電極は、並んだ状態、対向した状態のいずれかの状態で配置される。酸化電極と還元電極が、交互に互いに入り込んだ状態で配置されてもよい。更に本発明の装置は、電池を複数個有し、これらを直列接続して出力電圧を増加させる、又は並列接続して出力電流を増加させてもよい。
【0033】
本発明の装置で使用される流体は、水系流体である。その一例は、淡水、河川水、飲料水、インク、生物流体のいずれかである。前記生物流体は、サリバ(saliva)、尿、血液、精子、血漿、粘液、粘液、涙、便、汗のいずれかを含む。前記飲料水は、ジュース又はミルクを含む。流体はイオン性液体のような非水性液体でもよい。
【0034】
好ましくは、この機器は、1つ或いは複数の電子モジュールを含む。この電子モジュールは、電力管理機能、前記電池から得られた電気信号の制御・処理機能、電気通信機能のいずれかを実行する。更に、この機器は通信ユニットを有し、結果を外部装置に送信する。或いは、この機器は、視覚又は聴覚によるインディケータを有する。その一例は、前記結果を指示するブザー、スクリーン、ディスプレイ、アラームである。
【0035】
一実施例においては、親水性材料、多孔質材料、又は空の容器を充填する為に使用される流体は、所定量の滴定材と組み合わせることができる。その結果、流体の特定のイオン又は分子の濃度は、滴定材で決定できる。従って、本発明の装置を用いて、ビーカーに滴定材を入れた流体の電導度を測定できる。別の構成として、既知量の滴定材を電池内に貯蔵しておき、この流体が電池に添加された時に、滴定材は流体と反応する。滴定材は固体形状で電池内のいろいろな場所に貯蔵できる。一例として、電極上、親水性材料内、多孔質材料内、又は空の容器内、親水性多孔質材料製膜内である。特定の滴定材と流体内に存在する特定のイオン/分子との間の反応は、電導度の変化を引き起こす、即ち、特定の方法で電池の性能に影響を及ぼす。この変化により、流体内に存在する特定のイオン/分子含有濃度を決定又は予測できる。
【0036】
他の実施例によれば、酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかを、前記流体に添加するが、これは、流体が電池に導入される前に行われる。別の構成として酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかを、電池又は親水性材料又は多孔質材料或いは空のレセプタクルに内に貯蔵することもできる。酵素、バクテリア、無機触媒のいずれかは、流体内に存在する特定の物質と化学反応し、流体の電解質電導度の変化を引き起こす。
【0037】
更なる他の実施例によれば、イオン選択性膜を、本発明の装置内の流体の入口又は電池に接触して、含めることができる。その結果、電池フロー内に導入された流体は、電池の電極に達する前に、膜を通過する又は膜と接触する。かくして、使用されるイオン選択性膜の構造に応じて、特定の組のイオンが、膜に補足される。その結果、流体電解質電導度が調整できる。これにより、変化は流体サンプル中に存在するイオンの性質と量を決定できる電池性能であると、確定できる。
【0038】
本発明の第二の態様によれば、本発明は、流体の電解質電導度を検知する方法を提供する。この方法は、(A)所定の電解質電導度の流体を電池に添加する。この電池は酸化電極と還元電極を有する。この酸化電極と還元電極は、離れて配置され、流体用微細空洞を構成する親水性材料又は多孔質材料、或いは空のレセプタクルで接続される。この電池は、流体を前記流体用微細空洞に添加することにより活性化される。(B)前記流体が毛細管現象により前記流体用微細空洞を充填する間に、前記電池が電気エネルギを出力する。(C)少なくとも1つの機器を前記電池接続する。本発明の方法においては、この機器は、その等価インピーダンスが前記電池を特定の動作点で動作させるよう、構成される。特定の動作点は流体の電解質電導度を決定する。更に、この機器は、前記電池により供給される電気エネルギから、前記流体の電解質電導度を測定する。その結果、前記流体の電解質電導度が、前記電池の性能から、推定される。
【0039】
一実施例によれば、本発明の方法は、(D)電池の応答を調整するステップを含む。この電池応答は、化学種の添加か、塩の添加か、酵素又は金属触媒のいずれかの添加により行われる。化学種の添加は、流体を本発明の装置に導入する前又は後でもよい。かくして、電池が動作する電解質電導度の範囲をシフトできる。塩の添加は、流体が電池に追加される前又は後でもよい。これにより、選択された感度範囲を達成するために流体の電解質電導度を増加させる。流体への酵素又は金属触媒のいずれかの添加は、電池への添加の前、親水性材料又は多孔質材料或いは空のレセプタクルへの添加の前に行われる。これにより、酵素又は金属触媒が、流体中存在する特定の物質と反応し、電解質電導度を変化させる。
