(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021517825
(43)【公表日】20210729
(54)【発明の名称】BACILLUS系を用いたボツリヌスニューロトキシンの生産
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/02 20060101AFI20210702BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210702BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20210702BHJP
   C12N 15/74 20060101ALN20210702BHJP
   C07K 14/33 20060101ALN20210702BHJP
【FI】
   !C12P21/02 CZNA
   !C12N1/21
   !C12N15/31
   !C12N15/74 Z
   !C07K14/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】73
(21)【出願番号】2020562090
(86)(22)【出願日】20190129
(85)【翻訳文提出日】20200925
(86)【国際出願番号】US2019015594
(87)【国際公開番号】WO2019152380
(87)【国際公開日】20190808
(31)【優先権主張番号】62/623,715
(32)【優先日】20180130
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CHILDREN’S MEDICAL CENTER CORPORATION
【住所又は居所】アメリカ合衆国マサチューセッツ州02115,ボストン,シャタック・ストリート 55
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ミン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット州 06089、ウェゾーグ、クロフト レーン 12
(72)【発明者】
【氏名】タオ,リアン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02215、ボストン、クイーンズベリー ストリート 32、ユニット ビー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG30
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4B064CA19
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4H045GA22
4H045GA23
4H045GA26
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)をコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞およびBoNTを生産する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)を生産する方法であって、BoNTを発現するために好適な条件下で、BoNTをコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞を培養することを含む、前記方法。
【請求項2】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、発現ベクター中に存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
発現ベクターが、pHT01、pHT08、pHT09、pHT10、pHT43、pHT253、pHT254、pHT255、pNZ8901、pNZ8902、pNZ8910、pNZ8911、pWH1520、pMM1522、pMM1525、pHIS1522、pHIS1525、pSTREP1525、pSTREPHIS1525、pC−His1622、pC−Strep1622、pN−His−TEV1622、pN−Strep−TEV1622、pN−StrepXa1622、pSTOP1622、p3STOP1623hp、pC−HIS1623hp、pN−His−TEV1623hp、pSP−LipA−hp、pSP−YocH−hp、p3STOP1623−2RBShp、pC−STREP1623hp、pN−STREP−Xa1623hp、pN−STREP_TEV1623hp、pMGBm19、pPT7、pPT7−SPlipA、pPconst1326、pBP26、pBP27、pBQ200、pGP380、pGP382、pGP886、pGP888、pGP1459、pGP1460、pGP1389、pBE−S、およびpRB374からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
BoNTが、NまたはC末端において融合ドメインに融合されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
融合ドメインが、アフィニティータグである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アフィニティータグが、His6、GST、Avi、Strep、S、MBP、Sumo、FLAG、HA、Myc、SBP、E、カルモジュリン、Softag 1、Softag 3、TC、V5、VSV、Xpress、Halo、およびFcからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、Bacillusにおける発現のためにコドン最適化されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
BoNTが、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNT/X、BoNT/En、およびそれらのバリアントからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
BoNTが、触媒的に不活性なBoNTである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
BoNTが、全長BoNTである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
BoNTが、キメラBoNTである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
BoNTが、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
BoNTが、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
BoNTをコードするヌクレオチド配列をBacillus細胞に送達することをさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、形質転換、形質導入、抱合、および電気穿孔を介して送達される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Bacillus細胞からBoNTを精製することをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
BoNTが、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせを介して精製される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Bacillus細胞が、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Bacillus anthracis、およびBacillus brevisからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
Bacillus細胞が、野生型細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
Bacillus細胞が、改変された細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
Bacillusが、プロテアーゼ欠損Bacillus細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)をコードするヌクレオチド配列を含む、Bacillus細胞。
【請求項25】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項24に記載のBacillus細胞。
【請求項26】
プロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項25に記載のBacillus細胞。
【請求項27】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、発現ベクター中に存在する、請求項24〜26のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項28】
発現ベクターが、pHT01、pHT08、pHT09、pHT10、pHT43、pHT253、pHT254、pHT255、pNZ8901、pNZ8902、pNZ8910、pNZ8911、pWH1520、pMM1522、pMM1525、pHIS1522、pHIS1525、pSTREP1525、pSTREPHIS1525、pC−His1622、pC−Strep1622、pN−His−TEV1622、pN−Strep−TEV1622、pN−StrepXa1622、pSTOP1622、p3STOP1623hp、pC−HIS1623hp、pN−His−TEV1623hp、pSP−LipA−hp、pSP−YocH−hp、p3STOP1623−2RBShp、pC−STREP1623hp、pN−STREP−Xa1623hp、pN−STREP_TEV1623hp、pMGBm19、pPT7、pPT7−SPlipA、pPconst1326、pBP26、pBP27、pBQ200、pGP380、pGP382、pGP886、pGP888、pGP1459、pGP1460、pGP1389、pBE−S、およびpRB374からなる群から選択される、請求項27に記載のBacillus細胞。