他の実施例によれば、本発明の方法は、電池の応答を調整するステップを含む。このステップは、所定量の滴定材を、親水性材料、多孔質材料、又は空の容器に添加し、流体の特定のイオン又は分子の濃度を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】流体活性化電池とそれに接続された機器(電池を活性化する流体の電解質電導度を推定する)とを有する本発明の装置の一例を表す図。
【図2】本発明の教示を考慮して流体の様々なNaCL濃度を得るI−Vカーブを表す図。横軸:電流(mA)、縦軸:電圧(V)
【図3】電池内の2種類の電極の構造を表す図。
【図4】並列接続された電池スタックと直列接続された電池スタックを表す図。電池電極、親水性材料
【図5A】本発明の一実施例による、様々な量の滴定剤(titrant)を貯蔵するn個の電池を表す図。
【図5B】各電池に対し得られた値を表すグラフ。横軸:電池数、縦軸:導電性
【図6A】本発明の一実施例による本発明の装置内の触媒と添加の概略図。
【図6B】一般的構成曲線をグラフ。横軸:尿素、縦軸:導電性
【図7】本発明の一実施例による、嚢胞性線維症(cystic fibrosis:以下「CF」と称する)を診断するスクリーニング用の自己動力式皮膚パッチとして機能する本発明の装置により得られた結果を表すグラフ。横軸:電流(mA)、縦軸:電圧(V)
【図8】本発明の一実施例による、CFの診断スクリーニング用の自己動力式皮膚パッチとして機能する本発明の装置により得られた結果を表すグラフ。横軸:等価NaCl濃度(mM)、縦軸:電圧(V)
【図9】本発明の一実施例による、CFの診断スクリーニング用の自己動力式皮膚パッチとして機能する本発明の装置により得られた結果を表すグラフ。横軸:電圧(V)、縦軸:カウント、装置のしきい値電圧、健康状態、非健康状態
【図10】図7−9の実施例で使用された電気回路を表す図。健康な患者の発汗作用、健康でない患者の発汗作用
【図11】CFスクリーニングの陰性結果(上)と陽性結果(下)を示すパッチの前面を表す図。対照検体、被検体
【図12】自己動力式スクリーニング・パッチを得る為に用いられる様々な層と構成要素を表す図。
【図13】汗監視の為の自己動力式センサとして機能する本発明の装置の実施例を表す図。
【図14A】水イオン導電度を測定する為の自己動力式センサとして機能する本発明の装置を表す図。
【図14B】水イオン導電度を測定する為の自己動力式センサとして機能する本発明の装置を表す図。
【図15A】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップの形態の本発明の装置の一実施例を表す図。
【図15B】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップの形態の本発明の装置の他の実施例を表す図。
【図16A】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップに組み込まれた2個の電池を有する本発明の装置を表す図。
【図16B】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップに組み込まれた2個の電池を有する本発明の装置を表す図。
【図16C】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップに組み込まれた2個の電池を有する本発明の装置を表す図。
【図16D】涙の導電度を測定する為のスマート・ストリップに組み込まれた2個の電池を有する本発明の装置を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、電池を用いて、流体10の電解質電導度を測定する方法と装置を提供する。
【0042】
図1に示すように、本発明の装置は、流体活性化電池である電池1と、電池1に接続された機器5とを有する。
【0043】
電池1が生成する電圧は、第一に、電極2,3内での電気化学的反応による熱力学的電圧に依存する。しかし実際には、電圧低下は、電極2,3における電荷移動分極(charge transfer polization)による過電圧と、内部オーム抵抗に起因する電圧降下と、高電流密度時においては濃度分極損失(concentration polarization loss)に起因する電圧降下が原因である。
【0044】
中程度の電流密度(これは電池1が濃度分極損失では制限されないとを意味する)で動作する時は、電池1の内部抵抗は、主に、オーム抵抗要素(電極2,3とそれらを接続する配線)の導電性と、電解質(即ち流体10の電解質)のイオン導電性/電解質電導度に依存する。その為、電池の材料と設計の特定の構成に対しては、電池1の内部抵抗は、そのコア内に注入されるサンプル流体10の電解質電導度に完全に依存する。
【0045】
電池の性能に対する流体電解質電導度の影響は、周知の電気化学的特徴付け技術により、試験できる。その技術の一例は、ポテンショ・スタティック技術又はガルバノ・スタティック技術(線形掃引電圧測定、クロノ電流測定、クロノ電位差測定、電気化学インピーダンス分光法)である。AC方法又は電流割り込み測定も使用できる。生成された電圧又は電流の測定も、固定抵抗負荷又は可変抵抗負荷に接続されている時は、可能である。
【0046】
従来の導電性センサと比較すると、本発明の装置は2つの利点を有する。(1)導電性に対するその応答は、DC方法とAC方法の両方で特徴づけることができる。DC方法は、機器5を動かすのに必要な電子モジュールと電力要件を簡単にできる。(2)所望ならば、本発明の装置の応答は、更なる電源なしで得られる。その結果、本発明の装置は、自己動力式センサとして、動作できる。この最後の特徴により、本発明の装置は、可搬式で使い捨ての応用分野で、電解質電導度を検知するのに適する。これは、追加の電源を必要としないからである。
【0047】
一実施例において、電池1に接続された機器5は、電池1により供給される電力によってのみパワーが与えられる。これは、機器5が、サンプル流体10の電解質電導度を測定できるようにする為である。機器5は、測定結果を記憶するメモリ又は測定結果をユーザに表示する手段を有する。特別な場合においては、機器5全体が、電池1により供給される電力によってのみパワーが与えられ、外部電源をなしで駆動し、自己駆動式装置とよぶことができる。
【0048】
更に、機器5は、電子モジュールも含むことができる(図13の実施例)。この電子モジュールは、電力管理機能、信号の制御・処理機能、電気通信機能を実行する。それ故、機器5は、任意の電気化学的特徴付けを実行でき、電池1の性能を評価し、供給される流体10の濃度の測定を実施できる。更なる実施例においては、機器5は、その等価インピーダンスが電池1を特定の動作点で動作するよう、構成(設計)される。特定の動作点は、流体10の電解質電導度の値を区別する十分な感受性を提供する。この最後の実施例の利点は、より良いエネルギ効率、簡単かつ安価に実装可能になる点である。
【0049】
電解質電導度の測定結果は、機器5により、外部装置(例、コンピュータ、携帯電話)に無線で送信される。或いは、ユーザが検知する信号で表示される。その一例は、視覚又は聴覚による指示装置であり、ブザー、スクリーン、ディスプレイ、インディケータ、アラーム等による視覚又は聴覚によるインディケータである。
【0050】
この種の自己動力式装置を用いて、様々な分野における流体サンプルの電解質電導度を分析し素早い検査結果を得ることができる。その一例は、医療分野における生理的サンプル、環境監視分野における水サンプル、食品分野における飲料水である。
【0051】
機器5は、様々な製造技術(例、印刷電子プロセス)を用いて製造できる。使用される製造技術は、互換性のある部品集積と低価格と廃棄可能性の利点を与える。
【0052】
電池1の応答は、様々な手段により調整可能で、特定の応用分野の要件を満たすためにその性能を向上させることができる。電池パワーの調整は、電圧と電流の出力の変化につながり、本発明の装置の測定範囲、その感受性、特異性を改善する。電池応答を調整するいくつかの方法を下記する。
【0053】
第一実施例において、電池応答は、電池の構成、材料、他の幾何学的パラメータにより調整される。幾何学的パラメータの一例は、電極反応面積、電極間分離距離、親水性又は多孔質材料又は空のレセプタクルの幅、長さ、高さである。電池1を含む電極材料は、電池1の熱力学的開回路電圧を決定する。