【請求項29】
BoNTが、NまたはC末端において融合ドメインに融合されている、請求項24〜28のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項30】
融合ドメインが、アフィニティータグである、請求項29に記載のBacillus細胞。
【請求項31】
アフィニティータグが、His6、GST、Avi、Strep、S、MBP、Sumo、FLAG、HA、Myc、SBP、E、カルモジュリン、Softag 1、Softag 3、TC、V5、VSV、Xpress、Halo、およびFcからなる群から選択される、請求項30に記載のBacillus細胞。
【請求項32】
BoNTをコードするヌクレオチド配列が、Bacillusにおける発現のためにコドン最適化されている、請求項24〜31のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項33】
BoNTが、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNT/X、BoNT/En、およびそれらのバリアントからなる群から選択される、請求項24〜32のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項34】
BoNTが、触媒的に不活性なBoNTである、請求項24〜33のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項35】
BoNTが、全長BoNTである、請求項24〜34のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項36】
BoNTが、キメラBoNTである、請求項24〜32のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項37】
BoNTが、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24〜36のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項38】
BoNTが、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項37に記載のBacillus細胞。
【請求項39】
Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、およびBacillus anthracis、およびBacillus breviからなる群から選択される、請求項24〜38のいずれか一項に記載のBacillus細胞。
【請求項40】
Bacillus細胞が、野生型細胞である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
Bacillus細胞が、改変された細胞である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
Bacillusが、プロテアーゼ欠損Bacillus細胞である、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、「PRODUCTION OF BOTULINUM NEUROTOXINS USING BACILLUS SYSTEMS」と題された、2018年1月30日に出願された米国仮出願第62/623715号の35U.S.C.§119(e)下における利益を主張し、この全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)は、Clostridium botulinumにより産生される致死的な毒素である。これらの毒素は、具体的には、様々な脊椎動物の神経終末を標的とし、神経伝達物質放出を遮断し、通常「ボツリヌス中毒症」と呼ばれる弛緩性麻痺を引き起こし得る。BoNTの神経遮断活性は、とくに、BoNTの神経遮断活性は、特に眼瞼痙攣、斜視、上部運動ニューロン症候群、発汗、頸部ジストニア、および慢性片頭痛などの神経関連疾患の治療目的に利用することができる。BoNTはまた、化粧品産業においても幅広く使用されている。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示のいくつかの側面は、ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)をBacillusにおいて組み換え的に生産する方法であって、BoNTを発現するための好適な条件下で、BoNTをコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞を培養することを含む、前記方法を提供する。
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導性プロモーターである。
【0004】
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、発現ベクター中に存在する。いくつかの態様において、発現ベクターは、pHT01、pHT08、pHT09、pHT10、pHT43、pHT253、pHT254、pHT255、pNZ8901、pNZ8902、pNZ8910、pNZ8911、pWH1520、pMM1522、pMM1525、pHIS1522、pHIS1525、pSTREP1525、pSTREPHIS1525、pC−His1622、pC−Strep1622、pN−His−TEV1622、pN−Strep−TEV1622、pN−StrepXa1622、pSTOP1622、p3STOP1623hp、pC−HIS1623hp、pN−His−TEV1623hp、pSP−LipA−hp、pSP−YocH−hp、p3STOP1623−2RBShp、pC−STREP1623hp、pN−STREP−Xa1623hp、pN−STREP_TEV1623hp、pMGBm19、pPT7、pPT7−SPlipA、pPconst1326、pBP26、pBP27、pBQ200、pGP380、pGP382、pGP886、pGP888、pGP1459、pGP1460、pGP1389、pBE−S、およびpRB374からなる群から選択される。
【0005】
いくつかの態様において、BoNTは、NまたはC末端において融合ドメインに融合されている。いくつかの態様において、融合ドメインは、アフィニティータグである。いくつかの態様において、アフィニティータグは、His6、GST、Avi、Strep、S、MBP、Sumo、FLAG、HA、Myc、SBP、E、カルモジュリン、Softag 1、Softag 3、TC、V5、VSV、Xpress、Halo、およびFcからなる群から選択される。
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、Bacillusにおける発現のためにコドン最適化されている。
【0006】
いくつかの態様において、BoNTは、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNT/X、BoNT/En、およびそれらのバリアントからなる群から選択される。いくつかの態様において、BoNTは、触媒的に不活性なBoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、全長BoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、キメラBoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、BoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、方法は、BoNTをコードするヌクレオチド配列をBacillus細胞に送達することをさらに含む。いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、形質転換、形質導入、抱合、および電気穿孔を介して送達される。
【0007】
いくつかの態様において、方法は、Bacillus細胞からBoNTを精製することをさらに含む。いくつかの態様において、BoNTは、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせを介して精製される。
いくつかの態様において、Bacillus細胞は、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Bacillus anthracis、およびBacillus brevisからなる群から選択される。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、野生型細胞である。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、改変された細胞である。いくつかの態様において、Bacillusは、プロテアーゼ欠損Bacillus細胞である。
【0008】
本開示の他の側面は、ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)をコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞を提供する。いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導性プロモーターである。
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、発現ベクター中に存在する。いくつかの態様において、発現ベクターは、pHT01、pHT08、pHT09、pHT10、pHT43、pHT253、pHT254、pHT255、pNZ8901、pNZ8902、pNZ8910、pNZ8911、pWH1520、pMM1522、pMM1525、pHIS1522、pHIS1525、pSTREP1525、pSTREPHIS1525、pC−His1622、pC−Strep1622、pN−His−TEV1622、pN−Strep−TEV1622、pN−StrepXa1622、pSTOP1622、p3STOP1623hp、pC−HIS1623hp、pN−His−TEV1623hp、pSP−LipA−hp、pSP−YocH−hp、p3STOP1623−2RBShp、pC−STREP1623hp、pN−STREP−Xa1623hp、pN−STREP_TEV1623hp、pMGBm19、pPT7、pPT7−SPlipA、pPconst1326、pBP26、pBP27、pBQ200、pGP380、pGP382、pGP886、pGP888、pGP1459、pGP1460、pGP1389、pBE−S、およびpRB374からなる群から選択される。