酸化電極は、レドックス種、金属、合金、ポリマー酸化材料(例、アントラキノン(anthraquinone)、ビオロゲン(viologen))、TEMPO、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、リチュウム、カドミウム、銅、銀、マグネシウム、亜鉛、アルミの内のいずれか、から構成される。
還元電極は、レドックス種、金属、合金、ポリマー還元材料(例、空気呼吸カソード)、鉄、コバルト、ニッケル、ベンゾキノン(benzoquinone)、TEMPO、銀、酸化銀,過酸銀、塩化銀、銅、塩化銅、マンガン、水銀、白金、金、炭素系の内のいずれか、から構成される。しかし、活性炭素、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンペースト、ガラス状カーボンペースト、ガラス状カーボンの内のいずれかに基づく電極も含む。しかしこれらに限定されない。
【0054】
材料4は、任意の親水性材料又は多孔質材料であり、これらの材料は、毛細管現象により、流体を吸収する又は保持できる。多孔質材料は、これらに限定されないが、以下の材料を含む。フエルト、紙系材料(例、ガラスファイバー系紙又は繊維)、シリカ、ゲル、発泡材、布、スポンジ、セラミックス、メッシュ、ウイック(wick)、ポリマー等。各材料は、特定の抵抗性、多孔質性、孔の径(nm〜mmの範囲の大きさ)、流体吸収機能を有する。これらが、電池1の内部インピーダンスに影響を及ぼす。サンプル流体10で充填する空のレセプタクル/キャビティ(マイクロチャネル)も、電極2,3の両方と接触する別の手段である。
【0055】
電極の活性面積と形状は、電池1により供給される電流を決定する。電極の厚さは、動作中の電池1の持続時間と内部抵抗に影響する。電極2,3は、共通面に配置された隣接する形態又はサンドウイッチ形態(対面状態)で配置される(図3)。電極構成と電極間間隔も、電池1の内部抵抗即ち電池1の応答に影響する。他の実施例においては、図示していないが、電極2,3は、互いに入り込んだ状態で配置することもできる。
【0056】
図4に示すように、複数個の電池1を直列接続して出力電圧を増加させる、又は並列接続して出力電流を増加させることもできる。
【0057】
第2の実施例において、電池応答は化学種の添加により更に調整できる。測定すべき流体10の特性は、化学種の添加により更に調整できるが、この添加は、流体10を本発明の装置に導入する前又は後でもよい。かくして、電池1が動作する電解質電導度の範囲をシフトでき、イオン又は分子の特定の検出が実行できる。
【0058】
第3の実施例において、電池応答は、塩の添加により調整し、流体10の電解質電導度を増加させることができる。流体10の電解質電導度は、流体マトリックス内に存在する電荷種(charged species)に依存する。電池1は、流体の導電性の範囲内で感受性を示す。この範囲は、様々なパラメータを調整することにより、調整できる。これについては前述した。このパラメータの一例は、電極の組成、形状、分離距離、親水性、電導度領域の多孔質性と厚さである。これに加えて、塩の添加は、流体10の電解質電導度を増加させ電解質電導度を所望の感度範囲に押さえるが、測定されるべき流体10が感度(感受性)範囲以下の電解質電導度を有する時に、有効である。塩の添加は、流体10が電池1内に注がれる前に行われるか、又は電池1の親水性材料又は多孔質材料或いは空のレセプタクル4内に塩が固体状で保存され流体10が添加された時に、溶解するようにする。
【0059】
第4の実施例において、本発明の装置を用いて、in-situで導電性滴定を行う。この場合、本発明の装置を用いて、電池1を活性化する流体10内の特定のイオン又は分子の濃度を決定する。これは電導度測定滴定(conductometric tiltration)技術で確立された原理を用いて行われる。
【0060】
この技術は、既知の内容(溶液)と濃度を用いて、未知の溶液内に存在する特定種の濃度を決定できる。通常、滴定液(既知の溶液)を、制御された方法で、反応完了まで、ビュレットから既知量のサンプル又は分析物(未知の溶液)に添加する。添加された滴定液の容積/量を知ることにより、未知の溶液の濃度を決定できる。しばしば、着色されたインディケータを用いて、反応の終了を知らせることもできる。
【0061】