【0009】
いくつかの態様において、BoNTは、NまたはC末端において、融合ドメインと融合されている。いくつかの態様において、融合ドメインは、アフィニティータグである。いくつかの態様において、アフィニティータグは、His6、GST、Avi、Strep、S、MBP、Sumo、FLAG、HA、Myc、SBP、E、カルモジュリン、Softag 1、Softag 3、TC、V5、VSV、Xpress、Halo、およびFcからなる群から選択される。
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、Bacillusにおける発現のためにコドン最適化されている。いくつかの態様において、BoNTは、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNT/X、BoNT/En、およびそれらのバリアントからなる群から選択される。いくつかの態様において、BoNTは、触媒的に不活性なBoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、全長BoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、キメラBoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、BoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの態様において、Bacillus細胞は、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、およびBacillus anthracis、およびBacillus brevisからなる群から選択される。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、野生型細胞である。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、改変された細胞である。いくつかの態様において、Bacillusは、プロテアーゼ欠損Bacillus細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
添付の図面は、縮尺とおりに描かれることを意図していない。図面において、様々な図面に示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表される。明確性のために、すべての構成要素がすべての図面においてラベル付けされているとは限らない。
【図1】図1。細菌界の有根系統樹。Escherichia、Bacillus、およびClostridium属は、ボックスにより強調されている。BacillusおよびClostridiumは、Firmicute門に属する。
【図2】図2A〜2B。図2A。BoNT/A(左)およびBoNT/B(右)の表面電荷分析。図2B。BoNT/A(左)およびBoNT/B(右)の表面疎水性分析。
【図3】図3。E. coliにおけるiBoNT/Bの発現パターンを示すウェスタンブロット。抗BoNT/Bポリクローナル抗体を検出のために用いた。
【図4】図4A〜4B。図4A。B. subtilisにおけるiBoNT/Bの発現パターンのウェスタンブロット。図4B。B. subtilisからのiBoNT/Bの精製。SDS−PAGEおよびWBの両方が示される。抗BoNT/Bポリクローナル抗体をWBのために用いた。
【図5】図5。B. subtilisからの精製されたiBoNT/A、iBoNT/B、iBoNT/C、およびiBoNT/Dは、SDS−PAGEにより示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ある態様の詳細な説明
ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)は、Clostridium botulinumにより産生される致死的な毒素である。これらの毒素は、具体的には、様々な脊椎動物の神経終末末端を標的とし、神経伝達物質放出を遮断し、通常「ボツリヌス中毒症」と呼ばれる弛緩性麻痺を引き起こし得る。他方、毒素のこの特性は、とくに神経関連疾患の治療目的に利用することができる。BoNTはまた、化粧品産業においても幅広く使用されている。1960年代から、神経疾患の処置におけるBoNTの有効性が探究され、BoNTは現在、限定せずに、眼瞼痙攣、斜視、上部運動ニューロン症候群、発汗、頸部ジストニア、および慢性片頭痛などを含む、数多の神経疾患に現在幅広く使用されている。BoNTはまた、化粧品産業においても幅広く使用されている。1989年12月に、最初のBoNT製品であるBOTOXが、臨床処置のために、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された。
【0013】
医療および化粧用目的のためのすべての市販のBoNT製品は、それらの天然の宿主であるC. botulinumから精製される。その手順は時間を消費するものであり、コストがかかる。その上、遺伝子操作は、C. botulinumにおいて、極めて困難であり、これは改変された全長BoNTの開発にとって常に障害となっている。Escherichia coli細胞は、改変されたタンパク質を発現するために最も一般的に用いられている細菌宿主である。E. coliにおいてBoNTの発現および生産を試験した後、E. coliはBoNTのような大きなタンパク質を、特にあるサブタイプや改変された/キメラトキシンに対して、十分に発現する能力を欠いており、これは、大規模な工業生産を妨げる可能性があることが見出された。
【0014】
本明細書に提供されるのは、ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)をコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞、およびBoNTを発現するために好適な条件下で、該Bacillus細胞を培養することによりBoNTを生産する方法である。
【0015】
本明細書に記載の「ボツリヌスニューロトキシン(BoNT)」は、ニューロンからの神経伝達物質放出を遮断し、それによって麻痺を引き起こすことによって作用する細菌毒素のファミリーを指す。本明細書に記載されるように、用語「BoNT」は、Clostridium Botulinumにより産生される、および他の細菌種により産生されるが、BoNTファミリーに構造的におよび機能的に属する、ニューロトキシンおよびそれらの任意のフラグメントまたはバリアントを包含する。Clostridium Botulinumにより産生されるBoNTは、8つの主な血清型:BoNT/A〜G(例として、Schiavo et al., Physiol Rev 80, 717-766 (2000)に記載される(参照により本明細書に組み込まれる))、およびBoNT/X(例として、Zhang et al., Nature Communications, 8, Article number: 14130 (2017)に記載される(参照により本明細書に組み込まれる))を含む。各BoNT血清型は、サブタイプを有し得る。例えば、BoNT/Aは、8つのサブタイプ、BoNT/A1、BoNT/A2、BoNT/A3、BoNT/A4、BoNT/A5、BoNT/A6、BoNT/A7、およびBoNT/A8を有する。同様に、BoNT/Bはまた、8つのサブタイプ、BoNT/B1、BoNT/B2、BoNT/B3、BoNT/B4、BoNT/B5、BoNT/B6、BoNT/B7、およびBoNT/B8を有する。Clostridium Botulinum以外の細菌種もまた、BoNTファミリーに属する、すなわち、Clostridium Botulinumにより産生されるBoNTと同様の構造または機能を有するニューロトキシンを産生することが見出されている。例えば、BoNTファミリーニューロトキシンは、Enterococcus faeciumにおいて同定され、「BoNT/En」と名付けられている(例として、Zhang et al., 2018, Cell Host and Microbe, 23: 1-8, Doi:10.1016/j.chom.2017.12.018に記載される、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0016】
いくつかの態様において、BoNTは、全長BoNTである。「全長」BoNTは、野生型BoNTと比較して、何らかの切断がないBoNTを指す。全長BoNTは、野生型BoNTと比較して、他のタイプの突然変異、例として、アミノ酸置換または融合ドメインを含有していてもよい。いくつかの態様において、BoNTは、天然に存在する野生型BoNT、例として、本明細書に記載のおよび当該技術分野において知られている任意のBoNTである。いくつかの態様において、BoNTは、野生型BoNTのバリアントである。BoNTバリアントは、これまでに記載されている。例えば、標的細胞への増強された結合を有するBoNTバリアントは、PCT出願公開WO 2017214447(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。別の例において、BoNTは、触媒的に不活性なバリアント、例として、PCT出願公開WO 2018009903(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0017】
BoNTは、リンカー領域により連結されている、重鎖(本明細書において「BoNT−HC」と称される)および軽鎖(本明細書において「BoNT−LC」と称される)を含む。タンパク分解的切断は、BoNTが、その成熟した形態にプロセッシングされる際に、リンカー領域において生じる。BoNT−LCは、BoNTの基質を切断するプロテアーゼドメインを含む一方で、BoNT−HCは、重鎖のN末端において転移ドメイン(H)、および重鎖のC末端において、細胞へのBoNTの侵入を媒介する、受容体結合ドメイン(H)を含む。キメラBoNTは、天然に存在するBoNTの機能を発揮し得ることが示されている。「キメラBoNT」は、異なるBoNT血清型からのドメインを含むBoNTを指す。いくつかの態様において、キメラBoNTは、1つのBoNT(例として、BoNT/A〜G、BoNT/X、およびBoNT/Enのいずれか1つ)からのプロテアーゼドメイン(LC)および転移ドメイン(H)、ならびに異なるBoNTから(例として、LとHの出所を除く、BoNT/A〜G、BoNT/X、およびBoNT/Enのいずれかから)の受容体結合ドメイン(H)を含有していてもよい。いくつかの態様において、キメラBoNTは、他のバリエーション、例として、アミノ酸置換を含む。非限定的な、例示のキメラBoNTは、表1に提供される。
【0018】
いくつかの態様において、本明細書に記載の方法を用いて生産されるBoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法を用いて生産されるBoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法を用いて生産されるBoNTは、配列番号1〜139のいずれか1つのアミノ酸配列からなる。本明細書に記載の方法を用いて生産され得るBoNTの非限定的な例示のアミノ酸配列は、表1に提供される。
【0019】
いくつかの態様において、BoNTは、NまたはC末端において融合ドメインと融合されている。「融合ドメイン」は、アミド結合を介してBoNTに付着しているポリペプチド配列を指す。いくつかの態様において、融合ドメインは、アフィニティータグである。「アフィニティータグ」は、本明細書において用いられる場合、基質または部分に特異的に結合することができるポリペプチド配列を指し、例えば、6個のヒスチジンを含むタグは、Ni2+に特異的に結合する。アフィニティータグは、タンパク質の単離を容易にするために、タンパク質に付着していてもよい。アフィニティータグは、典型的には、当業者に公知の組み換えDNA技術を介してタンパク質に融合される。タンパク質の単離を容易にするためのアフィニティータグの使用もまた、当該技術分野において周知である。本開示に従って用いられてもよい好適なアフィニティータグは、限定することなく、His6、GST、Avi、Strep、S、MBP、Sumo、FLAG、HA、Myc、SBP、E、カルモジュリン、Softag 1、Softag 3、TC、V5、VSV、Xpress、Halo、およびFcを含む。
【0020】
本開示の他の側面は、本明細書に記載のBoNTをコードするヌクレオチド配列を提供する。「ヌクレオチド配列」は、少なくとも2のヌクレオチドが共有結合的に一緒に連結し、いくつかの場合においては、ホスホジエステル結合(例として、ホスホジエステル「主鎖」)を含有していてもよい。ヌクレオチド配列は、DNA、ゲノムおよび/またはcDNAの両方、RNA、または、ヌクレオチド配列は(例として、人工のまたは天然の)デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、および、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシンおよびイソグアニンを含む任意の塩基組のみ合わせを含有する、ハイブリッドであってもよい。
【0021】
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1〜139のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または100%同一である。いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1〜139のいずれか1つと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0022】
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、Bacillus細胞における発現のために、コドン最適化されている。コドン最適化方法は、当該技術分野において知られており、明細書に提供されるように用いられてもよい。コドン最適化は、いくつかの態様において、適切な折り畳みを確実にするための標的および宿主生物におけるコドン頻度マッチ;mRNA安定性を増加させるまたは2次構造を減少させるためのGC含量のバイアス;遺伝子構築または発現を損なわせる可能性があるタンデムリピートコドンまたはベースラン(base run)の最小化;転写および翻訳制御領域のカスタマイズ;タンパク質トラフィッキング配列の挿入または除去;コードされているタンパク質における翻訳後修飾部位(例としてグリコシル化部位)の除去/追加;タンパク質ドメインの追加、除去、またはシャッフル;制限部位の挿入または削除;リボソーム結合部位およびmRNA分解部位の改変;タンパク質の様々なドメインの適切な折り畳みを可能にするための翻訳率調整;またはポリヌクレオチド内の問題のある2次構造の減少または排除を使用してもよい。コドン最適化ツール、アルゴリズムおよびサービスは、当該技術分野において知られており、非限定例は、GeneArt (Life Technologies)、DNA2.0 (Menlo Park CA)および/または独自開発の方法からのサービスを含む。いくつかの態様において、オープンリーディングフレーム(ORF)配列は、最適化アルゴリズムを用いて最適化される。
【0023】
いくつかの態様において、コドン最適化された配列は、天然に存在するまたは野生型の配列(例として、BoNTをコードする天然に存在するまたは野生型のmRNA配列)と95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、または60%未満の配列同一性を共有する。いくつかの態様において、コドン最適化された配列は、天然に存在するまたは野生型の配列(例として、BoNTをコードする天然に存在するまたは野生型のmRNA配列)と60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する。
【0024】
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結されている。「プロモーター」は、ヌクレオチド配列の残りの部分の転写の開始および速度が制御されるヌクレオチドの制御領域を指す。プロモーターは、それが調節するヌクレオチド配列の発現またはその転写を駆動する。プロモーターはまた、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの調節性タンパク質および分子が結合し得るサブ領域を含有していてもよい。プロモーターは、構成的、誘導可能、活性化可能、抑制可能、組織特異的またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。プロモーターは、それが、その配列の転写開始および/または発現を制御する(「駆動する」)ことを調節するヌクレオチド配列に関して、正しい機能的位置および配向にある場合、「作動可能に連結されている」と見なされる。
【0025】
プロモーターは、所与の遺伝子または配列のコードセグメントの上流に位置する5’非コード配列を単離することにより得られ得るように、遺伝子または配列に天然に関連するものであり得る。そのようなプロモーターは、「内因性」と称され得る。
いくつかの態様において、コードヌクレオチド配列は、その自然環境においてコードされた配列と通常関連しないプロモーターを指す、組み換えのまたは異種のプロモーターの制御下に配置され得る。かかるプロモーターは、他の遺伝子のプロモーター;任意の他の細胞から単離されたプロモーター;および、例えば、当技術分野で知られている遺伝子工学の方法を通じて発現を変化させる異なる転写調節領域および/または突然変異の異なる要素を含有するものなどの、「天然に存在しない」合成プロモーターまたはエンハンサーを含み得る。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に生産することに加えて、配列は、組み換えクローニングおよび/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む核酸増幅技術(米国特許第4,683,202号および米国特許第5,928,906号を参照のこと)を使用して生産されてもよい。
【0026】
いくつかの態様において、プロモーターは「誘導性プロモーター」であり、これは、誘導因子シグナルの存在下においてか、それにより誘導されるか、またはそれと接触される場合に、転写活性を調節する(例えば、開始または活性化する)ことにより特徴付けられるプロモーターを指す。誘導因子シグナルは、内因性または通常は外因性の条件(例として、光)、化合物(例として、化学的または非化学的化合物)、または誘導性プロモーターからの転写活性の調節において活性であるような方法で誘導性プロモーターに接触するタンパク質であり得る。よって、核酸の「転写を調節するシグナル」は、誘導性プロモーターに作用する誘導因子シグナルを指す。転写を調節するシグナルは、使用される調節系に応じて、転写を活性化または不活性化してもよい。転写の活性化は、プロモーターに直接的に作用して転写を駆動すること、またはプロモーターが転写を駆動するのを妨げているリプレッサーを不活性化することによりプロモーターに間接的に作用することを含み得る。反対に、転写の非活性化は、転写を妨げるためにプロモーターに直接的に作用すること、または次いでプロモーターに作用するリプレッサーを活性化することによりプロモーターに間接的に作用することを含み得る。いくつかの態様において、細胞状態分類子(cell state classifier)の遺伝子回路において誘導性プロモーターを使用することは、遺伝子産物の条件付き発現または「遅延された」発現をもたらす。
【0027】
誘導因子シグナルの投与または除去は、作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写の活性化と不活性化の間の切り替えをもたらす。よって、ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターの活性化状態は、プロモーターが、ヌクレオチド配列の転写を活性的に調節している(すなわち、連結されたヌクレオチド配列が、発現される)状態を指す。反対に、ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターの不活性化状態は、プロモーターが、ヌクレオチド配列の転写を活性的に調節していない(すなわち、連結されたヌクレオチド配列が、発現されない)状態を指す。