電導度測定滴定の原理は、滴定の間発生する反応は、サンプルのイオンの1つが、異なるイオン導電率を有する別のイオンで置換され、その結果溶液の導電性(率)が滴定の間変化するという事実に基づく。複数のイオンを組み合わせて、正味電荷を有さない(no net -electrical charge)安定した分子を形成できる。導電性対サンプルに添加された滴定材の脱離量の比率は、先験的に未知の濃度に関し貴重な情報を与える。
【0062】
第4実施例の特定の形態を図5に示す。n個の同一電池からなるマトリックスを用いて、サンプル流体10の等価点を決定できる。これは、親水性材料又は多孔質材料4(膜の形態で実現される)内に異なる量の滴定材を貯蔵することにより、行われる(図5a)。電池1を活性化する為に添加した等量の分析物又は流体10と様々な量の滴定材とを混合すると、様々な電解質電導度を生成する。各電池1からの得られた電解質電導度を抽出することとこの得られた値をグラフで示す(図5b)ことにより、どの電池1が等価点に最も接近しているかを見いだすことができる。この特定の電池1に貯蔵された滴定材の量を知ることにより、流体10の未知の濃度を決定できる。このアプローチは、全ての電池1に対し滴定材の量を固定し膜4の容量(体積)を調整し、様々なサンプル容積を電池内に貯蔵できるようにすることによっても、実行できる。更に、滴定材は様々な性質のものでもよく、その結果、電池マトリックスは、同一サンプル内の様々な分析物を検出できるようになる。
【0063】
第5の実施例において、電池応答は触媒の添加により調整される。電池1に導入される流体10の電解質電導度は、酵素、バクテリア、無機触媒の添加により調整される。これらは、流体10内に存在する特定の物質と反応する。触媒は、それが電池1内に導入される前に流体10と混合するか、電池1内の別の場所で個体状態で貯蔵しておき、親水性材料又は、多孔質材料或いは空のレセプタクル4内に置くか、或いは専用の多孔質膜内の電極2,3上で固定化しておくかのいずれかである。電解質電導度の変化を引き起こす主原因は、イオン基の生成又は中和、異なる電荷の分離、イオン移動(ion migration)、イオン粒子関連のレベル変化、電荷基のサイズ変化である。この手法により、流体10内の特定の物質(特に触媒により認識できる)の存在を決定できる。電池マトリックス内のこの戦略の組み合わせにより、特定の物質の濃度を測定できる。
【0064】
第5の実施例の特定の実施形態を図6に示す。ウレアーゼ酵素は、電池1の親水性材料又は多孔質材料或いは空のレセプタクル4の内側で、膜の形態で、固定化しておく。尿素を含む流体10を用いて電池1を活性化する。尿素の存在下で、ウレアーゼ酵素は、分子を、様々なイオンに分解する。起こる反応は以下である。

CO(NH+H+2HO→2NH+HCO
【0065】
新たな荷電種の生成は流体10の電解質電導度を変える。電解質電導度の変化は、酵素の活性状態と尿素濃度に依存する。2つの同一の電池1(一方はウレアーゼ無し、他方は材料4にウレアーゼを貯蔵している)の性能を比較すると、導電性の変化を検知できる。これは、専らウレアーゼの活性度に起因する。図6aはこの概念を表示する。異なる電池を使用し、酵素(ウレアーゼ)無しの電池の性能を比較すると、電解質電導度対流体10中の尿素濃度の比率の変化を校正できる。図6bは一般的な校正曲線を示す。このアイデアは、他の種類の触媒と酵素にも延長でき、問題にしている様々な分析物の検出を行える。
【0066】
第6の実施例において、電池1は、ポテンショスタットに接続され、電池1の電圧−電流特性を測定し、そこから電解質電導度を導出する。ポテンショスタットは、電池1により生成される電力から又は外部電源から電力が与えられる。
【0067】
一実施例において、本発明の装置は、紙電池に基づく。この実施例の電池1は、2つの共通面上に配置された電極2,3を有する。その寸法は2.5x5mmである。マグネシウム製の電極(アノード)と塩化銀製の電極(カソード)は、感圧性接着層の上に、互いに1.5mm離れて配置された。電極2,3は、この場合並んで配置されて、それらの間の領域はグラスファイバー系紙製の層2枚でカバーされ、その全厚は0.5mmで、その面積は60mmである。この紙である材料4により1.5μLの流体体積を保持できる。流体10が紙4上に配置されるよう特徴付けられると、流体10は、紙4が完全に飽和するまで、毛細管現象により、吸収される。この流体10は、電池の電解質の役割を果たし、その電解質電導度は、電池の性能に大きな影響を及ぼす。電池の動作は、紙4が流体10で完全に充填されると、開始する。電池1の基本的な電気化学特性は、従来から所謂海水活性化電池(seawater-activated battery)で用いられていた。この紙電池が関与する反応は以下である。

陽極:Mg(s)→Mg2+(aq)+2e
陰極:AgCl(s)+e→Ag(s)+Cl-(aq)
全体:Mg(s)+2AgCl(s)→Mg2+(aq)+2Cl(s)+2Ag(s)
【0068】
このセル(電池)の標準電圧は、2.59Vである。しかし、中性媒体における開回路電圧(Voc)は、約1.5−1.7Vに設定されている。理論値からのこの偏差は、高分極電圧に起因する。この高分極電圧はマグネシウム製フィルム上に酸化層が集結したことにより引き起こされる。電池1の性能に対する電解質電導度の影響をテストするために、電池1のI−V曲線が、紙製コアを様々な濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含む水系溶液で充填した後、記録された。これらの濃度は、液体電解質電導度を1.0mS・cm-1、5mS・cm-1、10mS・cm-1、20mS・cm-1に設定したものである。図2は得られたI−V曲線を示す。電力対強度はこの図に示され、電池1で生成される電力に対する流体電解質電導度の影響を可視化したものである。
【0069】
この分極曲線は、電解質として使用される流体10の電解質電導度のセルの抵抗率に対し目に見える影響があることを示す。このことは、この曲線のオーミック領域(0.2mA以上の電流領域)で、はっきりと観測される。低電流値(OCP電圧近傍)において、酸化電極(アノード)2に既に存在するマグネシウム酸化物製の不動態化層に関連する大きな活性化損失が観測される。不動態化層の影響は、塩化物イオン(chloride ion)の存在が、陽極溶解動力学(anodic disslution kinetics)の速度を増加させるという事実に、主に起因する。より高い電流密度においては、電池1は濃度損失を示すが、これは還元電極(カソード)3における塩化銀AgCl還元速度の制限に起因する。
【0070】
一実施例においては、本発明の装置は自己駆動式皮膚パッチである。これは、汗中のCF(cystic fibrosis:嚢胞性線維症)病気の診断スクリーニング用に用いられる。汗の電解質電導度を測ることは、CF対象と非CF対象とを区別する信頼できる方法であることが証明されている。この応用において、電解質電導度は、ミリモル(mM)レベルのNaCl等量で測定される。このことは、汗の電解質電導度の値は、この特定のモル濃度のNaCl溶液の電解質電導度と等しいことを意味する。NaClの60mM等量以上の値は、異常であるとみなすことが認められている。現在汗のテストは、患者の腕からサンプル流体10を採取することにより、行われている。これは、皮膚に接触する毛細管を有する専用のプラスチック装置を用いて行われている。十分な量の流体10が毛細管で収集される(即ち毛細管が満杯になる)と、汗は、シリンジに移され、ベンチトップ測定装置に導入され、そこでAC方法で電解質電導度を測定する。好ましくは、パッチは患者の前腕に配置され、汗の電解質電導度レベルが異常な場合には、「陽性」と判定される。パッチは、汗(即ちサンプル流体10)が皮膚に接触する紙の領域に吸収されるまで、静止状態で置かれる。集められた汗は、電池電解質として機能する。電池1は、流体10の電解質電導度に比例する電力を生成する。その結果、この電解質電導度を正確に推定できることになる。流体10の電力と電解質電導度の線形範囲は、電池1の特定の形状とそれを製造する際に用いられる材料に依存する。
【0071】
テスト結果の可視化は、2個のエレクトロ・ルミネセンス表示回路19により行われる(図12,図14−16)。その内の1つの制御ディスプレイは、パッチは正常に働いていることを評価し、他の1つのテストディスプレイは、汗の電解質電導度がNaClの60mM等量の濃度以上の時に、「陽性」を表示する。この値はCFの決定におけるしきい値と見なされている。ここで使用されるディスプレイは、0.6Vの印加電圧と700nA(ナノアンペア)の印加電流で電源が入る(ターンオンする)。その為、制御ディスプレイが5mMの電解質電導度の最低値でターンオンすることを確実にするために、パッチは、直列接続された2つの検知電池を利用する。図7は、室温での様々なNaCl濃度における電池スタックで得られた分極曲線である。
【0072】