【0028】
本開示の誘導性プロモーターは、光、pH、温度、放射線、浸透圧、生理食塩水勾配、細胞表面結合、および1以上の外因性または内因性誘導剤(単数または複数)の濃度の変化などの1以上の生理学的条件(単数または複数)により誘導(または抑制)されてもよい。外因性誘導因子シグナルまたは誘導剤は、限定せずに、アミノ酸およびアミノ酸類似体、糖類および多糖類、核酸、タンパク質転写アクチベーターおよびリプレッサー、サイトカイン、毒素、石油をベースとした化合物、金属含有化合物、塩、イオン、酵素基質類似体、ホルモンまたはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0029】
本開示の誘導性プロモーターは、本明細書に記載の、または当業者に知られている任意の誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターの例は、限定せずに、アルコール調節プロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター(例として、アンヒドロテトラサイクリン(aTc)応答性プロモーターおよび他のテトラサイクリン応答性プロモーター系、それは、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(tetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)およびテトラサイクリントランスアクチベーター融合タンパク質(tTA))を含む)、ステロイド調節プロモーター(例として、ラットグルココルチコイド受容体、ヒトエストロゲン受容体、ガエクジソン受容体に基づくプロモーター、およびステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリーからのプロモーター)、金属調節プロモーター(例として、酵母、マウスおよびヒトからのメタロチオネイン(金属イオンに結合する、およびそれを隔離するタンパク質)遺伝子に由来するプロモーター)、病因(pathogenesis)調節プロモーター(例として、サリチル酸、エチレンまたはベンゾチアジアゾール(BTH))により誘導される)、温度/熱誘導性プロモーター(例として、ヒートショックプロモーター)、および光調節プロモーター(例として、植物細胞からの光応答性プロモーター)などの、化学的/生物化学的調節、および物理的調節プロモーターを含む。
【0030】
いくつかの態様において、本開示の誘導因子シグナルは、N−アシルホモセリンラクトン(AHL)であり、それは、細菌のクオラムセンシングに関与するシグナル伝達分子のクラスである。クオラムセンシングは、集団密度に基づく群ベースの挙動の協調を可能にする細菌間でのコミュニケーションの方法である。AHLは、細胞膜を超えて拡散することができ、pH値の範囲にわたり成長培地において安定している。AHLは、LuxRなどの転写アクチベーターに結合し、コグネイトプロモーターからの転写を刺激する。
【0031】
いくつかの態様において、本開示の誘導因子シグナルは、アンヒドロテトラサイクリン(aTc)であり、それは、抗生物質活性を示さず、例えば細菌におけるテトラサイクリン制御遺伝子発現系での使用のために設計された、テトラサイクリンの誘導体である。
【0032】
いくつかの態様において、本開示の誘導因子シグナルは、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)であり、これは、lacオペロンの転写のトリガーとなる、アロラクトースの分子の模倣体であるラクトース代謝体であり、したがって、遺伝子がlacオペレーターの制御下にある場合にたんぱく質発現を誘導するために用いられる。IPTGは、lacリプレッサーに結合し、アロステリックな様式でlacオペレーターから4量体リプレッサーを放出し、それによって、β−ガラクトシドの単糖への加水分解を触媒する加水分解酵素である、ベータ−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子などのlacオペロンでの遺伝子の転写を可能にする。硫黄(S)原子は、細胞によって加水分解されない化学結合を作り出し、細胞が誘導因子を代謝または分解するのを防ぐ。IPTGは、例えば、100μMから1.0mMの濃度範囲で、タンパク質発現の効果的な誘導因子である。使用される濃度は、必要な誘導の強度、および使用される細胞またはプラスミドの遺伝子型に依存する。lacリプレッサーを過剰生産する突然変異体であるlacIqが存在する場合、次いで、より高濃度のIPTGが必要になる場合がある。青色−白色スクリーニングでは、IPTGは、X−galと一緒に使用される。青色−白色スクリーニングは、非組換えプラスミドではなく組み換えプラスミドで形質転換されているコロニーを、クローニング実験で同定することができる。
【0033】
他の誘導性プロモーター系は、当該技術分野において知られているおよび本開示にしたがって、使用され得る。
いくつかの態様において、本開示の誘導性プロモーターは、原核細胞(例として、細菌細胞)からのものである。原核細胞において使用するための誘導性プロモーターの例は、限定せずに、バクテリオファージプロモーター(例として、Pls1con、T3、T7、SP6、PL)および細菌プロモーター(例として、Pbad、PmgrB、Ptrc2、Plac/ara、Ptac、Pm)、またはそれらのハイブリッド(例として、PLlacO、PLtetO)を含む。本開示に従って使用するための細菌プロモーターの例は、限定せずに、正に調節されたσ70プロモーター(例として、誘導性pBad/araCプロモーター、Luxカセットライトプロモーター、改変されたラムダPrmプロモーター、plac Or2−62(正)、さらなるREN部位を有するpBad/AraC、pBad、P(Las) TetO、P(Las) CIO、P(Rhl)、Pu、FecA、pRE、cadC、hns、pLas、pLux)、σSプロモーター(例として、Pdps)、σ32プロモーター(例として、ヒートショック)およびσ54プロモーター(例として、glnAp2)などの正に調節されたE. coliプロモーター;負に調節されたσ70プロモーター(例として、プロモーター(PRM+)、改変されたラムダPrmプロモーター、TetR−TetR−4C P(Las) TetO、P(Las) CIO、P(Lac) IQ、RecA_DlexO_DLacO1、dapAp、FecA、Pspac−hy、pcI、plux−cI、plux−lac、CinR、CinL、グルコース制御され、改変されたPr、改変されたPrm+、FecA、Pcya、rec A(SOS)、Rec A(SOS)、EmrR調節、BetI調節、pLac_lux、pTet_Lac、pLac/Mnt、pTet/Mnt、LsrA/cI、pLux/cI、LacI、LacIQ、pLacIQ1、pLas/cI、pLas/Lux、pLux/Las、LexA結合部位を有するpRecA、リバースBBa_R0011、pLacI/ara−1、pLacIq、rrnB P1、cadC、hns、PfhuA、pBad/araC、nhaA、OmpF、RcnR)、σSプロモーター(例として、代替のシグマ因子σ38を有するLutz−Bujard LacO)、σ32プロモーター(例として、代替のシグマ因子σ32を有するLutz−Bujard LacO)、およびσ54プロモーター(例として、glnAp2)などの負に調節されたE. coliプロモーター;抑制性B. subtilisσAプロモーター(例として、グラム陽性IPTG誘導性、Xyl、hyper−spank)およびσBプロモーターなどの負に調節されたB. subtilisプロモーターを含む。他の誘導性微生物プロモーターは、本開示に従って使用されてもよい。
【0034】
発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写終結因子等々の包含により増強されてもよい。加えて、挿入された配列の発現を調整する、または所望される特定の様式における遺伝子産物を修飾およびプロセッシングする宿主細胞株(例として、Bacillus)が選択されてもよい。タンパク質産物のかかる修飾(例として、グリコシル化)およびプロセシング(例として、切断)は、タンパク質の機能に重要である可能性がある。例えば、本明細書に記載のBoNTは、単一の遺伝子産物として(例として、単一のポリペプチド鎖として)発現され、次いでリンカー領域においてタンパク分解的切断され、その成熟した形態にプロセシングされる。
【0035】
いくつかの態様において、BoNTをコードするヌクレオチド配列は、ベクター(例として、クローニングベクターまたは発現ベクター)に組み込まれる。「ベクター」は、例えば、それが複製および/または発現され得る細胞に遺伝子材料(例として、改変された核酸)を人工的に運ぶための媒体として用いられる核酸(DNA)を指す。いくつかの態様において、ベクターは、エピソームベクター(例として、Van Craenenbroeck K. et al. Eur. J. Biochem. 267, 5665, 2000(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)である。ベクターの非限定例は、プラスミドである。プラスミドは、宿主細胞において自動的に複製することができる、二本鎖の、一般には、環状の、DNA配列である。プラスミドベクターは、典型的には、宿主においてプラスミドの半独立的な複製を可能にする複製起点、およびまた、導入遺伝子挿入物を含有する。プラスミドは、例えば、核酸挿入物の挿入のためのヌクレオチド突出および挿入物のいずれかの側への複数の制限酵素コンセンサス部位を含む、「複数のクローニング部位」を含む、より多くの特色を有していてもよい。ベクターの別の非限定例は、ウイルスベクター(例として、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、ヘルパー依存性アデノウイルス系、ハイブリッドアデノウイルス系、単純ヘルペス、ポックスウイルス、レンチウイルス、エプスタイン・バーウイルス)である。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来する。
【0036】