電池1は、固定抵抗Rloadに接続されることにより、動作する。固定抵抗Rloadの値は、2kΩに固定されている。この値は、電池1が5mMNaClで動作する時に、0.6Vの値を出す最低抵抗値を設定することにより、決定された。図7は、電池1の分極曲線と選択されたRloadとの間の交点を示している。図8に示されるように、電池の出力電圧は、電解質内の存在するNaClの濃度に60mMまで比例する。出力電圧は、電解質電導度の変化に、この応用で必要とされる濃度範囲まで、応答する。スクリーニング目的に使用する本発明の装置の性能を特徴付ける為に、非特許文献14は、以下のアドバイスを提案している。このアドバイスの内容は、しきい値(60mM)とそのしきい値の−20%の値(48mM)に対応するカットオフ値でのセンサ性能を統計的に学習することである。図7は、選択されたRloadの下で電池スタックにより生成された電圧と濃度の両方の分極曲線を強調する。前記文献で推奨した手順に従って、しきい値とカットオフ値における40個の電池を測定した。その分極曲線を記録し、電池電圧値のガウス分布を得た。図9は得られた結果を示す。本発明の装置は、60mMで95%の陽性結果を出すのを期待して、電池スタックのしきい値電圧は、1.26Vに設定された。
【0073】
電池1により与えられる電圧が、しきい値以下か以上かを区別するために、最小数の構成要素の機器(電子回路)を設計した。これらの構成要素は、電池センサにより与えられるパワーで動作し外部電源の助けを必要としない。図10はこの電子回路の概要を示す。この回路は、MOSFETを使用し、Rloadのもとで電池1により生成された電圧、抵抗R1とR2間に分離された抵抗値を識別し、R2値がそのように校正され、電池1により提供する電圧がしきい値より低い時V2<Vgateの時には、電流ipositiveは「陽性」ディスプレイの方向には流れない。これとは逆に、電池1により提供された電圧がしきい値より大きな値を出す時、V2>Vgateの時には、十分な電流が「陽性」ディスプレイの方向に流れる。数少ない構成要素に加えて、2個のダイオードが直列にディスプレイに追加され、電池が動作を停止すると、その放電を停止させる。図12は、自己駆動式スクリーンパッチ(即ち皮膚に優しい接着材20)とエレクトロ・ルミネセンス表示回路19と電池1を得るに用いられる構成要素と全ての層における展開図を示す。
【0074】
図13を参照すると、本発明の装置の他の実施例が示されている、この場合、本発明の装置は、汗のモニタリングを行う自己駆動式皮膚パッチの形態で実現され、3−4時間の間レース中のアスリートの水和状態(hydration state)と、肉体的ストレスがかかった状態の人の水和状態を評価する。体温調節発汗は、身体熱の放熱を可能とし、身体の内部温度を調整する。汗をかくことにより、熱は身体から皮膚表面の水に伝達される。高い集中的な活動の間、発汗量は流体(水)の摂取量を上回る。するとこれが身体の水不足と身体電導性の欠乏(主にナトリウムと塩化物の欠乏)につながる。本発明の装置は、汗の電解質電導度の連続的監視を目的にする。その理由は、流体10の量とイオン組成物は、アスリートの水和状態に直接関連するからである。本発明の装置は、アスリートの皮膚に取り付けられ、発汗が開始した時に、汗が集められ、その電解質電導度が測定され、その値がメモリに記録され、後でそれを外部の無線システムに送信する。この外部の無線システムは、自己駆動式皮膚パッチが送信した信号を受領する。この自己駆動式皮膚パッチは、紙べースの電池である電池1(その電力出力は汗即ち流体10の電解質電導度に直接依存し)と、皮膚から吸収された汗の流れを連続的に電池の多孔質コアに流すチャネル21と、この装置を皮膚に固定する24と、電池1に接続された機器とを有する。この場合、この機器は、信号の監視と記録を行うマイクロプロセッサ22と、RFIDチップ23と、信号を外部装置(FRIDリーダー)に送信するアンテナ25とを有する。別の構成として、マイクロプロセッサ22に記録された情報は、外部のFRIDリーダー(フロアバンド26)又はNFC機能を有するリーダー装置により、取り出すことができる。
【0075】
図14は、本発明の装置の他の実施例を示す、この場合、本発明の装置は、水のイオン電導度を監視する自己駆動式装置の形態で実現される。イオン電導度(灌漑用水の塩分含有量)は、農業において重要な役割を果たす。水中に許容される塩分含有量は、栽培する作物に依存する。イオン電導度のパラメータは、水中に存在する塩の量を示す。塩の含有は、岩からのミネラル分の溶解に起因するか、生物(植物又は動物)活動の存在に関連する生化学サイクルの寄与に起因する。この実施例の装置は、剛性基板上に配置された電池1を直列接続した1つ或いは複数のユニットを有する。電池1は、紙系の微細流体チャネルに接続され、このチャネルは、サンプル収集パッドで終端し、そこに分析されるべき流体10が注がれる。別の構成として、収集ゾーンを分析対象である流体10に浸し、その後毛細管現象により電池1コアの方向に動かすこともできる。電池又は電池スタックは、抵抗負荷(即ち機器5)に接続され、機器5は電池1を特定の動作点(電流又は電圧)に設定する。この動作点は電解質電導度値に依存する。電流又は電圧のレベルは、電子要素(抵抗、抵抗製スイッチ)の組で区分される。これらの電子要素は、電流又は電圧が所定のしきい値を超えた時に動作する。更に、エレクトロ・ルミネセンス表示回路19の組は、機器5に接続され、各ディスプレイは、機器5が動作可能になった時に、スイッチが入る。かくして、電解質電導度値の測定結果は、エレクトロ・ルミネセンス表示回路19で光学的に可視化された様々なレベル内で、識別される。
【0076】
図15を参照すると、本発明の装置の他の実施例が示されている、この場合、本発明の装置は、涙の導電度測定を行うスマート・ストリップである。涙の浸透圧は、ドライアイ疾患を診断し監視する関連パラメータである。
【0077】
浸透圧は、リットル当たりの溶質濃度の測定値として定義される。涙の浸透圧は、眼からの涙の分泌と蒸発の速度に依存する。涙の分泌はドライアイ疾患では減少する。浸透圧即ち涙の導電性は増加する。その理由は、等浸透圧の涙(isotonic tear)の容積は、蒸発により失われた流体(涙)の喪失に打ち勝つには、不十分だからである。この実施例の装置(図15A)は、空の毛細管又は紙ベースの微細流体チャネル4からなり、このチャネル4が眼31から涙である流体10を収集し、それを電池1の方向に向ける。この電池1は、流体10の到達により活性化される。電池1(図15B)は、機器5に接続可能である。機器5は、ハイブリッド印刷電子回路18を有し、電池1を特定の動作点に設定する。この動作点は電解質電導度値(範囲)に依存し、涙の電解質電導度の値を識別できる。ハイブリッド印刷電子回路18は、マイクロプロセッサー(図示せず)を有し、電池1からの信号を処理する。エレクトロ・ルミネセンス表示回路19は、その検査結果をユーザーに通知する。
【0078】
図16は、他の実施例を示し、この実施例は、2個の電池1a、1bが、涙の電解質電導度測定を行うスマートストリップ内に組み込まれている。この実施例の装置(図16A)は、2本の空の毛細管又は紙ベースの微細流体チャネル4a、4bから構成され、各眼13a,13b(図16B、16C)からの涙である流体10a,10bを収集し、それを2個の電池1a,1bの方に向ける。この電池は、涙である流体10a,10bが電極2a−3aと電極2b−3bに達した時に、活性化される。両方の電池1a,1bは、ハイブリッド印刷電子回路18を含む機器5に接続される。このハイブリッド印刷電子回路18は、電池1a,1bを所定の動作点に設定する。この動作点は涙である流体10a,10bの電解質電導度に依存し、涙の電解質電導度値を処理する。エレクトロ・ルミネセンス表示回路19は、その結果をユーザに通信する(図16D)。
【0079】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。「少なくとも1つ或いは複数」、「又は」は、それらの内の1つに限定されない。例えば「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は「A」、「B」、「C」単独のみならず「A,B或いはB,C更には又A,B,C」のように複数のものを含んでもよい。「A又はB」は、A,B単独のみならずAとBの両方を意味することがある。「Aを含む」「Aを有する」は、A以外のものを含んでもよい。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0080】
1:電池
2,3:電極
2:酸化電極
3:還元電極
4:膜
5:装置
10:流体
18:ハイブリッド印刷電子回路
19:エレクトロクロミネセンス表示装置
20:接着材
21:チャネル
22:マイクロプロセッサ
23:RFIDチップ
25:アンテナ
26:フロアバンド
31:眼
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【国際調査報告】