加えて、ベクターは、例えば、以下:選択可能なマーカー遺伝子、例として、Bacillus細胞に抗生物質耐性を付与する遺伝子のいくつかのまたはすべてを含有していてもよい。好適なベクターおよび導入遺伝子を含有するベクターを生産するための方法は、周知であり、当該技術分野において入手可能である。
【0037】
細菌の系において、発現されているポリペプチドについての意図される使用に応じて、多数の発現ベクターを、有利に選択してもよい。例えば、本明細書において記載されるポリペプチドの医薬組成物の生成のために、大量のかかるタンパク質が生産される場合、容易に精製される、高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指揮するベクターが、望ましい。かかるベクターとして、これらに限定されないが、融合タンパク質が産生されるように、コード配列が、lacZコード領域と共に、個々にインフレームでベクター中にライゲーションされ得るE. coli発現ベクターpUR278(Ruether et al. (1983)「Easy Identification Of cDNA Clones」、EMBO J. 2:1791-1794);pINベクター(Inouye et al. (1985)「Up-Promoter Mutations In The lpp Gene Of Escherichia Coli」、Nucleic Acids Res. 13:3101-3110;Van Heeke et al. (1989)「Expression Of Human Asparagine Synthetase In Escherichia Coli」、J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが挙げられる。pGEXベクターはまた、外来ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるために用いられてもよい。一般的に、かかる融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合と、その後の遊離グルタチオンの存在下における溶出とにより、溶解された細胞から、容易に精製することができる。
【0038】
pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子生成物をGST部分から放出することができるように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。昆虫の系において、オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして用いられる。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で増殖する。コード配列は、ウイルスの非必須領域(例として、ポリヘドリンタンパク質の遺伝子)中に個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例として、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれてもよい。
【0039】
いくつかの態様において、ベクターは、Bacillus細胞においてBoNTを発現するために適応される。Bacillus細胞においてタンパク質(例として、BoNT)を発現するために好適な発現ベクターは、市販されている。例えば、Mibitec GmbH(Germany)は、pHT01(#PBS001)、pHT08(#PBS003)、pHT09(#PBS004)、pHT10(#PBS005)、pHT43(#PBS002)、pHT253(#PBS013)、pHT254(#PBS014)、pHT255(#PBS015)、pNZ8901(#PBS031)、pNZ8902(#PBS032)、pNZ8910(#PBS033)、pNZ8911(#PBS034)、pWH1520(#BMEG03)、pMM1522(#BMEG10)、pMM1525(#BMEG 11)、pHIS1522(#BMEG 12)、pHIS1525(#BMEG 13)、pSTREP1525(#BMEG 14)、pSTREPHIS1525(#BMEG 15)、pC−His1622(#BMEG 20)、pC−Strep1622(#BMEG 21)、pN−His−TEV1622(#BMEG 22)、pN−Strep−TEV1622(#BMEG 23)、pN−StrepXa1622(#BMEG 24)、pSTOP1622(#BMEG 25)、p3STOP1623hp(#BMEG 30)、pC−HIS1623hp(#BMEG31)、pN−His−TEV1623hp(#BMEG 32)、pSP-LipA-hp(#BMEG 33)、pSP−YocH−hp(#BMEG 34)、p3STOP1623−2RBShp(#BMEG 35)、pC−STREP1623hp(#BMEG 36)、pN-STREP-Xa1623hp(#BMEG 37)、pN−STREP_TEV1623hp(#BMEG 38)、pMGBm19(#BMEG 39)、pPT7(#BMEG T710)、pPT7−SPlipA(#BMEG T711)、およびpPconst1326(#BMEG 45)を含むBacillusにおけるタンパク質発現に好適な多数の発現ベクターを提供する。Takara Bio Inc.(Japan)は、発現ベクターpBESを含む、Bacillus subtilis分泌タンパク質発現系(#3380)を提供する。さらに、ATCCは、Bacillus発現のためのベクターpRB374(#ATCC77374)を提供する。当業者は、適切な発現ベクターを選択することができる。
【0040】
本明細書に記載のBoNTを生産する方法は、BoNTを発現するための好適な条件下で、BoNTをコードするヌクレオチド配列を含むBacillus細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、方法は、BoNTをコードするヌクレオチド配列をBacillus細胞に送達することをさらに含む。標準的な分子生物学的技法は、組み換え発現ベクターを調製および送達し、Bacillus細胞を培養するために用いられる。BoNTをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、従来の技法(例として、電気穿孔、形質転換、形質導入、または抱合)により宿主細胞に運ばれ、その結果得られるBacillus細胞は、次いで従来の技法により培養され、本明細書に記載のBoNTを生産し得る。
【0041】
Bacillus細胞は、適切な時間(例として、4〜72時間)、適切な温度(例として、16℃〜42℃)において、培養されてもよい。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、16、18、20、25、30、35、37、40、または42℃において培養される。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、60、72時間またはそれ以上培養される。Bacillus細胞に好適な任意の標準的な培養培地(例として、Luria−Bertani(LB)培地)が用いられ得る。BoNTの発現が、誘導性プロモーターにより駆動される場合、培地は、適切な濃度において、誘導性プロモーターを活性化する誘導因子をさらに含有していてもよい。
【0042】
BoNTが組み換え発現されると、それは、当該技術分野において知られている任意の方法により、例えば、クロマトグラフィー(例として、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせ)、遠心分離、異なる可溶性により、またはポリペプチドの精製のための任意の他の標準的な技法により精製されてもよい。
【0043】
本明細書の方法を用いて生産されるBoNTは、他のタンパク質(単数または複数)および/または他のポリペプチド(単数または複数)(例として、他のBacillusタンパク質)を実質的に含まない(例として、少なくとも80%、90%、95%、97%、99%、または99.5%含まない)。いくつかの態様において、単離されたポリペプチドは、他のタンパク質(単数または複数)および/または他のポリペプチド(単数または複数)(例として、Bacillusタンパク質)を100%含まない。本明細書に記載の方法は、高収率の無傷のBoNTを提供する。「無傷」であることは、BoNT生成物が、切断された生成物(例として中止された翻訳またはプロテアーゼ切断に起因して生産されるもの)を実質的に含まないことを意味する。本明細書で実証されるように、いくつかの態様において、約5〜10mgのタンパク質が、1リットルのLB培養B. subtilisから得ることができる。
【0044】
本明細書の方法を用いて生産されるBoNTは、天然に存在するBoNTと(例として、標的細胞認識、転移、および/または基質切断において)同等の生物活性を有する。「同等の生物活性」を有することは、本明細書に記載の方法を用いて生産されるBoNTが、(例として、標的細胞認識、転移、および/または基質切断において)天然に存在するBoNTの生物活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を有することを意味する。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法を用いて生産されるBoNTは、(例として、標的細胞認識、転移、および/または基質切断において)天然に存在するBoNTの生物活性の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%以上を有する。
【0045】
本明細書に記載の方法においてBoNT発現のために用いられる宿主細胞は、Bacillus細胞である。用いられてもよい例示のBacillus細胞は、限定せずに:B. acidiceler、B. acidicola、B. acidiproducens、B. acidocaldarius、B. acidoterrestris、B. aeolius、B. aerius、B. aerophilus、B. agaradhaerens、B. agri、B. aidingensis、B. akibai、B. alcalophilus、B. algicola、B. alginolyticus、B. alkalidiazotrophicus、B. alkalinitrilicus、B. alkalisediminis、B. alkalitelluris、B. altitudinis、B. alveayuensis、B. alvei、B. amyloliquefaciens、B. aminovorans[2]、B. amylolyticus、B. andreesenii、B. aneurinilyticus、B. anthracis、B. aquimaris、B. arenosi、B. arseniciselenatis、B. arsenicus、B. aurantiacus、B. arvi、B. aryabhattai、B. asahii、B. atrophaeus、B. axarquiensis、B. azotofixans、B. azotoformans、B. badius、B. barbaricus、B. bataviensis、B. beijingensis、B. benzoevorans、B. beringensis、B. berkeleyi、B. beveridgei、B. bogoriensis、B. boroniphilus、B. borstelensis、B. brevis Migula、B. butanolivorans、B. canaveralius、B. carboniphilus、B. cecembensis、B. cellulosilyticus、B. centrosporus、B. cereus、B. chagannorensis、B. chitinolyticus、B. chondroitinus、B. choshinensis、B. chungangensis、B. cibi、B. circulans、B. clarkii、B. clausii、B. coagulans、B. coahuilensis、B. cohnii、B. composti、B. curdlanolyticus、B. cycloheptanicus、B. cytotoxicus、B. daliensis、B. decisifrondis、B. decolorationis、B. deserti、B. dipsosauri、B. drentensis、B. edaphicus、B. ehimensis、B. eiseniae、B. enclensis、B. endophyticus、B. endoradicis、B. farraginis、B. fastidiosus、B. fengqiuensis、B. firmus、B. flexus、B. foraminis、B. fordii、B. formosus、B. fortis、B. fumarioli、B. funiculus、B. fusiformis、B. galactophilus、B. galactosidilyticus、B. galliciensis、B. gelatini、B. gibsonii、B. ginsengi、B. ginsengihumi、B. ginsengisoli、B. glucanolyticus、B. gordonae、B. gottheilii、B. graminis、B. halmapalus、B. haloalkaliphilus、B. halochares、B. halodenitrificans、B. halodurans、B. halophilus、B. halosaccharovorans、B. hemicellulosilyticus、B. hemicentroti、B. herbersteinensis、B. horikoshii、B. horneckiae、B. horti、B. huizhouensis、B. humi、B. hwajinpoensis、B. idriensis、B. indicus、B. infantis、B. infernus、B. insolitus、B. invictae、B. iranensis、B. isabeliae、B. isronensis、B. jeotgali、B. kaustophilus、B. kobensis、B. kochii、B. kokeshiiformis、B. koreensis、B. korlensis、B. kribbensis、B. krulwichiae、B. laevolacticus、B. larvae、B. laterosporus、B. lautus、B. lehensis、B. lentimorbus、B. lentus、B. licheniformis、B. ligniniphilus、B. litoralis、B. locisalis、B. luciferensis、B. luteolus、B. luteus、B. macauensis、B. macerans、B. macquariensis、B. macyae、B. malacitensis、B. mannanilyticus、B. marisflavi、B. marismortui、B. marmarensis、B. massiliensis、B. megaterium、B. mesonae、B. methanolicus、B. methylotrophicus、B. migulanus、B. mojavensis、B. mucilaginosus、B. muralis、B. murimartini、B. mycoides、B. naganoensis、B. nanhaiensis、B. nanhaiisediminis、B. nealsonii、B. neidei、B. neizhouensis、B. niabensis、B. niacini、B. novalis、B. oceanisediminis、B. odysseyi、B. okhensis、B. okuhidensis、B. oleronius、B. oryzaecorticis、B. oshimensis、B. pabuli、B. pakistanensis、B. pallidus、B. pallidus、B. panacisoli、B. panaciterrae、B. pantothenticus、B. parabrevis、B. paraflexus、B. pasteurii、B. patagoniensis、B. peoriae、B. persepolensis、B. persicus、B. pervagus、B. plakortidis、B. pocheonensis、B. polygoni、B. polymyxa、B. popilliae、B. pseudalcalophilus、B. pseudofirmus、B. pseudomycoides、B. psychrodurans、B. psychrophilus、B. psychrosaccharolyticus、B. psychrotolerans、B. pulvifaciens、B. pumilus、B. purgationiresistens、B. pycnus、B. qingdaonensis、B. qingshengii、B. reuszeri、B. rhizosphaerae、B. rigui、B. ruris、B. safensis、B. salarius、B. salexigens、B. saliphilus、B. schlegelii、B. sediminis、B. selenatarsenatis、B. selenitireducens、B. seohaeanensis、B. shacheensis、B. shackletonii、B. siamensis、B. silvestris、B. simplex、B. siralis、B. smithii、B. soli、B. solimangrovi、B. solisalsi、B. songklensis、B. sonorensis、B. sphaericus、B. sporothermodurans、B. stearothermophilus、B. stratosphericus、B. subterraneus、B. subtilis、B. taeanensis、B. tequilensis、B. thermantarcticus、B. thermoaerophilus、B. thermoamylovorans、B. thermocatenulatus、B. thermocloacae、B. thermocopriae、B. thermodenitrificans、B. thermoglucosidasius、B. thermolactis、B. thermoleovorans、B. thermophilus、B. thermoruber、B. thermosphaericus、B. thiaminolyticus、B. thioparans、B. thuringiensis、B. tianshenii、B. trypoxylicola、B. tusciae、B. validus、B. vallismortis、B. vedderi、B. velezensis、B. vietnamensis、B. vireti、B. vulcani、B. wakoensis、B. weihenstephanensis、B. xiamenensis、B. xiaoxiensis、およびB. zhanjiangensisを含む。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Bacillus anthracis、またはBacillus brevisである。
いくつかの態様において、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、およびBacillus anthracis、およびBacillus brevis。
【0046】
いくつかの態様において、Bacillus細胞は、野生型細胞である(すなわち、遺伝子学的に改変されていない)。いくつかの態様において、Bacillus細胞は、(例として、Bacillus細胞においてプロテアーゼをコードする1以上の遺伝子を不活性にすることにより)プロテアーゼ欠損であるように改変されている。プロテアーゼ欠損Bacillusは、組み換えタンパク質の発現について記載されている、例としてFahnestock et al., Appl Environ Microbiol. 1987 Feb; 53(2): 379-384(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0047】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【表47】

【表48】

【0048】
本明細書に開示の技術の態様、利点、特色、および使用のいくつかは、以下の例からより完全に理解される。例は、本開示のいくつかの利益を例証し、特定の態様を説明することを意図するが、本開示の全範囲を例示することを意図しておらず、したがって、開示の範囲を限定しない。
【実施例】
【0049】

C. botulinumはグラム陽性細菌であり、モデル細菌であるBacillus subtilisに進化的に近いが、E. coliには遺伝的に遠い(図1)。この研究では、BacillusにおけるBoNTの発現の可能性を探る。発現宿主としてBacillusを使用することによるいくつかの利点には以下のものがある:(1)Bacillus種は、BoNTの天然の宿主であるC. botulinumに進化的に最も近い。したがって、Bacillus種は、これらのトキシンのタンパク質翻訳と連関する折り畳みのためのより良い内部環境を提供する可能性がある。既知の例は、TcdA/BトキシンはBacillus megateriumにおいては十分に発現することができるが、E. coliにおいては発現できないことである。(2)B. subtilisはよく研究されている細菌のモデル生物であり;この細菌種において、遺伝子操作は非常に修正可能である。したがって、この細菌を宿主として使用する場合、タンパク質操作は実現可能であり得る。(3)B. subtilisを使用する場合の細胞培養とタンパク質精製のコストは比較的低い。よって、この系は大規模なタンパク質生産に極めて好適である。(4)B. subtilisは、ヒトの一般的な腸の共生生物として知られており、通常はGRAS(一般に安全と認められている)生物と考えられている。食品医薬品局(FDA)は、B. subtilisの非毒素性および非病原性株からのタンパク質生成物は幅広く入手可能であり、様々な食品用途において安全に使用されていると述べている。Bacillus細菌で成功裏に生産されている生成物には、アミラーゼ、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシアルカノアート、および多くの抗生物質を含む。組み換えタンパク質発現技法の予測不可能性に起因して、無傷で活性なBoNTをBacillusにおいて高収率で生産できるかは未だ試験されていない。
【0050】
結果:
全長BoNT/A、BoNT/BおよびBoNT/Eの結晶構造はこれまでに解明されており、これらの分子の全体像を与えている。これらの150kdの分子内には多くのジスルフィド結合が見出されず、これは、酸化環境または追加の酸化的な補因子がBoNTの生産に必須でないことを示唆しており;C. botulinumは嫌気性菌であるため、これは予想される。疎水性および親水性残基の表面分布は、BoNT/AおよびBoNT/Bのようなこれらの毒素にわたって比較的均一である(図2A〜2B)。
【0051】
iBoNT/B(「i」は、酵素ドメインにおけるR370A/Y373F突然変異を含有する不活性形態を指す)をBoNTの例として使用し、E. coliにおける発現パターンを分析した。概して、増殖温度、誘導因子濃度、および培養培地を含む発現条件を変更したにも関わらず、極めて少ない生成物が、E. coliを使用して得られた。したがって、E. coliにおけるiBoNT/Bの低収率は、主に宿主の固有の欠陥のせいである可能性がある。これを検証するために、N末端またはC末端のいずれかでHisタグと融合させたiBoNT/BをE. coliにおいて発現させた。細胞ライセートにおける大量のiBoNT/B生成物は、タグが付けられている場所では、より短いフラグメントとして提示された。C末端タグ付きiBoNT/Bについて、Ni−NTAビーズによる精製は、大部分の短いフラグメントを除去した。対照的に、N末端タグ付きiBoNT/BのすべてのフラグメントはIMAC精製後に残存した(図3)。これらの結果は、E. coliにおけるiBoNT/Bの低収率が、主に翻訳の間の予想外の早期終了によって引き起こされたことを示す。
【0052】
次に、iBoNT/Bの発現パターンをB. subtilisにおいてウエスタンブロットにより分析した。E. coliとは異なり、発現されたiBoNT/Bの大部分は、統合された(integrate)全長タンパク質として存在した(図4A〜4B)。おおまかな見積もりとして、約5〜10mgのタンパク質が、1リットルのLB培養されたB. subtilisから得ることができる一方で;E. coliにおいて発現させた場合、通常、収率は<0.5mg/L培養である。E.coliまたはB. subtilisにおいて、iBoNT/A触媒ドメイン、BoNT/A転座ドメイン、およびBoNT/B結合ドメインを含有するキメラiBoNT/ABの発現を試験した場合、同じ表現型が得られた(データは示されない)。これらの結果は、B. subtilisがBoNT発現のための全体的に優れた発現宿主であることを実証する。
【0053】
次に、iBoNT/A、iBoNT/C、iBoNT/Dを含む他のボツリヌスニューロトキシンについての発現プラスミドを作成し、それらのタンパク質の発現をB. subtilisにおいて試験した。予想どおり、これらのタンパク質のすべてが、B. subtilisにおいて適切な収率で生産することができた(図5)。
【0054】
概要:
ここに、改善されたタンパク質の品質と収率を有するB. subtilisにおける全長BoNTを発現させるための新しいプロトコルが開発された。このプロトコルは、科学的研究のための全長BoNTとそのバリアントを生産するために、医学療法または化粧品のための活性トキシンを生産するために、および天然/組み換えトキソイドワクチンの開発のために使用することができる。
【0055】
均等物および範囲
当業者は、本明細書に記載の態様の通常の実験法、多くの均等物のみを使用して認識または確認することができる。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることを意図しておらず、むしろ添付のクレームに記載されているとおりである。
「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、1以上を意味し得るが、ただし反対の定めがあるかまたは文脈から別様に明らかである場合を除く。1つの群の2以上のメンバーの間に「または」を含むクレームまたは記載は、群のメンバーの1つ、1つより多く、または全てが存在する場合、満たされていると見なされるが、ただし反対の定めがあるかまたは文脈から別様に明らかである場合を除く。2以上のメンバーの群の間に「または」を含む群の開示は、群の正確に1つのメンバーが存在する態様、群の1より多くのメンバーが存在する態様、および群の全てのメンバーが存在する態様を提供する。簡潔にするために、これらの態様は、本明細書では個別に詳述されていないが、これらの態様のそれぞれが本明細書で提供され、具体的に請求または放棄されてもよいことが理解される。
【0056】
本開示が、1以上の限定、要素、節、または説明的用語、1以上のクレーム、または説明の1以上の関連する部分が、別のクレームに導入される、すべての変形、組み合わせ、および置換を包含することは理解されるべきである。例えば、別のクレームに従属しているクレームは、同じ基本クレームに従属している任意の他のクレームで見出された1以上の限定を含むように改変され得る。さらに、クレームが組成物を記載する場合、本明細書に開示される製造または使用する方法のいずれかに従って、または当技術分野で既知の方法に従って、組成物を製造または使用する方法が、もしあるのならば含まれることを理解すべきであるが、他に示されない場合、または矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかである場合を除く。
【0057】
要素がリストとして、例として、マーカッシュグループ形式で提示される場合、要素のすべての可能なサブグループも開示され、任意の要素または要素のサブグループをグループから排除できることは理解されるべきである。また、「含むこと(comprising)」という用語は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップの包含を許容することにも留意されたい。一般に、態様、生成物または方法が、特定の要素、特色またはステップを含むものとして言及される場合、そのような要素、特色またはステップからなる、または本質的にそれらからなる、態様、生成物または方法も提供されることは理解されるべきである。簡潔にするために、これらの態様は、本明細書では個別に詳述されていないが、これらの態様のそれぞれが本明細書で提供され、具体的に請求または放棄されてもよいことは理解される。
【0058】
範囲が与えられている場合、終点は含まれる。さらに、別段の指示がない限り、または当業者の文脈および/または理解から明白でない限り、範囲として表される値は、いくつかの態様において、文脈で明確に指示されていない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、述べられた範囲内の任意の特定の値をとることができることは理解されたい。簡潔にするために、各範囲の値は本明細書では個別に詳述されていないが、これらの値の各々は本明細書で提供され、具体的に請求または放棄されてもよいことは理解される。また、別段の指示がない限り、または文脈および/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表される値は、所与の範囲内の任意のサブ範囲をとることができることも理解されるべきであり、ここでサブ範囲の終点は、範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の精度で表わされる。
【0059】
ウェブサイトが提供される場合、URLアドレスは、括弧内に夫々のウェブアドレスのピリオドを含む、ブラウザで実行できないコードとして提供される。実際のウェブアドレスには括弧が含まれない。
加えて、本開示の任意の特定の態様は、1以上のクレームから明示的に除外される場合があることは理解されるべきである。範囲が与えられている場合、範囲内の任意の値は、1以上のクレームから明示的に除外されてもよい。任意の態様、要素、特色、適用、または組成物の側面および/または本開示の方法は、任意の1以上のクレームから除外され得る。簡潔にするために、1以上の要素、特色、目的、または側面が除外される態様の全ては、本明細書に明示的に説明されない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【配列表】
2021517825000001.app
【国際調査報告】